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第1章 ここが異世界
第51話 手出し無用です!
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「さて、思わず話が長くなってしまったが、ここまでにしておこうか。其方も旅の疲れがあるだろう」
「まあ、そうですね。旅疲れと言うよりは……ホント、色々ありましたからね」
「そ、そうか。まあ、直に慣れるだろう。では部屋まで案内させよう」
領主がそう言って卓上の小さなベルをチリンチリンと鳴らせば「お呼びですか」とメイドさんが部屋に入って来ると「ヒロ殿を案内してくれ」と伝える。
「はい、ではこちらへ」
「あ、はい。お願いします」
「ふふふ、お願いされました」
「え? あ!」
最初はお辞儀していたので気付かなかったが、よく見るとさっき食堂でセシルと一触即発状態だったメイドさんで名前は確か……ユリアさんだったような。
領主の部屋から出て長い廊下を歩きながら、さっきのユリアさんの態度が気になり小声でコソッと聞いてみる。
「部屋に案内してくれるだけですよね?」
「ええ、他にお望みのことがあれば、私に出来得ることはなんでもしますよ。あんな乳だけの女には負けませんから、ふふふ。是非、試して見て欲しいです」
「え? えぇ~」
「やはり、乳でしょうか?」
「あ、いやそうじゃなくて……」
ユリアさんは自分の大きくはないが形の良さそうな、その胸を両手でギュッと挟み込むがそれはやっと谷間が出来る程度の大きさしかないようだ。
ユリアさんは自分の胸がそれほど大きくないことでセシルに劣等感を抱いているように思えるが、俺からすればそれは贅沢な悩みとしか思えない。
セシルが豊満な容姿だとすれば、ユリアさんはスレンダーであり、軽く力を入れただけで腕の骨が折れそうなほど華奢である。そして、怪しげに俺に笑いかけるその目は細く狐顔の美人さんだ。
だから、俺は妙なことが気になってしまう。セシルは類い希なる容姿を持て余してフリーな身なのは、あの暴走しがちな性格にあるからだと予想出来る。じゃあ、ユリアさんにはどんな問題があるのだろうかと考えてしまう。そう言えば、年齢も分からないが、少なくともセシルの態度からセシルよりは年下なのだろうと推測出来る。で、あれば年齢的な問題はないのにもらい手がいないことの方が問題な気がしてきた。
そう思うとユリアさんからの積極的なアプローチも迂闊に手を出してはいけないんだと頭の中で警鐘が鳴り響く。
「この世界には地雷しかないのかよ……」
「何か?」
「あ、いえ。あの、失礼を承知で聞きますが、ユリアさんはお幾つなんですか?」
「ふふふ、ホントに失礼ですね。初めて会った女性に歳を聞くなんて」
「す、すみません。ちょっと気になってしまって」
「あら、そんな……気にしてくれるのですね。ならば、お教えしましょう。私は一九歳のティーンエイジャーです! あんな行き遅れのおばさんとは違いますよ?」
「誰がおばさんだって?」
ユリアさんに危機感を覚え、ちょっとだけ距離を取ると目の前にセシルが仁王立ちで待ち構えていた。
「あら、いたんですか?」
「ええ、いましたとも。ヒロ様の気配がしたので廊下に出てお迎えしようと思っていたら、ホント油断も隙もありゃしないわね」
「ちょっと、セシル。ここまで案内ありがとうユリアさん」
「ユリアです」
「え?」
「だから、ユリアです。はい、リピートアフターミー」
「ユリ「はい、そこまで! ヒロ様もなんですか!」アさん」
「ちっ……まあいいでしょう。では、ヒロ様。おやすみなさいませ」
「うん、おやすみなさい」
「早く帰りなさい!」
「セシルもだよ」
「え?」
「だから、一緒には寝ないって言ったよね」
「そんなの忘れました!」
「ほら、セシル。いつまでもここにいたらヒロ様もおやすみになれませんわよ」
「ぐっ……分かりました。一緒に寝るのは諦めます。ですが、起こしに来るのは構いませんよね?」
「まあ、それくらいなら……」
「約束ですよ?」
「ああ、でもあまり早い時間は止めて欲しいかな」
「ちっ……」
「例えば、午前〇時を超えたから朝だと言い張るのは止めてよね」
「ヒロ様は人の心が読めるのでしょうか……」
「「……」」
セシルがユリアさんに腕を引っ張られてはいるが、なかなか部屋の前から動かないでいたが、起こしに来るのは構わないよねと言ってくるが、その起こしに来る時間を警戒して俺から釘を刺せばセシルは自分の考えを読まれたことで驚愕してしまう。
「はいはい、取り敢えずは明日の朝ね。言っとくけど、朝だからね。出来れば午前八時以降にして欲しいかな」
「……分かりました」
「八時ですね」
「「え?」」
セシルに明日は朝の八時以降にして欲しいと言えば、ぐぬぬといった感じでセシルは頷くが、その隣に立つユリアさんも時間を確認していたのに俺とセシルは思わずユリアさんの顔を見てしまう。
「はい、セシル。お暇しましょう。では、ヒロ様おやすみなさいませ」
「ああ、おやすみ」
「ヒロ様ぁ~」
