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第27話 魔法に感動する
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キースは私を無言で見るだけだから、話を続けろ、という意味だと解釈し、ミラベル伯爵令嬢の事は無視して話す。
「何かあった時のためにと思って、録音してたの」
胸ポケットの中に入れていた、単語カードくらいの大きさの長方形の白い石を出して、手のひらの上にのせてなら彼に見せる。
「……魔石か?」
「そう。ラス様からもらってたの」
キースは私の持っているものが何かすぐに気が付いたみたいだったから答えると聞いてくる。
「俺が持っててもいいか?」
「もちろん」
キースは私から魔石を受け取ると、自分の胸ポケットに入れた。
騎士達を使って、ミラベル嬢が私から魔石を奪い取ろうとしないように自分が持っておくと言ってくれたんだと思う。
ほんと、こういうとこは紳士よね。
というか、貴族はそんなものなのかしら?
魔石というのは、魔法を付与された石の事で、魔力を流せば、その石に付与された魔法を発動する事ができる。
普通は石に付与できる魔法は1つだけらしい。
でも、私の持っていた魔石は一般のものよりも少し大きめで、録音機能と録音したものを再生する機能というか、魔法がかけられている。
魔石は一般に販売はされているけど、日常生活に必要な魔法以外のものはとても高いらしい。
だから、ラス様にもらった魔石の値段は聞くのが怖くて聞けてない。
「高いものだから再生機能もあるし、今までの会話を聞いてもらったら、どっちが嘘を言ってるかわかると思うの」
キースに向かってにっこり微笑んで言うと、私の表情とは反対に、ミラベル伯爵令嬢の表情が凍りついた。
「う、嘘よ、そんな…。録音と再生が出来る魔石だなんて…」
「再生してみればわかりますよ。そんなに疑うなら再生しましょうか。だって、嘘なんてついてないんでしょう?」
自分でも性格が悪いな、と思いつつも、ミラベル伯爵令嬢の返事は待たずにキースにお願いする。
「今すぐ再生してもらっていい?」
「ああ」
胸ポケットから魔石を取り出し、録音機能をオフにしてから、今度は再生するためにキースが魔力を石にこめると、まずはじめは、私の制服の衣擦れの音や、雑音しか聞こえなかったけど、少ししてから、ミラベル伯爵令嬢や私の声が聴こえ始めた。
「やめて!」
ミラベル伯爵令嬢が悲鳴に近い声を上げて、キースの手から魔石を奪い取ろうとしたけど、彼は彼女に目を向けないまま、ひらりとかわした。
キースに知られたくないのはわからないでもない。
でも、どうしようかな。
キースに視線を向けると、少し考える様子を見せてから再生を止めた。
「確認しなくても、それだけ動揺していれば、アリスの言っている事が実際にあった事だろうという事がわかりますね」
そう言って、キースはミラベル伯爵令嬢に冷たい視線を向ける。
「キース様、聞いて下さい、わたくしは!」
「貴女とここで話すことはありません。彼女の服はだいぶ濡れてますし、彼女が風邪をひいてはいけませんので、一緒に失礼させていただきます」
キースは私の方を見ると、付いてこい、と目で訴えてくる。
暑いのに、風邪なんてひかないと思うけど、もう今日はここまでにしろという事みたいね。
「あ…、キース、あれだけ片付けないと駄目なの」
私がぶちまけたお茶を指差すと、キースが小さく息を吐いてから、何か呪文みたいなものを唱えた。
すると、水分が浮かび上がったかと思うと、一瞬で消えた。
「い、今の何!?」
「いいから行くぞ」
「もう一度やってくれない?」
「……後でな」
魔法で綺麗にしてくれたって事でしょうけど、見慣れないものだから、つい興奮してしまっていると、ミラベル伯爵令嬢が叫ぶ。
「キース様! お待ち下さい!」
歩き出していたキースだったけど、足を止めて、ミラベル伯爵令嬢の方に振り返って言った。
「あなたがどんなお話をされたかは、この魔石を家に持ち帰り、父に内容を確認してもらいます。必要であれば、あなたのお父上にご連絡をさしあげる可能性がありますので、家に帰って大人しく待っていただければと思います」
「そ…、そんな…、あの、キース様!」
「友人にお茶をかける様な人と長く話すつもりはありません」
冷たく言い放つと、キースは校舎に続く扉に向かって歩き出す。
キースを追いかける前に振り返って、ミラベル伯爵令嬢を見ると、呆然とした表情で立ち尽くしていた。
キースのお父さんは辺境伯だし、辺境伯の方からイッシュバルド家に連絡が行けば、ミラベル伯爵家は終わりだ。
「アリス」
いつの間にか、扉にたどり着いていたキースに急かされ、私は急いで彼の元へ向かった。
「何かあった時のためにと思って、録音してたの」
胸ポケットの中に入れていた、単語カードくらいの大きさの長方形の白い石を出して、手のひらの上にのせてなら彼に見せる。
「……魔石か?」
「そう。ラス様からもらってたの」
キースは私の持っているものが何かすぐに気が付いたみたいだったから答えると聞いてくる。
「俺が持っててもいいか?」
「もちろん」
キースは私から魔石を受け取ると、自分の胸ポケットに入れた。
騎士達を使って、ミラベル嬢が私から魔石を奪い取ろうとしないように自分が持っておくと言ってくれたんだと思う。
ほんと、こういうとこは紳士よね。
というか、貴族はそんなものなのかしら?
