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第二部
32 お付き合いしてくださいませ
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ジヤオさんが言うには、彼らが奪い返した物については持ち主の元に返したらしい。
ただ、私たちが拾った宝石だけはまだ返せていないとのことだった。
ジヤオさんの言うことが本当なら、私たちは悪い人の元に返してしまったのかもしれないので、早速、次の日には魔道具で確認することに決めた。
お金も返さないといけないわね。
人から奪ったものを届けたお金をもらったままなんて嫌だもの。
ジヤオさんの家から帰る馬車の中で、話をしていると、先程は外で見張りをしてくれていたメガが詳しい話を聞かせてほしいと言ってきたので、彼に話をすることになった。
「じゃあ、あの宝石商は悪い奴だったんでしょうか」
「その可能性が高いな。他国から移住してきたみたいだったし」
「じゃあ、返す必要はなかったんですか?」
「そうかもしれないから、明日にでもそいつを探しに行く」
「僕とジウで探しますんで、見つかるまでは二人はゆっくりしておいてくださいよ」
「そういうわけにはいかないだろ。大体、お前ら二人にはわざわざ付いてきてもらってるんだから、そこまでやってもらわなくて良い」
エル様は大きく息を吐いた。
そうなのよね。
私とエル様の二人きりで旅というのは、さすがに世間体的に良くないということで、メガとジウにお願いして、この旅に付いてきてもらっている。
「そのことですけど、ジウも言ってましたけど、エル様が姐さんを嫁にしてしまえば早いんじゃないですか?」
「そういう問題じゃねぇよ」
眉根を寄せるエル様に、メガは真剣な表情になって言う。
「こんなこと言われたくないだろうってわかっているけど言わせてもらいます。復讐したい気持ちはわかりますよ。俺だって話を聞いて、レフェクトの国王なんてって思います。だけど、もし、レフェクトの国王に手を出したら、エル様は罪に問われるかもしれないんですよね? それなら、やめてほしいです。普通に姐さんと一緒に国を潰してほしいです」
「国王一人から国を潰すになってるぞ」
「国潰すってのは、ほら、自滅してくれそうじゃないですか。自滅なら、エル様も姐さんも罪に問われることはないです。俺、エル様に死んでほしくないです」
メガの言葉を聞いて、私は無言でエル様を見つめた。
エル様は少し考えたあと、苦笑してから口を開く。
「お前の気持ちは嬉しいよ。だけど、そんなに簡単に諦められるものじゃない」
「そうですよね」
メガはがっかりした顔をして、しゅんと肩を落とした。
エル様の立場になった時のことを思うと、苦しくてしょうがない。
お父様のことは私だって許せない。
でも、目の前で起きた出来事ではなかった。
私なら耐えられないほどの苦しみをエル様は乗り越えてきている。
そして、最低国王への敵討ちはエル様にとっての生きる糧だったのかもしれない。
エル様はメガの気持ちも理解しているから、彼に怒ることもできないし、自分の気持ちを変えることも難しいんだわ。
こうなったら、私ができることをしてみましょう。
「エル様」
「ん?」
「家族が出来ましたら犬死する気にはなりませんわよね?」
「そ、それはもちろんそうだろうけど、俺には家族はいないし」
「では、私と結婚を前提にお付き合いしてくださいませ」
「はあ!?」
エル様だけでなく、メガまでもが大きな声で聞き返してきたのだった。
ただ、私たちが拾った宝石だけはまだ返せていないとのことだった。
ジヤオさんの言うことが本当なら、私たちは悪い人の元に返してしまったのかもしれないので、早速、次の日には魔道具で確認することに決めた。
お金も返さないといけないわね。
人から奪ったものを届けたお金をもらったままなんて嫌だもの。
ジヤオさんの家から帰る馬車の中で、話をしていると、先程は外で見張りをしてくれていたメガが詳しい話を聞かせてほしいと言ってきたので、彼に話をすることになった。
「じゃあ、あの宝石商は悪い奴だったんでしょうか」
「その可能性が高いな。他国から移住してきたみたいだったし」
「じゃあ、返す必要はなかったんですか?」
「そうかもしれないから、明日にでもそいつを探しに行く」
「僕とジウで探しますんで、見つかるまでは二人はゆっくりしておいてくださいよ」
「そういうわけにはいかないだろ。大体、お前ら二人にはわざわざ付いてきてもらってるんだから、そこまでやってもらわなくて良い」
エル様は大きく息を吐いた。
そうなのよね。
私とエル様の二人きりで旅というのは、さすがに世間体的に良くないということで、メガとジウにお願いして、この旅に付いてきてもらっている。
「そのことですけど、ジウも言ってましたけど、エル様が姐さんを嫁にしてしまえば早いんじゃないですか?」
「そういう問題じゃねぇよ」
眉根を寄せるエル様に、メガは真剣な表情になって言う。
「こんなこと言われたくないだろうってわかっているけど言わせてもらいます。復讐したい気持ちはわかりますよ。俺だって話を聞いて、レフェクトの国王なんてって思います。だけど、もし、レフェクトの国王に手を出したら、エル様は罪に問われるかもしれないんですよね? それなら、やめてほしいです。普通に姐さんと一緒に国を潰してほしいです」
「国王一人から国を潰すになってるぞ」
「国潰すってのは、ほら、自滅してくれそうじゃないですか。自滅なら、エル様も姐さんも罪に問われることはないです。俺、エル様に死んでほしくないです」
メガの言葉を聞いて、私は無言でエル様を見つめた。
エル様は少し考えたあと、苦笑してから口を開く。
「お前の気持ちは嬉しいよ。だけど、そんなに簡単に諦められるものじゃない」
「そうですよね」
メガはがっかりした顔をして、しゅんと肩を落とした。
エル様の立場になった時のことを思うと、苦しくてしょうがない。
お父様のことは私だって許せない。
でも、目の前で起きた出来事ではなかった。
私なら耐えられないほどの苦しみをエル様は乗り越えてきている。
そして、最低国王への敵討ちはエル様にとっての生きる糧だったのかもしれない。
エル様はメガの気持ちも理解しているから、彼に怒ることもできないし、自分の気持ちを変えることも難しいんだわ。
こうなったら、私ができることをしてみましょう。
「エル様」
「ん?」
「家族が出来ましたら犬死する気にはなりませんわよね?」
「そ、それはもちろんそうだろうけど、俺には家族はいないし」
「では、私と結婚を前提にお付き合いしてくださいませ」
「はあ!?」
エル様だけでなく、メガまでもが大きな声で聞き返してきたのだった。
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