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罪と罰
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ウィリアムはマテウスに
「さてオフィーリアの罪は王族への偽証罪に不敬罪、そして横領罪だ」
「横領?」
「そうだよ、王族でも無いのにやれドレスだの装飾品だと国庫に手をつけていたんだから当然、罰を受けなければならない」
「…そ、そんな」
「マテウス、お前の罪は無知だ。お前は王子でありながら国の状態に見向きもしなかった。本来なら父が即位した時に遷都する予定だったのに私の時になったのは何故だと思う?」
「ま、まさか父上が取り止めたのですか」
「取り止めたと言うより我が儘を通したのだよ。そのせいで国が衰退しようともどうでも良かったのだろう」
「どうして…」
「それはお前の方が理解出来るのではないのか」
「何をです」
「曾祖父、祖父が賢王と例えられているのに対し、父は凡庸だと言われている。その劣等感から意地を張り続けた結果がこれだ。お前は父によく似ているよ」
「僕はそんなつもりでは」
「だったらレイティアが領地で過ごす間、お前は一度でも会いに行って、彼女のしている事を見たことがあったのか」
そう言われてマテウスは、レイティアのしている事に興味を持った事もきちんと話を聞いた事も無いことに気が付いた。
だが、もう遅い。後悔しても遅いのだ。
「マテウス、お前の罪は見なかった事、知ろうとしなかった事だ。国の現状を見聞きせずに王子としての責務を果たさなかった事だよ」
「それは、レイティアと結婚して辺境伯爵家に婿に入るはずでしたから」
「言い訳は止めろ!それに今は私の妻だ。呼び捨ては許さない」
「申し訳ありません」
「どちらにせよ。お前の甘えがこの結果となったんだ。
夜会に出席していた貴族が国の貴族の1/3に充たない事を、お前は把握出来ていなかったな」
そういえばやけに人数が少ないとは思っていたが、まさかあの時既に見限られていたとは、考えも及ばなかった。
兄に勝てたと浮かれ酔っていた自分が急に恥ずかしくなった。
冷静になって考えたら分かることなのに、考えもしなかった。
優秀な兄と比べられる事の多かったマテウスは、初めて兄に優越感を感じた瞬間だったからだ。
しかし、それすらも砂の上の虚像にしか過ぎないものだった。
「あの時言っただろう、婚約を破棄してくれて感謝すると、お陰でレイティアを取り戻す事が出来たよ」
マテウスは改めて、あの婚約破棄は、誰が仕組んだ物か理解した。
「さあ、お帰りだ。隣国に」
その時、玉座の後ろから王妃の衣装を纏ったレイティアが現れた。
「マテウス様、今までありがとうございました。婚約を解消して頂いて、私は愛するウィリアム様の元に嫁ぐ事ができました」
にっこり笑い、淑女の礼をするレイティアは、マテウスが見たどの姿より美しいものでした。
ーーー婚約破棄は、誰が為に
それはウィリアムとレイティアの為に仕組んだものだった。
オフィーリア達はウィリアムの計略にまんまと引っ掛かり、婚約破棄した結果、手にしたのは滅び行く王国の未来だった。
これからも王国という名の牢獄で、死ぬまで出る事の許されない罰を受けたのだった。
「さてオフィーリアの罪は王族への偽証罪に不敬罪、そして横領罪だ」
「横領?」
「そうだよ、王族でも無いのにやれドレスだの装飾品だと国庫に手をつけていたんだから当然、罰を受けなければならない」
「…そ、そんな」
「マテウス、お前の罪は無知だ。お前は王子でありながら国の状態に見向きもしなかった。本来なら父が即位した時に遷都する予定だったのに私の時になったのは何故だと思う?」
「ま、まさか父上が取り止めたのですか」
「取り止めたと言うより我が儘を通したのだよ。そのせいで国が衰退しようともどうでも良かったのだろう」
「どうして…」
「それはお前の方が理解出来るのではないのか」
「何をです」
「曾祖父、祖父が賢王と例えられているのに対し、父は凡庸だと言われている。その劣等感から意地を張り続けた結果がこれだ。お前は父によく似ているよ」
「僕はそんなつもりでは」
「だったらレイティアが領地で過ごす間、お前は一度でも会いに行って、彼女のしている事を見たことがあったのか」
そう言われてマテウスは、レイティアのしている事に興味を持った事もきちんと話を聞いた事も無いことに気が付いた。
だが、もう遅い。後悔しても遅いのだ。
「マテウス、お前の罪は見なかった事、知ろうとしなかった事だ。国の現状を見聞きせずに王子としての責務を果たさなかった事だよ」
「それは、レイティアと結婚して辺境伯爵家に婿に入るはずでしたから」
「言い訳は止めろ!それに今は私の妻だ。呼び捨ては許さない」
「申し訳ありません」
「どちらにせよ。お前の甘えがこの結果となったんだ。
夜会に出席していた貴族が国の貴族の1/3に充たない事を、お前は把握出来ていなかったな」
そういえばやけに人数が少ないとは思っていたが、まさかあの時既に見限られていたとは、考えも及ばなかった。
兄に勝てたと浮かれ酔っていた自分が急に恥ずかしくなった。
冷静になって考えたら分かることなのに、考えもしなかった。
優秀な兄と比べられる事の多かったマテウスは、初めて兄に優越感を感じた瞬間だったからだ。
しかし、それすらも砂の上の虚像にしか過ぎないものだった。
「あの時言っただろう、婚約を破棄してくれて感謝すると、お陰でレイティアを取り戻す事が出来たよ」
マテウスは改めて、あの婚約破棄は、誰が仕組んだ物か理解した。
「さあ、お帰りだ。隣国に」
その時、玉座の後ろから王妃の衣装を纏ったレイティアが現れた。
「マテウス様、今までありがとうございました。婚約を解消して頂いて、私は愛するウィリアム様の元に嫁ぐ事ができました」
にっこり笑い、淑女の礼をするレイティアは、マテウスが見たどの姿より美しいものでした。
ーーー婚約破棄は、誰が為に
それはウィリアムとレイティアの為に仕組んだものだった。
オフィーリア達はウィリアムの計略にまんまと引っ掛かり、婚約破棄した結果、手にしたのは滅び行く王国の未来だった。
これからも王国という名の牢獄で、死ぬまで出る事の許されない罰を受けたのだった。
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