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暴虐の令嬢
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「あんなのでも他国の貴族様なのよ!それを呼び捨てにするなんて、誰かに聞かれてたらどうするのよ!」
シュナも相当な言いっぷりでしたがそこは聞かなかったことにする。
シュナは怒り口調で、シークの頭をこづいていた。
ただ、その口調とは裏腹にサイエスの元に連れて行かれることに反対してくれたことが、嬉しそうにも見えます。
「隠密や情報収集が専門の俺が、そんなヘマするわけないだろー?」
シークはシュナの手を押さえながら得意げに言います。
「ねえ、シュナがサイエス様のもとに行くのが反対な理由は何かしら?」
シュナとシークの甘い雰囲気を楽しみたい気持ちもありますが、それかけた話の腰を戻します。
「グラクロ伯が、屋敷を訪れるにあたって色々と調べたんすよ」
なるほど。他国で騒ぎを起こすような真似はしないでしょうが、念のために調べさせていたようです。
エレナーゼは中々に頭の回る人だったようですね。さすがは悪役令嬢といったところですか。
「調べた結果問題がなかったから、今日の会食がされたんじゃないの?」
「そうっすね。グラクロ伯には何も問題ありませんでした。ただ息子であるサイエスはいくつか黒い噂が。流石に今日この場所で何かするようなことではないので、問題ないだろうとアルター様がご判断されました」
なるほど。性格に難ありといったとこでしょうか。
会話も父親であるグラクロ様伝いでしたし、いきなり他国のメイドを連れ帰ろうとする。
よく知りませんけど常識人ではなさそうですよね。
「それで、サイエス様の問題とはなんなの?」
「あいつは、地位にものをいわせて、気に入った女を自分のものにしているんすよ」
「それは、側室がたくさんいるということかしら」
有力者が側室として女を囲うことは、この世界では普通にあり得ることではないでしょうか。
まあ、クリストフはローゼラムたった1人を愛すると誓っていましたけど。
その結果、エレナーゼは処刑されることになるわけでして。
いまは、私の今後の心配ではなくシュナですわ!
「確かに側室を構えるのは女性としていい気分ではないですわ。でもそれは仕方のないことと割り切ることも必要なお話ですよね」
地位にものをいわせて無理矢理というのは、気持ち的には最悪な話ですが、階級が絶対の国にあっては、目を瞑らざるおえない黒いところなのでしょう。
「それくらいの話なら俺らみたいな身分の人間は目を瞑って過ごすべきですよ。でも、あいつはやりすぎてるんすわ。旦那、子供がいようが、婚約者がいようがお構いなし。年齢だって気にしない。そして飽きたらゴミを捨てるように自分の元から解放する。その時にはもう肉体的に精神的に壊されちまってるんすよ」
シークは握りしめた拳を床に叩きつけていう。
貴族という外面だけを見て、シュナの幸せのためにと送り出したい気持ちでいた私は、シークの話を聞いてゾッとした。
私に仕えていても不幸なだけだと思っていましたが、あの男のもとに連れて行かれる方が絶対に不幸です。
「そんな奴に私の可愛いシュナを渡すなんてできません!誰が渡すもんですか!」
「エレナーゼ様」
シュナが目をうるわせて、私に抱きついてきました。
「グラクロ様はそれを知った上で、シュナを連れ帰りたいとおっしゃったのですか」
父親であるグラクロ様が、サイエスのしていることを知らないはずはないだろうと思います。
シュナを連れ帰りたいと言った時もバツの悪そうな顔をしていましたし。
「グラクロ伯は、息子であるサイエスのことを甘やかしすぎたんですよ。歳とってから出来た子供だったからでしょうね。今となっては操縦不可能といったとこですかね。サイエスの言うことを聞かないと何をしでかすか分からないので、いわれるがままみたいです」
どこの世界にも金持ちのボンクラ息子はいるものね。
「そうなると、サイエス自身に諦めさせる必要があるのね」
「エレナーゼ様まで、呼び捨てになさるんですか」
「何言ってるの?シュナも呼び捨てにしなさい。呼び捨てじゃ足りないわね、あのクソ野郎って」
シュナは私の言葉に、驚き目を丸くしたあと、にっこりと笑いかけました。
