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第50話 馬車移動と嫌な出会い
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「相乗りの馬車、空いていてよかったね」
「はい。結構ゆったりしてますね」
オリバたちの勝負を終えた翌日、俺たちはさっそくダンジョンで手に入れた魔導書を使った古代魔法の練習をするために、ヘリア高原へと向かうことになった。
街からヘリア高原へと向かうためには、一度乗り換えをする必要がある。
なので、今はヘリア高原行きの馬車が出る所まで向かっていた。
そこまでは街から馬車が出ていたので、俺たちはその馬車に乗って移動中だった。
「それに、ダンジョン内のお宝も結構値段ついたみたいで、よかったですよ。これで、あのボロ屋に戻らないで済みます」
「ボロ屋って、あの街端の所かい? ……あそこって、まだやっていたんだ」
サラさんは俺が泊まっていた場所に思い当たる節があったのか、眉をピクピクとさせる。
冒険者同士の間では『屋根と壁があるだけの野宿』と評されて噂されている場所だし、サラさんが知っていてもおかしくはないよね。
今日の朝のうちに色んなお店を巡ってすでにダンジョン内のお宝は換金済みだ。
残ったものは古代魔法の魔導書と、お宝を換金したまぁまぁな額のお金。
二人できっちり分けてもホクホクになるくらいには、お金が手元に入っていた。
これなら、しばらくはあのボロ屋ともおさらばだ。
「まぁ、私もお金に余裕があるわけでもないし、ダンジョンでの報酬は素直に嬉しかったね」
サラさんはそう言うと、俺の膝の上で座るケルを優しく撫でる。
ケルは心地よさそうに目を細めながら、自分でも頭をサラさんの手に押し付けていた。
……どう見ても、子犬のようにしか見えないな。
「昨日、宿に帰ってから魔導書は読んだのかい?」
「少しだけ読みました。色々書かれていて面白かったですよ」
サラさんがケルの首の下を撫でる手を見ながら、俺はそう答える。
まだダンジョンで手に入れた魔導書の全ページには目を通せてはいないけど、色々と面白そうな見出しがあった。
実際に魔法を試しながら読んだ方が読んだ方が感覚を掴めると思って、昨日は軽く読むだけでやめておいたのだ。
「ダンジョンに潜ることになったのも、悪くなかったかもしれませんね」
オリバが癇癪を起して言い訳を言わなかったら、ダンジョンに潜ってもいなかったし、サラさんとも会えていないかもしれない。
「ふむ、たまに役に立つのだな。あの愚か者は」
ケルはそう言うと、俺を見て笑う。
「うん、それは俺も思ったかも」
代弁してもらったような形になったので、俺はクスッと笑いながら、ケルを優しく撫でる。
「魔導書かぁ……うん、色んな依頼を受けながら古代魔法の魔導書を集めるのもいいんじゃないかな?」
サラさんはふむと考えるようにしてから、そう言った。
「それはすごい楽しそうですけど、いいんですか? それって、サラさんからしたら面白くないんじゃないですか?」
「構わないよ。言ったよね? ソータが強くなることは、私にとってもメリットなんだよ」
サラさんは優しく笑ってから、何かに気づいたように小さな声を漏らす。
「ここで乗り換えだね」
サラさんがそう言ってから、馬車は徐々に止まりだした。
相乗りの馬車は他の人がいることと、乗り換えが少し手間でもある。
それでも、個人の馬車で移動できるほどのお金はまだないし、安さには代えられない。
「ソータ。次は、あっちの馬車だよ」
俺は少し面倒に思いながら、サラさんとケルと共に馬車から下りて、次の相乗り馬車の乗り場に向かう。
そのとき、何か視線を感じた気がした。
なんだろ?
