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第二章 破滅の赤
牢屋で交流会
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ドサッ
「「いった~!」」
真っ暗な檻の中に突如魔法陣が浮かび上がり、そこから4,5歳くらいの幼い少年少女さんにが落ちてきた。体制を崩したのか茶髪の少女と少年は尻もちをつき痛そうに顔を歪めていた。その横で金髪の少女が心配そうに二人を見つめている。三人の首には黒い首枷がはまり、入っている場所が檻ゆえにまるで奴隷のようであった。
「はっ動ける!ここは…いやそれよりも二人とも怪我はしてない!?」
「私は何ともありません」
「私も大丈夫よ。それよりツヴァイこそ大丈夫!?」
「問題ないよ。体も動くようになったし心配ないから」
それは自分のせいだということは隠しルクレツィアはしゃがみ込んでいるいる二人と目線を合わすためその場にかがんだ。石畳の冷たい地面とジメジメとした空気、目の前の檻とつい先ほどまで対峙していたガラの悪い男たちと首枷。ここまでくればどんなに鈍い者でも自分の状況が分かるだろう。最悪の状況に目の前の少年と少女の顔色は悪く険しい顔付きをしている。
少年が何か言おうと口を開いた瞬間、カツカツと複数の足音が聞こえ二人はビクッと肩を揺らし檻の奥を見つめた。
「チッ、たく誰が当日ギリギリになって商品仕入れやがったんだ…ってほぉこれは…」
「うっわぁこれだけの上玉を一度に三人も…今回のオークションは荒れそうっすね」
目の前には仕立ての良い服を着た男が二人、品定めするかのような不快な視線で三人を見つめていた。上司だと思われる男の左頬には古傷があ目立ち鋭い眼光が三人を威圧する。しかし少年は震えながらも二人を守るように前に出て男たちを睨んだ。少女は少年を止めようと震える手で服の裾を掴み引っ張ている。
「ほぉ、その年で泣きわめきもせず状況を理解しているとは中々だな。まぁいくら暴れようが問題はない、お前たちは今晩のオークションの目玉だ逃がしはしねえ。せいぜいそこで最後の別れでも楽しんでいなガキ共」
そういうと男たちは暗闇の中に消えていった。その瞬間極度の緊張から解き放たれた二人は荒い息で床に座り込んだ。汗をグッショリとかき未だに震えている二人に申し訳ないと思いつつもルクレツィアも地面に座った。
「えっと…私は『ルカなのです!』…ルカといいます。私のせいで巻き込んでしまってすみません」
「いいのよ、貴方も被害者なんだから私はリーリヤ。リリーと呼んでよろしくルカさん」
「リリーの言う通り君は悪くないよ、俺はツヴァイとりあえず状況整理しようか」
ルクレツィアは内心汗をかき頭を下げまくっていたが根性でキラキラな笑顔を維持していた。実はお金欲しさに犯罪者の懐に忍び込み大金を巻き上げようとしていたなんて言えない。わざと目立ちそれを楽しみつつ怪しい路地に自ら迷い込んだなんて…わざとか弱いふりをして二人を巻き込んだなんて…言えない!!ルクレツィアはそんなことを内心叫びつつ平然と二人の会話に混ざった。
「二人ともありがとうございます。私のことは呼び捨てで大丈夫ですよ、お2人は貴族でしょうし気後れしますがこの場ではリリー、ツヴァイと呼ばせていただきますね。私は平民ですし口癖のようなものなので敬語はあっても問題ないはずです。」
ルクレツィアのニヤリとした笑みと内容に目を見開いた二人は檻の近くに誰もいないことを横目で確認するとルクレツィアに近寄り小声で会話を始めた。
「冗談でも俺たちが貴族だなんて言わない方がいい。どうみたって君の方が貴族に見えるよ。でもどうしてそう思ったんだ?」
「ふふ顔にどうしてバレた?って書いてありますよ。あ、今周囲に人いないですし【防音】の魔法をかけているので大丈夫ですよ。」
