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第26話 嘘をつかれる
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「何やら不穏な空気を感じて、ついつい気になって来てしまいましたが、私の友人が何か失礼な事でもしましたか?」
キースがなぜか、ミラベル嬢に対して敬語を使って尋ねる。
父親の爵位はキースの方が上なのにどうしてかしら?
疑問に思っていると、ミラベル伯爵令嬢のリボンタイの色が私達と違うことに今頃、気が付いた。
ミラベル嬢のリボンタイは緑色で、キースが敬語を使っているという事は、学園内では先輩なのかもしれない。
「あ、いえ、その」
ミラベル伯爵令嬢はゆっくりと、ロボットみたいにぎこちない動作でキースの方に身体を向けながら、言い訳でも考えているのか、言葉を濁す。
キースは彼女からの返答を待っていたようだけど、床に茶色の液体がこぼれている事に気が付いて、私の方を見た。
あ、それ、私がぶちまけたやつだわ。
そう思って、持っていたカップを軽く振ってから、キースににっこり笑ってみせると、呆れた表情になったけれど、すぐに私の胸元辺りを指差して聞いてくる。
「それ、どうした」
「ん?」
「制服、汚れてるだろ」
「ああ、これ」
よし、ここは素直に言ってあげる事にしましょう。
「ミラベル伯爵令嬢に」
「私ではありません! 彼女がお茶をこぼしたんです!」
ミラベル伯爵令嬢はキースの方を見ながら、目を潤ませて首を横に振る。
空になったカップをずっと持ち続けているのもなんなので、テーブルに返しにいきながら思う。
あらあら。
さっきまでの鬼の形相はどこいったの?
いきなり、女を出してこないでよ。
余計に真相をキースに伝えたくなるじゃないの。
すると、頭の中の天使の私が言う。
そんな事を言ったら、どっちが悪役かわからないじゃないのと。
いや、悪役は向こうでしょ。
「どうなんだよ。自分で汚したのか?」
キースはミラベル伯爵令嬢の言葉を無視して、カップを置いて、キースの横に戻ってきた私に聞いてくる。
「そうね。キースはどのくらいから、私達の会話が聞こえてたの?」
「アリスがやり返した、か何か言ってるくだりあたりから」
「そう。本当についさっきな訳ね」
肝心のシーンが見られていない上に、それに関する発言が聞かれていなかった事に安心したのか、ミラベル伯爵令嬢は私の方を見て、口元に笑みを浮かべた。
勝った気になるのが早すぎない?
まあ、いいけど。
「ミラベル伯爵令嬢を怒らせてしまったみたいで、お茶をかけられちゃったのよ」
「お茶をかけられた?」
「ひどいですわ! 私が嫌いだから、そんな嘘をつかれるのね!? キース様! どちらが嘘をついているか、他の方に確認していただいて結構ですわ!」
キースの前で悲劇のヒロインぶっているのか、両手で顔を覆い、泣き真似をしているミラベル伯爵令嬢に呆れてしまう。
役者になれそうね…。
ミラベル伯爵令嬢の言葉を聞いて、キースは無言でガゼボの中にいる、取り巻き達の方を見た。
案の定、彼女達はそろって、ミラベル伯爵令嬢の味方をする。
「そうです! キュレル子爵令嬢がお茶をこぼされただけです! ミラベル様は嘘を言っておられません!」
「そうですわ! キュレル子爵令嬢が嘘をついておられます!」
後ろめたさがあるのか、決してキースの方は見ず、斜め下に視線を向けている。
ミラベル伯爵令嬢はこれで勝ったと思ったのか、キースにすり寄ろうとする。
「キース様、私は何もしていませんわ!」
何が何もしていないよ!
イラッとしてしまって、ついつい言い返してしまう。
「確認しますが、ミラベル伯爵令嬢や、ガゼボの中にいる方々は私が嘘をついていると言い張るんですね?」
「そうですわ。これだけ証人がいるのに、あなた1人だけの証言では信用性はなくってよ?」
「私は嘘をついてないんですけど? もう一度確認しますけど、あなたは嘘をついてないし、彼女達も嘘をついてないと言うんですね?」
念押しして確かめて、ガゼボの中にいる子達がそろって頷いたのを確認してから、キースを見て言う。
「キース。私、彼女達が嘘をついてるっていう証拠を持ってる」
「なんですって?!」
キースに話しかけたのに、ミラベル伯爵令嬢が驚いた顔で聞き返してきたのだった。
キースがなぜか、ミラベル嬢に対して敬語を使って尋ねる。
父親の爵位はキースの方が上なのにどうしてかしら?
