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10、宮廷魔術師の初日4
しおりを挟む夜空の漆黒の中に浮かび上がる白銀の髪、背景の黒が彼女の白銀の髪がコントラストになって映える、艶のある黒い瞳が二対、服装は宮廷魔術師団指定の制服、ありふれた服だが彼女が着るだけで一点物の芸術作品に思えるほどの魅力を放つ。
カイは月光に照らされる彼女、イヴに見惚れた。
「……チッーー油断しやがって……女相手に情けない」
「フッーー敵だけどアドバイスしてあげる、性別で人を判断すると戦場では後悔するよ?」
「………フン、生意気な小娘だ、すぐにバラしてやる」
油断なく構えながら、イヴはカイに話しかける。
「大丈夫?立てる?」
彼女からの掛け声で正気に戻るカイ。
「あ、ああーー大丈夫だ」
「なら病人に鞭打つみたいで悪いんだけど他の人を呼んできてくれない?」
「なっーー俺に女の子を見捨てて逃げろってのか!!出来るわけないだろ!」
「……….そりゃご立派な騎士道だけど、今貴方がここにいて何かできることはある?……それに相手が一番嫌がることをするのは戦闘の基本よ……」
「うっーーー確かにそうだけど…………嫌がる事?どういうことだ?」
「………少数精鋭で乗り込むことが多い暗殺者は人知れず目標を殺す事が目的なわけ……そんな彼らにとって1番の厄介事は宮廷中の剣士やら魔術師やらがワラワラ寄ってくるシナリオが最悪なの……このままお荷物の貴方を抱えて四対一をするよりも、誰かを呼んでくる貴方の行動に焦った状態での四対一のほうがまだ私的には都合がいい………」
「………….わかった、けど一つ言わせてくれ……死ぬなよ」
「ハッーー、それはこっちの台詞だって新任早々同僚が死ぬなんて最悪………….こいつらは私が引き受ける、お前は先に行け!!ーーーなんてね、人生で一度は言ってみたかった台詞第十位!、言えて嬉しいわ~」
「そんだけふざけられるなら上等だ、それじゃあ俺は助けを呼びに行ってくる!!」
そんなこんなでやっと彼は助けを呼びに行った。
「ーーー追いましょうか?」
「いや、良い、あいつは無視する、追ったところで近くに誰かいたらイタチごっこになりかねん、それなら四人で確実に迅速にこいつを排除、その後に王族を殺しに行くぞ」
「了解」
「迅速に排除……ね、やれるもんならやってみやがれ」
相手は数の利を活かして私を囲む、一人が切り込んできた、恐らく他の奴らの魔法の詠唱を済ませる為の陽動、なら馬鹿正直に付き合ってやる必要はない。
『風刃両断』
「ッッーー!!!」
「なッーーにーー」
近寄ってきた奴に風の刃を叩きつける、胴体と下半身が泣き別れ、だがそれでは緩いと言わんばかりに後ろの敵もついでに両断していた。
「馬鹿な……無詠唱だと……」
「ありえない……一体何者だ」
「………誰でも良いじゃない、しいて言うならそうね、私は貴方達を葬るものよ」
「チッーー調子にッッーー!!!?ゴフッーー」
相手が喋っている間に懐に入り殴りつける私。
「ば、馬鹿な、無詠唱を使える上に体術まで……」
「………あの陣形の時点であんたら魔術師でしょ?、この距離だったらこっちの方が早いし………私の魔法威力高すぎて貫通して通行人とかに当たったら目も当てられないしね」
「そ、そんな、無詠唱まで使える魔術師が体術まで出来るだと!!?ありえなっーーガハッーー」
「残念、一流の魔術師は身体も鍛えてるものよ」
最後の一人には踵落としを決めて意識を奪う。
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