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14話 葛藤 その2
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グラン・ボアズキョイ侯爵令息の身辺調査……私とガレス様はそれを行うことにした。宝石店でのあのやり取りから1週間ほどが経過している。
「グラン・ボアズキョイ侯爵令息……同じ貴族の身辺調査を行うことになるとは思わなかったな」
「私も同意見でございます、ガレス様」
妹のマレーネの為に動くというだけでも微妙な何かを感じていると言うのに……まさか、侯爵家であるグラン・ボアズキョイ様の身辺調査をすることになるなんて。
少し前の私からはとても、想像できないことだったわね。
「グラン様の想い人の一人として、ラジェル・ヴィクター伯爵令嬢がいらっしゃるのは間違いないようです」
私はこの1週間の間で、各方面から色々な資料を調達していた。それらを見てからの推測だ。いえ、推測と言うよりは確信に近いのかもしれないけれど。
「やはりそうか……私の方での独自調査でもそのような結果が出ていた」
「左様でございましたか……」
私達は身辺調査の精度を上げる為に、私とガレス様それぞれが別の方法での調査をしていた。でもまあ、1週間での調査という短すぎる期間なので、被っている部分がたくさんあるだろうけど。
「私の身辺調査ではラジェル嬢とグラン殿との血縁関係はまったく出てこなかった」
「それについては、私も同意見でございます。ガレス様の言う通り、血縁関係という事実を掴み取ることは出来ませんでした」
「そうか……まあ、やはりそうかと言うべきなのかもしれないな」
「はい……そうですね」
私達のそれぞれの身辺調査で出て来た答えは、より正解に近いと言えるだろう。やはりグラン様という人物は……。
「グラン殿は浮気癖の強い、最低な貴族というところに帰結してしまいそうだな」
「やはり、ガレス様もそう思われますか……」
「ああ、マレーネ嬢の婚約者のことを無暗に悪く言いたくはないが……あの、宝石店での態度を鑑みると、かなり性格の悪い人物に映ってしまうな」
「……」
私はどうしたら良いのだろうか? 侯爵令息であるグラン様から妹のマレーネを取り戻す? いえ、普通に考えればそうなるだろうけれど……。私は素直にそうしたいとは思えなくなっていた。グラン様を選んだのは、マレーネ自身の自業自得、因果応報と思えてならなかったからだ。
こんな考えを持ってしまうのは器量の狭い人物と映ってしまうかもしれないけれど……。
「セレナ嬢、1つ提案があるんだが、聞いていただけるだろうか?」
「は、はい……なんでしょうか? ガレス様?」
「よろしければ今度、我がハロルド家でパーティーを開くというのはどうだろうか? そこにグラン殿とマレーネ嬢を呼び出すんだ」
「あの二人を、ですか?」
「うむ。二人の様子を見る良い機会になるかもしれないしな」
なるほど、二人の様子を見るか。確かに妙案のような気がした。同時にまだ迷っている私への、ガレス様の配慮のような気がしていた。
「グラン・ボアズキョイ侯爵令息……同じ貴族の身辺調査を行うことになるとは思わなかったな」
「私も同意見でございます、ガレス様」
妹のマレーネの為に動くというだけでも微妙な何かを感じていると言うのに……まさか、侯爵家であるグラン・ボアズキョイ様の身辺調査をすることになるなんて。
少し前の私からはとても、想像できないことだったわね。
「グラン様の想い人の一人として、ラジェル・ヴィクター伯爵令嬢がいらっしゃるのは間違いないようです」
私はこの1週間の間で、各方面から色々な資料を調達していた。それらを見てからの推測だ。いえ、推測と言うよりは確信に近いのかもしれないけれど。
「やはりそうか……私の方での独自調査でもそのような結果が出ていた」
「左様でございましたか……」
私達は身辺調査の精度を上げる為に、私とガレス様それぞれが別の方法での調査をしていた。でもまあ、1週間での調査という短すぎる期間なので、被っている部分がたくさんあるだろうけど。
「私の身辺調査ではラジェル嬢とグラン殿との血縁関係はまったく出てこなかった」
「それについては、私も同意見でございます。ガレス様の言う通り、血縁関係という事実を掴み取ることは出来ませんでした」
「そうか……まあ、やはりそうかと言うべきなのかもしれないな」
「はい……そうですね」
私達のそれぞれの身辺調査で出て来た答えは、より正解に近いと言えるだろう。やはりグラン様という人物は……。
「グラン殿は浮気癖の強い、最低な貴族というところに帰結してしまいそうだな」
「やはり、ガレス様もそう思われますか……」
「ああ、マレーネ嬢の婚約者のことを無暗に悪く言いたくはないが……あの、宝石店での態度を鑑みると、かなり性格の悪い人物に映ってしまうな」
「……」
私はどうしたら良いのだろうか? 侯爵令息であるグラン様から妹のマレーネを取り戻す? いえ、普通に考えればそうなるだろうけれど……。私は素直にそうしたいとは思えなくなっていた。グラン様を選んだのは、マレーネ自身の自業自得、因果応報と思えてならなかったからだ。
こんな考えを持ってしまうのは器量の狭い人物と映ってしまうかもしれないけれど……。
「セレナ嬢、1つ提案があるんだが、聞いていただけるだろうか?」
「は、はい……なんでしょうか? ガレス様?」
「よろしければ今度、我がハロルド家でパーティーを開くというのはどうだろうか? そこにグラン殿とマレーネ嬢を呼び出すんだ」
「あの二人を、ですか?」
「うむ。二人の様子を見る良い機会になるかもしれないしな」
なるほど、二人の様子を見るか。確かに妙案のような気がした。同時にまだ迷っている私への、ガレス様の配慮のような気がしていた。
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