「それでこそ、我が主人エレナーゼ様っす」
シークは1人拍手をしながら、大袈裟に私のことを讃えてくれました。
シュナも相当な言いっぷりでしたがそこは聞かなかったことにする。
シュナは怒り口調で、シークの頭をこづいていた。
ただ、その口調とは裏腹にサイエスの元に連れて行かれることに反対してくれたことが、嬉しそうにも見えます。
「隠密や情報収集が専門の俺が、そんなヘマするわけないだろー?」
シークはシュナの手を押さえながら得意げに言います。
「ねえ、シュナがサイエス様のもとに行くのが反対な理由は何かしら?」
シュナとシークの甘い雰囲気を楽しみたい気持ちもありますが、それかけた話の腰を戻します。
「グラクロ伯が、屋敷を訪れるにあたって色々と調べたんすよ」
なるほど。他国で騒ぎを起こすような真似はしないでしょうが、念のために調べさせていたようです。
エレナーゼは中々に頭の回る人だったようですね。さすがは悪役令嬢といったところですか。
「調べた結果問題がなかったから、今日の会食がされたんじゃないの?」
「そうっすね。グラクロ伯には何も問題ありませんでした。ただ息子であるサイエスはいくつか黒い噂が。流石に今日この場所で何かするようなことではないので、問題ないだろうとアルター様がご判断されました」
なるほど。性格に難ありといったとこでしょうか。
会話も父親であるグラクロ様伝いでしたし、いきなり他国のメイドを連れ帰ろうとする。
よく知りませんけど常識人ではなさそうですよね。
「それで、サイエス様の問題とはなんなの?」
「あいつは、地位にものをいわせて、気に入った女を自分のものにしているんすよ」
「それは、側室がたくさんいるということかしら」
有力者が側室として女を囲うことは、この世界では普通にあり得ることではないでしょうか。
まあ、クリストフはローゼラムたった1人を愛すると誓っていましたけど。
その結果、エレナーゼは処刑されることになるわけでして。
いまは、私の今後の心配ではなくシュナですわ!
「確かに側室を構えるのは女性としていい気分ではないですわ。でもそれは仕方のないことと割り切ることも必要なお話ですよね」
地位にものをいわせて無理矢理というのは、気持ち的には最悪な話ですが、階級が絶対の国にあっては、目を瞑らざるおえない黒いところなのでしょう。
「それくらいの話なら俺らみたいな身分の人間は目を瞑って過ごすべきですよ。でも、あいつはやりすぎてるんすわ。旦那、子供がいようが、婚約者がいようがお構いなし。年齢だって気にしない。そして飽きたらゴミを捨てるように自分の元から解放する。その時にはもう肉体的に精神的に壊されちまってるんすよ」
シークは握りしめた拳を床に叩きつけていう。
貴族という外面だけを見て、シュナの幸せのためにと送り出したい気持ちでいた私は、シークの話を聞いてゾッとした。
私に仕えていても不幸なだけだと思っていましたが、あの男のもとに連れて行かれる方が絶対に不幸です。
「そんな奴に私の可愛いシュナを渡すなんてできません!誰が渡すもんですか!」
「エレナーゼ様」
シュナが目をうるわせて、私に抱きついてきました。
「グラクロ様はそれを知った上で、シュナを連れ帰りたいとおっしゃったのですか」
父親であるグラクロ様が、サイエスのしていることを知らないはずはないだろうと思います。
シュナを連れ帰りたいと言った時もバツの悪そうな顔をしていましたし。
「グラクロ伯は、息子であるサイエスのことを甘やかしすぎたんですよ。歳とってから出来た子供だったからでしょうね。今となっては操縦不可能といったとこですかね。サイエスの言うことを聞かないと何をしでかすか分からないので、いわれるがままみたいです」
どこの世界にも金持ちのボンクラ息子はいるものね。
「そうなると、サイエス自身に諦めさせる必要があるのね」
「エレナーゼ様まで、呼び捨てになさるんですか」
「何言ってるの?シュナも呼び捨てにしなさい。呼び捨てじゃ足りないわね、あのクソ野郎って」
シュナは私の言葉に、驚き目を丸くしたあと、にっこりと笑いかけました。
「それでこそ、我が主人エレナーゼ様っす」
シークは1人拍手をしながら、大袈裟に私のことを讃えてくれました。
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