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6話 侯爵令息 その3
しおりを挟むハグリズはとんでもない噂を流してくれたみたいだ。私の性格に難があるから婚約破棄……こんな噂が流れたのでは私はパーティーに出席することができない。はあ、本当にどうしたらいいんだろうか。
焦っても仕方ないのはわかっているけれど、悪い方向へ考えてしまうわ。
「リクイド様。リクイド様のお考えを聞かせてもらってもよろしいでしょうか? 何か妙案などは?」
「妙案ということではありませんが……このままほとぼりが冷めるまで籠っているのは逆効果になるかもしれません」
「ほう、逆効果……ですか?」
「ええ、その通りですローゼン様。いっそのことパーティーに出席して気にしていない素振り……アピールをする方が良いでしょう」
「むう、それはまた大胆なことですな」
かなり勇気のいることなのは間違いない。引きこもっているよりはいいのかもしれないけど……。
「ご心配なさらなくても大丈夫です。私が同行いたしますので」
「えっ……リクイドが?」
「ああ、レナ。君さえ嫌でなければ一緒にパーティーに出席しないか? 周りの噂をはねのけるためにも」
……確かにそれは一理あるかもしれない。リクイドと一緒に出席すれば話題にもなるだろう。もしかしたら、ハグリズの流した噂に疑問を持ってくれる人が現れるかもしれないもの。それでも勇気のいることには違いないけれど……。
「私は別に嫌ではないけれど……リクイドは平気なの? なにか別の噂が出て来るかもしれないわよ?」
「そのくらいは覚悟の上さ。レナを守るためだったら多少のことは平気だよ」
「リクイド……」
これは非常にポイント高いわ。流石はリクイドと言ったところかしら。4年間の留学を経て成長しているのね。感心しちゃう。
「では、最近のパーティーでいいますと、来週、パナマ伯爵の誕生パーティーがあります。そちらに出席されては如何でしょうか?」
「パナマ伯爵ですか。ちょうどいいですね、それに出席しましょう。レナもそれでいいかな?」
「私は構わないわ。でもリクイド、本当に大丈夫なの? あなたは侯爵令息なのよ?」
「元々は子爵令息だったんだし、このくらい平気だよ。レナの助けになることができるのなら、余計に嬉しいしね」
「うん、ありがとうリクイド」
「どういたしまして」
ひょんなことからメンフィス・パナマ伯爵の誕生パーティーに出席することになった。それもリクイドと二人でだ。なんだか信じられない状況だけれど、少しでもハグリズに噂には対抗していかないと駄目よね。
気合いをいれていこう。
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