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第Ⅳ章 天国へ至る迷宮
ドワーフに勧められた蒸したタロイモと五種のキノコの料理
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ドワーフの村は、噂通り洞窟の中にあった。
そこで俺とイヌガミは、ドワーフの長老たちにお目通りを願った。
最初は「部外者お断り」という雰囲気だったし、俺をここに連れてきてくれたドワーフの猟師が糾弾されそうな流れだったし、悪いこと尽くしだったが、シノビノサト村の地酒ニホーシュを差し出すと状況が一変した。
「おお! いい香りじゃ!」
「独特の口当たり!」
「美味い! 美味いぞおー!」
なぜか長老会議の場が、宴席に早変わりしてしまったが、警戒心だらけで話もろくにしてもらえないより良かっただろう。
干して乾かした米、ほしいいを水で戻してもらって、そっちもツマミとして提供したのだが、そっちの反応は全然だった。
「ドワーフって穀物とか野菜とか食べないんですか?」
俺も一緒に宴会に加わりながら尋ねた。
もっとすべき話があるが、まずは仲良くなることを優先すべきだろう。難しい話は後だ。
「野菜も食べるぞ。ほれ、来た来た」
ドワーフの長老の一人が言うと、タロイモを蒸したような料理をドワーフが運んできた。様々なキノコがイモの上に載っている。
なかなか美味しそうだ。
イヌガミが料理の皿に顔を突っ込む前に、ドワーフの長老に断って、皿に取り分けてやる。かなりの量があるので、これで当分は静かになるだろう。
俺も、イモにフォークを突き刺し、いろいろなキノコが載るようにして口に運んだ。
口に入れた瞬間、ホクホクとしたイモの天然の甘さを感じた。
単一になりがちなイモの味に、アクセントを加えるキノコが美味しい。
キノコは熱しすぎず、食感が残るようにしているらしい。
結果、やや薄味のイモ料理が、キノコのおかげで数段上の美味しい料理に化けていた。
(しいて言えば、塩が欲しいかな?)
俺は、持っていた塩を取り出して、振りかけてみた。
「おっ!」
食べた瞬間、俺は思わず声を上げてしまった。
ドワーフたちの視線が集まる。
(美味い! むちゃくちゃ美味いぞ!)
イモの甘みが、塩をちょっと振りかけただけでぐっと引き立った。
五種類のキノコたちも、イモと一緒に味が引き上げられていた。より味わって食べるようになったからかもしれない。
さっきまでは似たような味と触感に思えていたキノコも、一つ一つ違うと実感できた。
ときおりちょっとクセの強い味のキノコに当たるが、それさえもいいアクセントになる。
「むっちゃくちゃ美味しそうに食べるのう。……儂らにもそれを分けてくれんか? それは塩かね?」
「はい」
「おお! 塩か!」
塩自体は知っていても、塩はあまり持っていない様子だった。
「この辺りでは岩塩とか取れないんですか?」
「ほとんどないな。塩は貴重なものだ」
ドワーフたちが「美味い美味い」と舌鼓を打つ中、ドワーフの長老の一人はおもむろに話しだした。
「フウマさんは、たぶんこう思っておるんじゃろ……だったら海水で塩を作ればいいと」
「はい」
この山脈から海までは往復できないほどの距離ではない。
確かに疑問だった。
そこで俺とイヌガミは、ドワーフの長老たちにお目通りを願った。
最初は「部外者お断り」という雰囲気だったし、俺をここに連れてきてくれたドワーフの猟師が糾弾されそうな流れだったし、悪いこと尽くしだったが、シノビノサト村の地酒ニホーシュを差し出すと状況が一変した。
「おお! いい香りじゃ!」
「独特の口当たり!」
「美味い! 美味いぞおー!」
なぜか長老会議の場が、宴席に早変わりしてしまったが、警戒心だらけで話もろくにしてもらえないより良かっただろう。
干して乾かした米、ほしいいを水で戻してもらって、そっちもツマミとして提供したのだが、そっちの反応は全然だった。
「ドワーフって穀物とか野菜とか食べないんですか?」
俺も一緒に宴会に加わりながら尋ねた。
もっとすべき話があるが、まずは仲良くなることを優先すべきだろう。難しい話は後だ。
「野菜も食べるぞ。ほれ、来た来た」
ドワーフの長老の一人が言うと、タロイモを蒸したような料理をドワーフが運んできた。様々なキノコがイモの上に載っている。
なかなか美味しそうだ。
イヌガミが料理の皿に顔を突っ込む前に、ドワーフの長老に断って、皿に取り分けてやる。かなりの量があるので、これで当分は静かになるだろう。
俺も、イモにフォークを突き刺し、いろいろなキノコが載るようにして口に運んだ。
口に入れた瞬間、ホクホクとしたイモの天然の甘さを感じた。
単一になりがちなイモの味に、アクセントを加えるキノコが美味しい。
キノコは熱しすぎず、食感が残るようにしているらしい。
結果、やや薄味のイモ料理が、キノコのおかげで数段上の美味しい料理に化けていた。
(しいて言えば、塩が欲しいかな?)
俺は、持っていた塩を取り出して、振りかけてみた。
「おっ!」
食べた瞬間、俺は思わず声を上げてしまった。
ドワーフたちの視線が集まる。
(美味い! むちゃくちゃ美味いぞ!)
イモの甘みが、塩をちょっと振りかけただけでぐっと引き立った。
五種類のキノコたちも、イモと一緒に味が引き上げられていた。より味わって食べるようになったからかもしれない。
さっきまでは似たような味と触感に思えていたキノコも、一つ一つ違うと実感できた。
ときおりちょっとクセの強い味のキノコに当たるが、それさえもいいアクセントになる。
「むっちゃくちゃ美味しそうに食べるのう。……儂らにもそれを分けてくれんか? それは塩かね?」
「はい」
「おお! 塩か!」
塩自体は知っていても、塩はあまり持っていない様子だった。
「この辺りでは岩塩とか取れないんですか?」
「ほとんどないな。塩は貴重なものだ」
ドワーフたちが「美味い美味い」と舌鼓を打つ中、ドワーフの長老の一人はおもむろに話しだした。
「フウマさんは、たぶんこう思っておるんじゃろ……だったら海水で塩を作ればいいと」
「はい」
この山脈から海までは往復できないほどの距離ではない。
確かに疑問だった。
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