魔石というのは、魔法を付与された石の事で、魔力を流せば、その石に付与された魔法を発動する事ができる。
普通は石に付与できる魔法は1つだけらしい。
でも、私の持っていた魔石は一般のものよりも少し大きめで、録音機能と録音したものを再生する機能というか、魔法がかけられている。
魔石は一般に販売はされているけど、日常生活に必要な魔法以外のものはとても高いらしい。
だから、ラス様にもらった魔石の値段は聞くのが怖くて聞けてない。
「高いものだから再生機能もあるし、今までの会話を聞いてもらったら、どっちが嘘を言ってるかわかると思うの」
キースに向かってにっこり微笑んで言うと、私の表情とは反対に、ミラベル伯爵令嬢の表情が凍りついた。
「う、嘘よ、そんな…。録音と再生が出来る魔石だなんて…」
「再生してみればわかりますよ。そんなに疑うなら再生しましょうか。だって、嘘なんてついてないんでしょう?」
自分でも性格が悪いな、と思いつつも、ミラベル伯爵令嬢の返事は待たずにキースにお願いする。
「今すぐ再生してもらっていい?」
「ああ」
胸ポケットから魔石を取り出し、録音機能をオフにしてから、今度は再生するためにキースが魔力を石にこめると、まずはじめは、私の制服の衣擦れの音や、雑音しか聞こえなかったけど、少ししてから、ミラベル伯爵令嬢や私の声が聴こえ始めた。
「やめて!」
ミラベル伯爵令嬢が悲鳴に近い声を上げて、キースの手から魔石を奪い取ろうとしたけど、彼は彼女に目を向けないまま、ひらりとかわした。
キースに知られたくないのはわからないでもない。
でも、どうしようかな。
キースに視線を向けると、少し考える様子を見せてから再生を止めた。
「確認しなくても、それだけ動揺していれば、アリスの言っている事が実際にあった事だろうという事がわかりますね」
そう言って、キースはミラベル伯爵令嬢に冷たい視線を向ける。
「キース様、聞いて下さい、わたくしは!」
「貴女とここで話すことはありません。彼女の服はだいぶ濡れてますし、彼女が風邪をひいてはいけませんので、一緒に失礼させていただきます」
キースは私の方を見ると、付いてこい、と目で訴えてくる。
暑いのに、風邪なんてひかないと思うけど、もう今日はここまでにしろという事みたいね。
「あ…、キース、あれだけ片付けないと駄目なの」
私がぶちまけたお茶を指差すと、キースが小さく息を吐いてから、何か呪文みたいなものを唱えた。
すると、水分が浮かび上がったかと思うと、一瞬で消えた。
「い、今の何!?」
「いいから行くぞ」
「もう一度やってくれない?」
「……後でな」
魔法で綺麗にしてくれたって事でしょうけど、見慣れないものだから、つい興奮してしまっていると、ミラベル伯爵令嬢が叫ぶ。
「キース様! お待ち下さい!」
歩き出していたキースだったけど、足を止めて、ミラベル伯爵令嬢の方に振り返って言った。
「あなたがどんなお話をされたかは、この魔石を家に持ち帰り、父に内容を確認してもらいます。必要であれば、あなたのお父上にご連絡をさしあげる可能性がありますので、家に帰って大人しく待っていただければと思います」
「そ…、そんな…、あの、キース様!」
「友人にお茶をかける様な人と長く話すつもりはありません」
冷たく言い放つと、キースは校舎に続く扉に向かって歩き出す。
キースを追いかける前に振り返って、ミラベル伯爵令嬢を見ると、呆然とした表情で立ち尽くしていた。
キースのお父さんは辺境伯だし、辺境伯の方からイッシュバルド家に連絡が行けば、ミラベル伯爵家は終わりだ。
「アリス」
いつの間にか、扉にたどり着いていたキースに急かされ、私は急いで彼の元へ向かった。
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