ユリアさんに引き摺られていくセシルを見送ってから部屋の扉を開けると、部屋いっぱいに障壁を張る。
「よし、これで闖入者をふせげるだろう。セツ、寝ようか」
『ピィ!』
「まあ、そうですね。旅疲れと言うよりは……ホント、色々ありましたからね」
「そ、そうか。まあ、直に慣れるだろう。では部屋まで案内させよう」
領主がそう言って卓上の小さなベルをチリンチリンと鳴らせば「お呼びですか」とメイドさんが部屋に入って来ると「ヒロ殿を案内してくれ」と伝える。
「はい、ではこちらへ」
「あ、はい。お願いします」
「ふふふ、お願いされました」
「え? あ!」
最初はお辞儀していたので気付かなかったが、よく見るとさっき食堂でセシルと一触即発状態だったメイドさんで名前は確か……ユリアさんだったような。
領主の部屋から出て長い廊下を歩きながら、さっきのユリアさんの態度が気になり小声でコソッと聞いてみる。
「部屋に案内してくれるだけですよね?」
「ええ、他にお望みのことがあれば、私に出来得ることはなんでもしますよ。あんな乳だけの女には負けませんから、ふふふ。是非、試して見て欲しいです」
「え? えぇ~」
「やはり、乳でしょうか?」
「あ、いやそうじゃなくて……」
ユリアさんは自分の大きくはないが形の良さそうな、その胸を両手でギュッと挟み込むがそれはやっと谷間が出来る程度の大きさしかないようだ。
ユリアさんは自分の胸がそれほど大きくないことでセシルに劣等感を抱いているように思えるが、俺からすればそれは贅沢な悩みとしか思えない。
セシルが豊満な容姿だとすれば、ユリアさんはスレンダーであり、軽く力を入れただけで腕の骨が折れそうなほど華奢である。そして、怪しげに俺に笑いかけるその目は細く狐顔の美人さんだ。
だから、俺は妙なことが気になってしまう。セシルは類い希なる容姿を持て余してフリーな身なのは、あの暴走しがちな性格にあるからだと予想出来る。じゃあ、ユリアさんにはどんな問題があるのだろうかと考えてしまう。そう言えば、年齢も分からないが、少なくともセシルの態度からセシルよりは年下なのだろうと推測出来る。で、あれば年齢的な問題はないのにもらい手がいないことの方が問題な気がしてきた。
そう思うとユリアさんからの積極的なアプローチも迂闊に手を出してはいけないんだと頭の中で警鐘が鳴り響く。
「この世界には地雷しかないのかよ……」
「何か?」
「あ、いえ。あの、失礼を承知で聞きますが、ユリアさんはお幾つなんですか?」
「ふふふ、ホントに失礼ですね。初めて会った女性に歳を聞くなんて」
「す、すみません。ちょっと気になってしまって」
「あら、そんな……気にしてくれるのですね。ならば、お教えしましょう。私は一九歳のティーンエイジャーです! あんな行き遅れのおばさんとは違いますよ?」
「誰がおばさんだって?」
ユリアさんに危機感を覚え、ちょっとだけ距離を取ると目の前にセシルが仁王立ちで待ち構えていた。
「あら、いたんですか?」
「ええ、いましたとも。ヒロ様の気配がしたので廊下に出てお迎えしようと思っていたら、ホント油断も隙もありゃしないわね」
「ちょっと、セシル。ここまで案内ありがとうユリアさん」
「ユリアです」
「え?」
「だから、ユリアです。はい、リピートアフターミー」
「ユリ「はい、そこまで! ヒロ様もなんですか!」アさん」
「ちっ……まあいいでしょう。では、ヒロ様。おやすみなさいませ」
「うん、おやすみなさい」
「早く帰りなさい!」
「セシルもだよ」
「え?」
「だから、一緒には寝ないって言ったよね」
「そんなの忘れました!」
「ほら、セシル。いつまでもここにいたらヒロ様もおやすみになれませんわよ」
「ぐっ……分かりました。一緒に寝るのは諦めます。ですが、起こしに来るのは構いませんよね?」
「まあ、それくらいなら……」
「約束ですよ?」
「ああ、でもあまり早い時間は止めて欲しいかな」
「ちっ……」
「例えば、午前〇時を超えたから朝だと言い張るのは止めてよね」
「ヒロ様は人の心が読めるのでしょうか……」
「「……」」
セシルがユリアさんに腕を引っ張られてはいるが、なかなか部屋の前から動かないでいたが、起こしに来るのは構わないよねと言ってくるが、その起こしに来る時間を警戒して俺から釘を刺せばセシルは自分の考えを読まれたことで驚愕してしまう。
「はいはい、取り敢えずは明日の朝ね。言っとくけど、朝だからね。出来れば午前八時以降にして欲しいかな」
「……分かりました」
「八時ですね」
「「え?」」
セシルに明日は朝の八時以降にして欲しいと言えば、ぐぬぬといった感じでセシルは頷くが、その隣に立つユリアさんも時間を確認していたのに俺とセシルは思わずユリアさんの顔を見てしまう。
「はい、セシル。お暇しましょう。では、ヒロ様おやすみなさいませ」
「ああ、おやすみ」
「ヒロ様ぁ~」
ユリアさんに引き摺られていくセシルを見送ってから部屋の扉を開けると、部屋いっぱいに障壁を張る。
「よし、これで闖入者をふせげるだろう。セツ、寝ようか」
『ピィ!』
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