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1章 農園始めます!

第9話 畑の季節設定

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 初めてカブを収穫したあの日から、約三十日が経った。
 地球の感覚だと約一月。

 そこで改めて季節というものの存在を思い出し、アグリに尋ねた。

 「あのさ、この世界の暦について教えてほしいんだけど……」
 「それは構いませんが……、その、ここではあまり意味がありませんよ?」
 「……へ?」
 「ここは、私という神が居る事で構築される世界、言うならば神界です。
 外界の理はこちらには及ばず、私の力次第でどうにでも好きに出来る。
 ……私はこの世界唯一の神なので、外界もある程度好きに弄る権限を持ちますが、既に知的生命体が存在する程成熟した世界では、神のルールに則った行為しか出来ませんからね」

 「あの、ではここで夏野菜とか、他の季節に収穫出来る野菜を育てるにはどうしたら……」

 「ああ、それでしたら……設定でコントロールできますよ?」
 「……設定、ですか?」
 「はい、ステータス画面に設定アイコンがあったはずなのですが……」

 言われて改めて見てみる。

 「ああ、ほらこれですよ」
 ホログラム画面の右上にある3本線。
 ……今の今まで画面の装飾模様の一つと思い込んでました、ごめんなさい。

 改めてタッチしてみると、季節の他にも雨に雪など天気も変えられるらしい。

 「ただ、辺り一面一斉に季節を変えたいのでなければ、ポイントで温室を入手し、一つ一つ季節や天気設定をすると良いですよ」

 ほぉ。
 ハウス一つに必要なポイントは結構するけど、その機能、日本の真面目な農家さんにすごく怒られそうなチートよね……。

 毎年異常気象に泣いてた農家の皆さん、本当ゴメンナサイ……。
 けど、せっかくある機能なら便利に使わなきゃ勿体ないですからね。

 早速ハウスを一つ造り、その中を夏に設定する。

 そして撒くのはスイカにかぼちゃにトウモロコシ。
 「焼きとうもろこし、食べたいよね」

 秋のハウスを作ったら、さつまいもを植えて焼き芋するんだ……。
 まだポイント足りないからもうしばらく我慢だけど。

 春の畑に新しくキャベツの種を撒き、じゃがいもを収穫する。

 「うーん、醤油はまだ無理でも、そろそろバター、欲しいよねぇ」

 じゃがバター、食べたい。
 だけど、酪農に手を出すにはまだまだ手が足りない。

 始めたばかりの農園がこれだけ広くなっただけでも褒めてほしいくらいだ。
 ……いや、色々と時短に手抜きスキルに助けられてるから、現役農家さんには怒られそうだけど。
 そこは素人初心者ってことで大目に見てほしい。

 「けど……、やっぱりいずれは人手が要るよねぇ……」
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