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十五話 ルイス視点
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「姉さん?姉さん!」
扉越しに聞こえた姉さんの声。ぼーっと床に座り込んでいた僕は慌てて立ち上がる。
普段動いていないせいか酷く足元がフラついた。
でもそんなことは気にせず僕は姉さんの元へ急ぐ。
姉さん、会いたい、姉さん!
「待ってて、今出してあげるから!」
「何言って……」
「ここを出ていくのよ!時間がない……。下がって!」
姉さん、僕との約束を覚えている……。
それだけで、体の力が抜けていく。
僕は姉さんの指示通りに下がった。
でも一体姉さんは何をするつもりだろう。
「ルイス、もう下がった?」
「下がったよ。でも何をするの、姉さん」
声をかければ、何かが扉を強く叩くような音が聞こえた。そして次に姉さんの声。
「痛っ!」
「姉さん、どうしたの!?」
「ルイス、大丈夫だから」
姉さんが力技で扉を開けようとしていることはすぐに分かった。
姉さんが痛い思いをするのは嫌だ。
何か僕に出来ることは……!
そう思うけれど、動くだけでも精一杯の今の僕にはどうすることも出来なくて。
「おやおや、こんなところで何をなさっているのですか?」
そうしているうちに、両親の右腕であるアンナとジオールに見つかってしまった。
二人は姉さんを挑発しながら賭けを持ちかける。
どうやら僕の部屋の扉を開けるための鍵を姉さんに選ばせているようだった。
でもそれは彼らの罠。姉さんの「力」に強い執着心を持っている二人は、姉さんを騙し、脅し、「力」を利用しようとしているだけだった。
それでも姉さんは屈しなかった。
僕も姉さんに早く会いたいと願っていると、今度はガチャリと簡単に重い扉が開く。
突然のことに目を丸くすれば、目線の先にはジオールに拘束されている姉さんの姿が目にうつった。
「姉さ、ん……」
嬉しくなるのも一瞬、姉さんの綺麗に伸びた真っ直ぐの銀髪が乱れているのに気づく。
そして次の瞬間にはアンナに体を拘束されてしまった。
「感動の再会、おめでとうございます」
「やめて、ルイスを離しなさい!」
「貴方が聖女であることを認めれば良いですよ~」
「さぁ「私は聖女です」って一言!」
「姉さんっ!」
そんなこと、言わなくて良い!
僕のために姉さんが酷い目に遭うくらいなら、僕はこのままで良いのに。
姉さんは苦痛に顔を歪ませながらも、慎重に二人に話しかける。
「脅しても無駄よ?貴方たちはルイスに手を下せないもの」
「あはははっ、私たちがまだ公爵夫妻の言いなりになるとでも?」
「あんな奴らより聖女の方がよっぽど価値がある。その為だったら、この子を殺すことぐらい躊躇わない」
気づけばアンナはポケットからナイフを取り出し、それを僕の首に突き付けていた。
「姉、さん……」
「ルイス!」
絶望、した。
やっぱり僕と姉さんが一緒に幸せになる未来なんてないのかもしれない。
姉さんは諦めていないようだけれど、姉さんが身代わりになるくらいなら、このまま死んだ方が良いのかもしれないとさえ思った。
扉越しに聞こえた姉さんの声。ぼーっと床に座り込んでいた僕は慌てて立ち上がる。
普段動いていないせいか酷く足元がフラついた。
でもそんなことは気にせず僕は姉さんの元へ急ぐ。
姉さん、会いたい、姉さん!
「待ってて、今出してあげるから!」
「何言って……」
「ここを出ていくのよ!時間がない……。下がって!」
姉さん、僕との約束を覚えている……。
それだけで、体の力が抜けていく。
僕は姉さんの指示通りに下がった。
でも一体姉さんは何をするつもりだろう。
「ルイス、もう下がった?」
「下がったよ。でも何をするの、姉さん」
声をかければ、何かが扉を強く叩くような音が聞こえた。そして次に姉さんの声。
「痛っ!」
「姉さん、どうしたの!?」
「ルイス、大丈夫だから」
姉さんが力技で扉を開けようとしていることはすぐに分かった。
姉さんが痛い思いをするのは嫌だ。
何か僕に出来ることは……!
そう思うけれど、動くだけでも精一杯の今の僕にはどうすることも出来なくて。
「おやおや、こんなところで何をなさっているのですか?」
そうしているうちに、両親の右腕であるアンナとジオールに見つかってしまった。
二人は姉さんを挑発しながら賭けを持ちかける。
どうやら僕の部屋の扉を開けるための鍵を姉さんに選ばせているようだった。
でもそれは彼らの罠。姉さんの「力」に強い執着心を持っている二人は、姉さんを騙し、脅し、「力」を利用しようとしているだけだった。
それでも姉さんは屈しなかった。
僕も姉さんに早く会いたいと願っていると、今度はガチャリと簡単に重い扉が開く。
突然のことに目を丸くすれば、目線の先にはジオールに拘束されている姉さんの姿が目にうつった。
「姉さ、ん……」
嬉しくなるのも一瞬、姉さんの綺麗に伸びた真っ直ぐの銀髪が乱れているのに気づく。
そして次の瞬間にはアンナに体を拘束されてしまった。
「感動の再会、おめでとうございます」
「やめて、ルイスを離しなさい!」
「貴方が聖女であることを認めれば良いですよ~」
「さぁ「私は聖女です」って一言!」
「姉さんっ!」
そんなこと、言わなくて良い!
僕のために姉さんが酷い目に遭うくらいなら、僕はこのままで良いのに。
姉さんは苦痛に顔を歪ませながらも、慎重に二人に話しかける。
「脅しても無駄よ?貴方たちはルイスに手を下せないもの」
「あはははっ、私たちがまだ公爵夫妻の言いなりになるとでも?」
「あんな奴らより聖女の方がよっぽど価値がある。その為だったら、この子を殺すことぐらい躊躇わない」
気づけばアンナはポケットからナイフを取り出し、それを僕の首に突き付けていた。
「姉、さん……」
「ルイス!」
絶望、した。
やっぱり僕と姉さんが一緒に幸せになる未来なんてないのかもしれない。
姉さんは諦めていないようだけれど、姉さんが身代わりになるくらいなら、このまま死んだ方が良いのかもしれないとさえ思った。
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