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第1章 ここが異世界
第53話 せめて一度だけ
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俺は二人に対し「もう、正座はいいから」とオジーに話せば二人は足の痺れからかヨロヨロと立ち上がり軽くお辞儀をして自室へと戻っていく。
俺は部屋に入るとオジーに今日は何をすればいいのかと確認すれば「特に何をとは旦那様からは言われておりません」と言うので、ならばとオジーに街の散策をお願いする。
「分かりました。では、先に旦那様の許可を取って参ります。昼食は外で済ませるということでよろしいですか」
「うん、頼むよ」
「では、しばらくお待ちを」
俺はオジーを見送ると部屋の中で待つことにした。時間にして数分だろうか、部屋の扉がノックされるので「はい、どうぞ」と返事をすると、予想通りにそこにはオジーが立っていたのだが、セシルもいたので驚く。
「えっと、何してるの?」
「オジーに聞きました。街に出ると」
「うん、そうだよ。留守番よろしく」
「イヤです!」
「え?」
「なんでオジーが相手なんですか! やっぱりヒロ様は両刀なんですか!」
「え? オジーに案内を頼んだだけだし。っていうか、そういう発想は止めて欲しいんだけど」
「ですが、男同士なんて……腐った世界です!」
「いや、俺は腐ってないからね」
「でしたら、相手は私で十分じゃないですか!」
「……ごめんなさい」
「えぇ~」
確かに散策するなら女性が相手してくれる方が楽しいのは想像出来る。でも、相手がセシルなら話は別だ。多分だけど、俺が欲しい情報はまともに話してくれないだろうし、アレが欲しい! コレが欲しい! とかなるのも簡単に予測出来る。
ならば、多少のむさ苦しさはあるけれども俺が欲しい情報をくれるオジーの方が確かだろう。
ま、言っても理解されるとは思えないが、今はこの世界のことを少しでも多くの情報を頭に叩き込み、地雷を踏まないようにすることが大切だ。確かにセシルと街を歩くのなら、セシルのことだから、きっと腕を絡めてくるだろう。そして、俺は肘に神経を集中させる結果になり何も情報が得られないかもしれない。なのでここは自分の欲望に蓋をしてでもおじさんと一緒に町歩きをするしかない。
「ホントにダメですか?」
「うん、ゴメンね」
「ハァ~分かりました。私はお部屋でヒロ様のお帰りを待つことにします。では「ちょっと、待とうか」……え?」
「なんで俺の部屋で待つの?」
「え? 先程、お留守番を頼まれましたよね?」
「ああ、言ったね」
「で、あれば不在のお部屋で待つのは当然のことだと思います。その際にベッドでヒロ様の残り香を元に私があれやこれやといろんなことをしたとしてもいいですよね」
「いやいやいや、全然よくないでしょ」
「もちろん、ベッドメーキングやお部屋の清掃など当たり前のことはしますよ。ですが私の余暇をどう使おうが私の勝手だと思うのですが」
「ああ、もういいよ。分かったよ。でも、散らかすのだけは止めてね」
「はい、お掃除はちゃんとしますので」
「はいはい、お願いしますね。じゃあ、オジー行こうか」
「はい」
普段のメイド服に着替えたセシルも俺とオジーの街ブラに参加したいとお願いしてきたが、俺は自分のリビドーを克服しセシルには留守番をとお願いしたが、そのセシルが俺の部屋で待つと言うので、ちょっと待とうかと話をしてみたが、確かにセシルの言う通りに部屋の掃除もあり部屋に入るなと言うことは出来ない。それに俺が禁止だ、止めてくれと言った所で留守中に何をされたかなんて分からない。だから、俺は諦めてしまった。ただ部屋だけは散らかしてくれるなと。
セシルが俺のお願いに頷いてくれたので俺は呆然としているオジーに言って街へと繰り出すのだった。
「あの~私が言えた義理ではないとは思いますが、ホントにいいのですか?」
「何が?」
「何がって、セシルのことですよ」
「あ~やっぱり考え直した方がいいかな?」
「そうですね。確かに容姿だけで判断するなら、アリなんでしょうが。アレが行き遅れている理由を考えると……仕方無しといいますか」
「ま、言いたいことはなんとなく分かるよ。でもさ、なんていうか心底キライにはなれないんだよね」
「そうなんですか?」
「うん、ああいう性格だからかもしれないけどさ、俺ってさオジー達が知らない世界から来た訳じゃない。もちろん、ここは俺も知らない世界だけどさ」
「はぁ」
「でも、そんなの抜きにしてああもあからさまに関わってこられると細かいことを気にするヒマもないっていうかさ。なんとなくだけど助けられているのかなって思うよ。暴走すると思うから本人には言わないけどね」
「あぁ~確かに……」
オジーは俺がセシルをなんだかんだと邪険に扱いながらも側に置いていることを不思議に思ったのか聞いて来たので、俺もそれなりに答えるけど、実質一日しか経っていないからね。そこまでマジメに考えてはいないけど、あれだけの容姿をただ単に手放すのは惜しいと考えている俺がいるのも事実だ。