そう思って視線の方を見ると、そこには見覚えのある顔があった。
「ん? なんだおまえ、オリバさんとこのガキじゃねーか」
そこには、オリバの子分の冒険者、バースの姿があった。
「はい。結構ゆったりしてますね」
オリバたちの勝負を終えた翌日、俺たちはさっそくダンジョンで手に入れた魔導書を使った古代魔法の練習をするために、ヘリア高原へと向かうことになった。
街からヘリア高原へと向かうためには、一度乗り換えをする必要がある。
なので、今はヘリア高原行きの馬車が出る所まで向かっていた。
そこまでは街から馬車が出ていたので、俺たちはその馬車に乗って移動中だった。
「それに、ダンジョン内のお宝も結構値段ついたみたいで、よかったですよ。これで、あのボロ屋に戻らないで済みます」
「ボロ屋って、あの街端の所かい? ……あそこって、まだやっていたんだ」
サラさんは俺が泊まっていた場所に思い当たる節があったのか、眉をピクピクとさせる。
冒険者同士の間では『屋根と壁があるだけの野宿』と評されて噂されている場所だし、サラさんが知っていてもおかしくはないよね。
今日の朝のうちに色んなお店を巡ってすでにダンジョン内のお宝は換金済みだ。
残ったものは古代魔法の魔導書と、お宝を換金したまぁまぁな額のお金。
二人できっちり分けてもホクホクになるくらいには、お金が手元に入っていた。
これなら、しばらくはあのボロ屋ともおさらばだ。
「まぁ、私もお金に余裕があるわけでもないし、ダンジョンでの報酬は素直に嬉しかったね」
サラさんはそう言うと、俺の膝の上で座るケルを優しく撫でる。
ケルは心地よさそうに目を細めながら、自分でも頭をサラさんの手に押し付けていた。
……どう見ても、子犬のようにしか見えないな。
「昨日、宿に帰ってから魔導書は読んだのかい?」
「少しだけ読みました。色々書かれていて面白かったですよ」
サラさんがケルの首の下を撫でる手を見ながら、俺はそう答える。
まだダンジョンで手に入れた魔導書の全ページには目を通せてはいないけど、色々と面白そうな見出しがあった。
実際に魔法を試しながら読んだ方が読んだ方が感覚を掴めると思って、昨日は軽く読むだけでやめておいたのだ。
「ダンジョンに潜ることになったのも、悪くなかったかもしれませんね」
オリバが癇癪を起して言い訳を言わなかったら、ダンジョンに潜ってもいなかったし、サラさんとも会えていないかもしれない。
「ふむ、たまに役に立つのだな。あの愚か者は」
ケルはそう言うと、俺を見て笑う。
「うん、それは俺も思ったかも」
代弁してもらったような形になったので、俺はクスッと笑いながら、ケルを優しく撫でる。
「魔導書かぁ……うん、色んな依頼を受けながら古代魔法の魔導書を集めるのもいいんじゃないかな?」
サラさんはふむと考えるようにしてから、そう言った。
「それはすごい楽しそうですけど、いいんですか? それって、サラさんからしたら面白くないんじゃないですか?」
「構わないよ。言ったよね? ソータが強くなることは、私にとってもメリットなんだよ」
サラさんは優しく笑ってから、何かに気づいたように小さな声を漏らす。
「ここで乗り換えだね」
サラさんがそう言ってから、馬車は徐々に止まりだした。
相乗りの馬車は他の人がいることと、乗り換えが少し手間でもある。
それでも、個人の馬車で移動できるほどのお金はまだないし、安さには代えられない。
「ソータ。次は、あっちの馬車だよ」
俺は少し面倒に思いながら、サラさんとケルと共に馬車から下りて、次の相乗り馬車の乗り場に向かう。
そのとき、何か視線を感じた気がした。
なんだろ?
そう思って視線の方を見ると、そこには見覚えのある顔があった。
「ん? なんだおまえ、オリバさんとこのガキじゃねーか」
そこには、オリバの子分の冒険者、バースの姿があった。
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