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閑話 ミュアがいなくなった次の日の朝の話(視点変更)
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「ねえ! お姉様はどこなの!?」
シェールは朝起きるとすぐに、ミュアの部屋に行ったのだが、部屋の中はもぬけの殻だった。
ミュアの荷物らしきものもないので、シェールはロブスの部屋に行って叫んだ。
すると、ロブスはしれっとした顔で答える。
「彼女との婚約は破棄した。だから追い出したんだ」
「追い出したですって!? いつ!?」
「昨日だ」
「き、昨日? 夜にお姉様を追い出したの!?」
「安心しろ。馭者が宿屋まで送り届けているから、命の危険はない」
「どこの宿屋なの!? 迎えに行くわ!」
シェールがロブスの両腕をつかんで叫ぶと、ロブスは彼女の手を振り払ったかと思うと、彼女を強く抱きしめた。
「まあまあ、落ち着いてくれ」
「落ち着けるわけがないでしょう! それにちょっと! やめてよ! 気持ち悪いったら!」
「僕達は婚約者同士だ。いつかは、こうなる運命なんだよ!」
ロブスは近くにあったベッドにシェールを押し倒そうとしたようだが、シェールが必死に抵抗した。
「嫌よ! あんたなんかに触れられたくないわ!」
そう叫ぶと、シェールはロブスの頬を平手打ちした。
「何をするんだ! 暴力をふるうだなんて!」
「あなたがふるわざるを得ない事をするからじゃないの! 気持ちが悪い!」
「君だってお姉様、お姉様とうるさいんだよ!」
「だって、お姉様は可愛いんだもの! しょうがないじゃないの!」
「君は異常だ!」
「あなたも異常よ!」
シェールとロブスが罵声を浴びせあっていると、騒ぎを聞きつけたのか、フェイロン侯爵夫妻がやって来た。
「何を騒いでいるんだ?」
「そうよ。とにかく落ち着いて朝食を取りましょう」
「嫌です! 私はこれからお姉様を迎えに行くんです!」
シェールがそう叫び、部屋を出ていこうとしたのだが、侯爵夫妻がシェールの行く手を阻んだ。
「そこの退いて下さい!」
「駄目よ、シェールさん。あなたはロブスの妻になるの。ロブスが許可しないと外へ出れないわ」
「……何ですって?」
シェールが聞き返したと同時に、ロブスが彼女の肩をつかんだのでシェールがそちらに気を取られていると、フェイロン侯爵が彼女の手首に手錠をかけて言う。
「逃げると言うのならお仕置きだ」
「逃げるですって…!? 違います! お姉様を迎えに行くんです!」
「とにかく、ダイニングまで一緒に行こう。食事をする時は外してあげるよ」
微笑みながらシェールを見るフェイロン侯爵の目は狂気の色に満ちていた。
シェールは朝起きるとすぐに、ミュアの部屋に行ったのだが、部屋の中はもぬけの殻だった。
ミュアの荷物らしきものもないので、シェールはロブスの部屋に行って叫んだ。
すると、ロブスはしれっとした顔で答える。
「彼女との婚約は破棄した。だから追い出したんだ」
「追い出したですって!? いつ!?」
「昨日だ」
「き、昨日? 夜にお姉様を追い出したの!?」
「安心しろ。馭者が宿屋まで送り届けているから、命の危険はない」
「どこの宿屋なの!? 迎えに行くわ!」
シェールがロブスの両腕をつかんで叫ぶと、ロブスは彼女の手を振り払ったかと思うと、彼女を強く抱きしめた。
「まあまあ、落ち着いてくれ」
「落ち着けるわけがないでしょう! それにちょっと! やめてよ! 気持ち悪いったら!」
「僕達は婚約者同士だ。いつかは、こうなる運命なんだよ!」
ロブスは近くにあったベッドにシェールを押し倒そうとしたようだが、シェールが必死に抵抗した。
「嫌よ! あんたなんかに触れられたくないわ!」
そう叫ぶと、シェールはロブスの頬を平手打ちした。
「何をするんだ! 暴力をふるうだなんて!」
「あなたがふるわざるを得ない事をするからじゃないの! 気持ちが悪い!」
「君だってお姉様、お姉様とうるさいんだよ!」
「だって、お姉様は可愛いんだもの! しょうがないじゃないの!」
「君は異常だ!」
「あなたも異常よ!」
シェールとロブスが罵声を浴びせあっていると、騒ぎを聞きつけたのか、フェイロン侯爵夫妻がやって来た。
「何を騒いでいるんだ?」
「そうよ。とにかく落ち着いて朝食を取りましょう」
「嫌です! 私はこれからお姉様を迎えに行くんです!」
シェールがそう叫び、部屋を出ていこうとしたのだが、侯爵夫妻がシェールの行く手を阻んだ。
「そこの退いて下さい!」
「駄目よ、シェールさん。あなたはロブスの妻になるの。ロブスが許可しないと外へ出れないわ」
「……何ですって?」
シェールが聞き返したと同時に、ロブスが彼女の肩をつかんだのでシェールがそちらに気を取られていると、フェイロン侯爵が彼女の手首に手錠をかけて言う。
「逃げると言うのならお仕置きだ」
「逃げるですって…!? 違います! お姉様を迎えに行くんです!」
「とにかく、ダイニングまで一緒に行こう。食事をする時は外してあげるよ」
微笑みながらシェールを見るフェイロン侯爵の目は狂気の色に満ちていた。
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