疑問に思っていると、ミラベル伯爵令嬢のリボンタイの色が私達と違うことに今頃、気が付いた。
ミラベル嬢のリボンタイは緑色で、キースが敬語を使っているという事は、学園内では先輩なのかもしれない。
「あ、いえ、その」
ミラベル伯爵令嬢はゆっくりと、ロボットみたいにぎこちない動作でキースの方に身体を向けながら、言い訳でも考えているのか、言葉を濁す。
キースは彼女からの返答を待っていたようだけど、床に茶色の液体がこぼれている事に気が付いて、私の方を見た。
あ、それ、私がぶちまけたやつだわ。
そう思って、持っていたカップを軽く振ってから、キースににっこり笑ってみせると、呆れた表情になったけれど、すぐに私の胸元辺りを指差して聞いてくる。
「それ、どうした」
「ん?」
「制服、汚れてるだろ」
「ああ、これ」
よし、ここは素直に言ってあげる事にしましょう。
「ミラベル伯爵令嬢に」
「私ではありません! 彼女がお茶をこぼしたんです!」
ミラベル伯爵令嬢はキースの方を見ながら、目を潤ませて首を横に振る。
空になったカップをずっと持ち続けているのもなんなので、テーブルに返しにいきながら思う。
あらあら。
さっきまでの鬼の形相はどこいったの?
いきなり、女を出してこないでよ。
余計に真相をキースに伝えたくなるじゃないの。
すると、頭の中の天使の私が言う。
そんな事を言ったら、どっちが悪役かわからないじゃないのと。
いや、悪役は向こうでしょ。
「どうなんだよ。自分で汚したのか?」
キースはミラベル伯爵令嬢の言葉を無視して、カップを置いて、キースの横に戻ってきた私に聞いてくる。
「そうね。キースはどのくらいから、私達の会話が聞こえてたの?」
「アリスがやり返した、か何か言ってるくだりあたりから」
「そう。本当についさっきな訳ね」
肝心のシーンが見られていない上に、それに関する発言が聞かれていなかった事に安心したのか、ミラベル伯爵令嬢は私の方を見て、口元に笑みを浮かべた。
勝った気になるのが早すぎない?
まあ、いいけど。
「ミラベル伯爵令嬢を怒らせてしまったみたいで、お茶をかけられちゃったのよ」
「お茶をかけられた?」
「ひどいですわ! 私が嫌いだから、そんな嘘をつかれるのね!? キース様! どちらが嘘をついているか、他の方に確認していただいて結構ですわ!」
キースの前で悲劇のヒロインぶっているのか、両手で顔を覆い、泣き真似をしているミラベル伯爵令嬢に呆れてしまう。
役者になれそうね…。
ミラベル伯爵令嬢の言葉を聞いて、キースは無言でガゼボの中にいる、取り巻き達の方を見た。
案の定、彼女達はそろって、ミラベル伯爵令嬢の味方をする。
「そうです! キュレル子爵令嬢がお茶をこぼされただけです! ミラベル様は嘘を言っておられません!」
「そうですわ! キュレル子爵令嬢が嘘をついておられます!」
後ろめたさがあるのか、決してキースの方は見ず、斜め下に視線を向けている。
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「キース様、私は何もしていませんわ!」
何が何もしていないよ!
イラッとしてしまって、ついつい言い返してしまう。
「確認しますが、ミラベル伯爵令嬢や、ガゼボの中にいる方々は私が嘘をついていると言い張るんですね?」
「そうですわ。これだけ証人がいるのに、あなた1人だけの証言では信用性はなくってよ?」
「私は嘘をついてないんですけど? もう一度確認しますけど、あなたは嘘をついてないし、彼女達も嘘をついてないと言うんですね?」
念押しして確かめて、ガゼボの中にいる子達がそろって頷いたのを確認してから、キースを見て言う。
「キース。私、彼女達が嘘をついてるっていう証拠を持ってる」
「なんですって?!」
キースに話しかけたのに、ミラベル伯爵令嬢が驚いた顔で聞き返してきたのだった。
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