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14.何者

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『んっ!?…この人たち、一体いつからいたんだろう?』

ついつい、魔力の練り上げに夢中になっていたシェイラは、二人が部屋に入ってきていたことに全く気がついていなかった。無事に解呪が終わり、一息つきながら振り返ると扉の前に、団長であるグレンと副団長のカイゼルが立っていたのだ。
他の騎士たちに案内させ、勝手に部屋に入り、勝手に解呪を施してしまった為、絶対に怒られると思っていたシェイラは、未だ呆然と立ちすくす二人に対し不思議そうに首を傾けた。

「えっと…あの…、勝手にすみませんでした!」

怒られる前の、必殺!先制謝罪だ。
シェイラは、相手が発する前にさらに言葉を続けた。

「あっ!でも、解呪は無事に終わりましたので、もう大丈夫です。この拘束具とかも取って大丈夫ですし、精神に干渉される心配もありません。完全に根まで消滅させてますので大丈夫です。
えっと…ほかは、他には…
あ、包帯も、包帯も取れます。もう、綺麗に消えているので…い、一度見てみてください。

…はい。」


「「・・・・・」」


「あの…では、私はこれで」

これでも、シェイラは拙いながらに必死に弁解しているのだが、目の前に立つ2人からは何の反応もみられなかった。
もはや、一言も発することが出来ないほど、怒っているのだろうか?
あまりにも反応がない2人をみて、不安を隠しきれないまま慌てて部屋を出ようと試みるも、その扉の前にはグレンとカイゼルの二人が立っているのだ。

…出られない。

気まずい沈黙が続く中、真っ先に動いたのはグレンとカイゼルだった。

どうにかして部屋を出ようとしていたシェイラに対し、すぐさま腕を掴んだのは団長であるグレンだ。
そして、行手を遮る様に目の前に立ったのは、副団長であるカイゼルだった。
その、驚くほど見事な連携プレーに思わず拍手を送りたくなる。
捕獲されているのが、自分でなければの話だが…。


「君に聞きたいことが山ほどあるけど…
正直、いったい何から聞けばいいのか迷っている」

そう言って、目の前で起きた事にまだ理解が追いついていない様子のカイゼルに続き、グレンも口を開いた。

「あぁ、俺も君に聞きたい…。君は一体、何者なんだ?」



グレンとカイゼル…
アルトニア騎士団を引っ張る2人の瞳には、目の前に立つ人物への、期待と不安が入り混じっているようだった。





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