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1章 農園始めます!

第3話 お願いされました。

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 「ああ、それなんですがね。先程も申し上げました通り、一つお願いを聞いて欲しいのですよ」

 「お願い?」
 「はい、ここで仕事をして欲しいのです」
 「仕事? ……って何の? お給料とか福利厚生は? 取り敢えずまず最低限の衣食住は保証してもらわないと、返事は出来ないですよ?」

 「はい、勿論衣食住は保証しますよ。……それらの質についてはあなたの働き方次第ですけれど。あなたには、ここで農場を作って貰いたいのですよ」

 「農場……?」
 「はい、農場です。野菜を育てるも果樹園にするも牧場にするもあなたのご自由に」
 「あの、私ただのOL――えっと事務員で……、農場って……何も分からないんですけど?」

 リアルで経験したのは小学校の夏休みに育てた朝顔とミニトマト。
 マンションのベランダに置いたプランターで育てた経験のあるのはただそれだけ。

 テレビでアイドルが農業やる番組があったけど、あんまり見たことは無かった。

 唯一、積みゲーにしなかった、牧場をやるゲーム。
 その知識はあったけど、あんなのリアルじゃ役立たないでしょう……?

 「ああ、大丈夫ですよ。サポートシステムを私の加護として能力スキルにして与えますので」

 ……まぁ、農場をやるなら、最低でも野菜には困らなくなるから、食は一応確保が確実だ。
 流石に異世界とはいえニートして暮らしていけるなんて、そこまで甘い話は無いだろうから、どうせ働くなら、衣食住保証してくれるなら。

 「……でも、どうして農園?」

 しかも神様が居るってことは、ここ、ラノベによく出てくる白い空間的な場所じゃない?
 白い空間どころか外はだだっ広い草原だし、ここは小屋だし。

 普通はここで神様からチートとお役目貰って、下界と言うか人間界的な場所からスタートじゃない?

 「……私の世界はですね、もう既に普通の農業なんて不可能に近い、デストピア一歩手前の状態なんですよ」
 神様と名乗る青年が、悲しげに語った。

 この世界には人間も獣人も魔人も、獣も魔物も居るんだそうで。

 獣や魔物はともかく、人間と獣人と魔人の間で長く戦争をやりすぎ、自然を破壊し大地を汚し、結果自分達の住める場所を減らし、わずかに残った綺麗な大地を争って、なお戦争を続けている、と。

 「もう、私一人の力で世界の浄化をしても間に合わないのです」

 故に。

 「世界再生を。その助力を、あなたに頼みたいのです」
 「え、そんな。世界再生なんて私には無理ですって、何すれば良いんですか」
 「ですから、農園を。勿論世界再生そのものは私の仕事ですよ。あなたに頼むのはあくまでその助力です」
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