側に置くにしても突き放すにしてもせめて一度くらいと思ってもバチは当たらないだろうと思いたいんだよ。
俺は部屋に入るとオジーに今日は何をすればいいのかと確認すれば「特に何をとは旦那様からは言われておりません」と言うので、ならばとオジーに街の散策をお願いする。
「分かりました。では、先に旦那様の許可を取って参ります。昼食は外で済ませるということでよろしいですか」
「うん、頼むよ」
「では、しばらくお待ちを」
俺はオジーを見送ると部屋の中で待つことにした。時間にして数分だろうか、部屋の扉がノックされるので「はい、どうぞ」と返事をすると、予想通りにそこにはオジーが立っていたのだが、セシルもいたので驚く。
「えっと、何してるの?」
「オジーに聞きました。街に出ると」
「うん、そうだよ。留守番よろしく」
「イヤです!」
「え?」
「なんでオジーが相手なんですか! やっぱりヒロ様は両刀なんですか!」
「え? オジーに案内を頼んだだけだし。っていうか、そういう発想は止めて欲しいんだけど」
「ですが、男同士なんて……腐った世界です!」
「いや、俺は腐ってないからね」
「でしたら、相手は私で十分じゃないですか!」
「……ごめんなさい」
「えぇ~」
確かに散策するなら女性が相手してくれる方が楽しいのは想像出来る。でも、相手がセシルなら話は別だ。多分だけど、俺が欲しい情報はまともに話してくれないだろうし、アレが欲しい! コレが欲しい! とかなるのも簡単に予測出来る。
ならば、多少のむさ苦しさはあるけれども俺が欲しい情報をくれるオジーの方が確かだろう。
ま、言っても理解されるとは思えないが、今はこの世界のことを少しでも多くの情報を頭に叩き込み、地雷を踏まないようにすることが大切だ。確かにセシルと街を歩くのなら、セシルのことだから、きっと腕を絡めてくるだろう。そして、俺は肘に神経を集中させる結果になり何も情報が得られないかもしれない。なのでここは自分の欲望に蓋をしてでもおじさんと一緒に町歩きをするしかない。
「ホントにダメですか?」
「うん、ゴメンね」
「ハァ~分かりました。私はお部屋でヒロ様のお帰りを待つことにします。では「ちょっと、待とうか」……え?」
「なんで俺の部屋で待つの?」
「え? 先程、お留守番を頼まれましたよね?」
「ああ、言ったね」
「で、あれば不在のお部屋で待つのは当然のことだと思います。その際にベッドでヒロ様の残り香を元に私があれやこれやといろんなことをしたとしてもいいですよね」
「いやいやいや、全然よくないでしょ」
「もちろん、ベッドメーキングやお部屋の清掃など当たり前のことはしますよ。ですが私の余暇をどう使おうが私の勝手だと思うのですが」
「ああ、もういいよ。分かったよ。でも、散らかすのだけは止めてね」
「はい、お掃除はちゃんとしますので」
「はいはい、お願いしますね。じゃあ、オジー行こうか」
「はい」
普段のメイド服に着替えたセシルも俺とオジーの街ブラに参加したいとお願いしてきたが、俺は自分のリビドーを克服しセシルには留守番をとお願いしたが、そのセシルが俺の部屋で待つと言うので、ちょっと待とうかと話をしてみたが、確かにセシルの言う通りに部屋の掃除もあり部屋に入るなと言うことは出来ない。それに俺が禁止だ、止めてくれと言った所で留守中に何をされたかなんて分からない。だから、俺は諦めてしまった。ただ部屋だけは散らかしてくれるなと。
セシルが俺のお願いに頷いてくれたので俺は呆然としているオジーに言って街へと繰り出すのだった。
「あの~私が言えた義理ではないとは思いますが、ホントにいいのですか?」
「何が?」
「何がって、セシルのことですよ」
「あ~やっぱり考え直した方がいいかな?」
「そうですね。確かに容姿だけで判断するなら、アリなんでしょうが。アレが行き遅れている理由を考えると……仕方無しといいますか」
「ま、言いたいことはなんとなく分かるよ。でもさ、なんていうか心底キライにはなれないんだよね」
「そうなんですか?」
「うん、ああいう性格だからかもしれないけどさ、俺ってさオジー達が知らない世界から来た訳じゃない。もちろん、ここは俺も知らない世界だけどさ」
「はぁ」
「でも、そんなの抜きにしてああもあからさまに関わってこられると細かいことを気にするヒマもないっていうかさ。なんとなくだけど助けられているのかなって思うよ。暴走すると思うから本人には言わないけどね」
「あぁ~確かに……」
オジーは俺がセシルをなんだかんだと邪険に扱いながらも側に置いていることを不思議に思ったのか聞いて来たので、俺もそれなりに答えるけど、実質一日しか経っていないからね。そこまでマジメに考えてはいないけど、あれだけの容姿をただ単に手放すのは惜しいと考えている俺がいるのも事実だ。
側に置くにしても突き放すにしてもせめて一度くらいと思ってもバチは当たらないだろうと思いたいんだよ。
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