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3話 来客 その1
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「はあ……今頃は貴族の間で有名になっているんでしょうね」
オメガ王国の貴族は噂話に目がない。他の国でも同じかもしれないけれどとにかくそういうことだ。今頃はパーティーなどで私が悪者だという噂が流れていても不思議ではない。あの日から1週間以上経過しているのだから。その間に幾つのパーティーが開催されたことか……はあ、憂鬱になるわ。
私はその間は心の静養に努めていた。静養と言えば語弊があるかもしれないけれど、とにかく大人しく屋敷で暮らしていたということだ。無駄な1日にならないように図書室で本を読んだりして知識を付ける毎日が続いていた。あんまり意味のない日々ではあったけれど、それでも知識を付けることは悪いことではないだろうからね。
「リオナ、いるかな? 入っても大丈夫か?」
「お父さん……ええ、大丈夫よ」
そんな時、私の部屋をお父さんが訪ねて来た。一体どんな用件かしら……。
「どうしたの?」
「いやなに。気分はどうかと思ってな」
お父さんからは定期的に聞かれるこの言葉。自分に任せておけという言葉と連動されているのかしら?
「気分は落ち着いているわ。まあ、あの時のことを忘れるレベルには到達していないけれど」
「うむ、まあ落ち着いているなら良かったよ」
「今日は一体どういう用件なの?」
「実はな……まあ、なんと言えばいいのか」
「お父さん……?」
お父さんがめずらしく言葉を濁していた。あんまりこういう事態に陥ったことはないので私も不思議に思ってしまう。
「リオナには気分転換をしてもらいたいと思ってな」
「気分転換? それは前に自分に任せておけと言ったことと関係があるの?」
「うむ、そうだな。関係はあると言えるだろう」
「そうなんだ」
お父さんはどうやら私に気分転換をしてほしいようだ。それで婚約破棄のことを忘れるようにという意味合いが込められているのだろうか。非常にありがたいことだけれど、肝心の気分転換の内容が分からなかった。
「それで、どのように気分転換をすればいいの? なにか具体案があるのかしら?」
「実は明日、客人を招く手筈になっている」
「客人?」
意外な言葉が出て来たので私は戸惑ってしまった。この状況で客人とは……。
「お前の幼馴染であるヨシュア・オメガ第四王子殿下と連絡が取れてな。明日来てくれることになっているんだ」
「ええ? ヨシュアが来てくれるの! うそ……信じられない」
ヨシュア・オメガ王子殿下……第四位王位継承者で私よりもはるかに地位の高い人物だ。昔の知り合いではあるのだけれど……彼がまさか来てくれるなんて。
「お父さんの人脈が凄いことがよく分かったわ」
「ははは、そうだろう。ただ……もう一人、来てくれることになっていてな。これが……まあ、なんというのか」
「もう一人?」
あまり意味が分からなかった。どういうことだろうか?
「マイケル・カウスマン侯爵令息もあした来てくれることになっているんだ。これで少しややこしくなってしまってな」
「マイケル様が……ええ?」
マイケル様とは何度かパーティーで一緒になったことがある。とても誠実なお方という印象だったけれど……その方も明日来られると言うの? 一体なぜ? お父さんの交友関係が謎過ぎるわ。なんだか私は軽く混乱してまっていた……。
オメガ王国の貴族は噂話に目がない。他の国でも同じかもしれないけれどとにかくそういうことだ。今頃はパーティーなどで私が悪者だという噂が流れていても不思議ではない。あの日から1週間以上経過しているのだから。その間に幾つのパーティーが開催されたことか……はあ、憂鬱になるわ。
私はその間は心の静養に努めていた。静養と言えば語弊があるかもしれないけれど、とにかく大人しく屋敷で暮らしていたということだ。無駄な1日にならないように図書室で本を読んだりして知識を付ける毎日が続いていた。あんまり意味のない日々ではあったけれど、それでも知識を付けることは悪いことではないだろうからね。
「リオナ、いるかな? 入っても大丈夫か?」
「お父さん……ええ、大丈夫よ」
そんな時、私の部屋をお父さんが訪ねて来た。一体どんな用件かしら……。
「どうしたの?」
「いやなに。気分はどうかと思ってな」
お父さんからは定期的に聞かれるこの言葉。自分に任せておけという言葉と連動されているのかしら?
「気分は落ち着いているわ。まあ、あの時のことを忘れるレベルには到達していないけれど」
「うむ、まあ落ち着いているなら良かったよ」
「今日は一体どういう用件なの?」
「実はな……まあ、なんと言えばいいのか」
「お父さん……?」
お父さんがめずらしく言葉を濁していた。あんまりこういう事態に陥ったことはないので私も不思議に思ってしまう。
「リオナには気分転換をしてもらいたいと思ってな」
「気分転換? それは前に自分に任せておけと言ったことと関係があるの?」
「うむ、そうだな。関係はあると言えるだろう」
「そうなんだ」
お父さんはどうやら私に気分転換をしてほしいようだ。それで婚約破棄のことを忘れるようにという意味合いが込められているのだろうか。非常にありがたいことだけれど、肝心の気分転換の内容が分からなかった。
「それで、どのように気分転換をすればいいの? なにか具体案があるのかしら?」
「実は明日、客人を招く手筈になっている」
「客人?」
意外な言葉が出て来たので私は戸惑ってしまった。この状況で客人とは……。
「お前の幼馴染であるヨシュア・オメガ第四王子殿下と連絡が取れてな。明日来てくれることになっているんだ」
「ええ? ヨシュアが来てくれるの! うそ……信じられない」
ヨシュア・オメガ王子殿下……第四位王位継承者で私よりもはるかに地位の高い人物だ。昔の知り合いではあるのだけれど……彼がまさか来てくれるなんて。
「お父さんの人脈が凄いことがよく分かったわ」
「ははは、そうだろう。ただ……もう一人、来てくれることになっていてな。これが……まあ、なんというのか」
「もう一人?」
あまり意味が分からなかった。どういうことだろうか?
「マイケル・カウスマン侯爵令息もあした来てくれることになっているんだ。これで少しややこしくなってしまってな」
「マイケル様が……ええ?」
マイケル様とは何度かパーティーで一緒になったことがある。とても誠実なお方という印象だったけれど……その方も明日来られると言うの? 一体なぜ? お父さんの交友関係が謎過ぎるわ。なんだか私は軽く混乱してまっていた……。
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