「え、この首枷は魔力を封じる魔法道具のはず…ねぇルカって貴方本名はロゼッタって…いえ何でもないわ。話を続けて頂戴」
「じゃあ続けますね?あと私は確かに偽名ですがロゼッタという名前ではありませんしその名前の方にあったことすらありませんよ。そうそう何故貴族かと思ったかですよね?理由は沢山あるんですけど一番はお二人の魔力量がこの国で出会った人の中でかなり多い部類に入っていたからです。貴族は平民よりも魔力量が多く優れていると聞いていたのでちょっとカマをかけてみたんですが…ふふっ分かりやすく引っかからないだけでも立派ですね。」
「へールカは他人の魔力の量が分かるんだ、それは凄いね。平民は12歳になった時に魔力を測るからそれまで自分たちが多いかどうか分からないんだけど、ルカがそういうなら将来は魔法師団に入れるかも」
ルクレツィアとツヴァイはニコニコとした笑顔のまま腹の探り合いをしていた。そうルクレツィアはツヴァイとリーリヤの人柄や性格などを把握しようと、ツヴァイは当初助けようとしていた幼い少女であるルクレツィアが危険な人物ではないのかを把握しようとしていたのだった。リーリヤは何か思うことが会ったのか考え込んでしまっている。
「ふふっそういうところですよツヴァイ。リリーは取り繕っていてもやはり動揺が見えます、逆にツヴァイはすぐに切り替えて私を見定めようとしていますね。その幼い見た目に合わない頭の良さと冷静さが平民としては不自然です。私が街ですれ違った同じくらいの子供は母親に走ってはいけないと叱られていましたよ?それに所作が綺麗でした。足音が軽やかで今だって姿勢がいい。平民のフリをしているようでしたが、この状況下ではそれも難しいのか育ちの良さが出ちゃってますよ?」
「そりゃどうも。僕とリリーは商家だから貴族を相手にするためにも特に礼儀作法は厳しく躾けられてんだよ。特に僕は長男で後継ぎだからね」
「僕…ね。確かに貴族とも繋がりの深い商家なら下級貴族の血が流れていても不思議ではありませんが…ならどうして貴族かと聞かれたとき直ぐにそれを言わず、冗談といいつつも貴族だと思った理由を聞きたがったのですか?人は突拍子もない事や隠し事を言い当てられた時否定しちゃうんです『俺が貴族なわけないだろ?ただの商家の息子だよ』とでもいえばもう少し交渉が長引くかもしれませんね」
「…はぁまあ今更取り繕ったところでルカの中では俺たちが貴族ってのは確定なんだろ?」
「はいそれもかなり良いところの。二人とも肌にその安い布が合ってい居ないんじゃないですか?白い肌が赤く擦れていますよ」
「…ねぇルカ、やっぱり貴方本当はわざと誘拐されたんでしょ?」
今まで二人の会話を聞きながら考え込んでいたリリーが突然顔を上げルクレツィアに話しかけた。ツヴァイもその考えに賛同したように頷き、ルクレツィアは二人の水色の瞳に挟まれた。
「あはは…やはりバレちゃいました?いや本当にすみません!申し訳ないと思っていたんですけどお二人が予想以上に頭が回ったもので…今から全てお話しますから!ね?そんな怖い顔しないでくださいよぉ」
先ほどまでわざと誘拐されようとしていたことは内緒にしようと考えていたルクレツィアは、ツヴァイとリリーの内面が年相応とは言えないほど早熟していたためこの計画に巻き込みあわよくば更なる目的のための駒になってもらおうと考えていた。勿論そんなことはおくびにも出さない笑顔で話しかける。
「えっとでは夜まで時間があることですしお茶をしながらお話ししましょうか」
そういうとルクレツィアは魔力で椅子とテーブルを作り、亜空間からポットとカップ、クッキーを取り出し二人に振舞った。その様子を見ていた二人は目を見開き驚き固まっていた。
「どうしたんですか?私の入れるお茶は至って普通の味ですが警戒するほど不味くはありませんよ」
「いやそうじゃなくて…ルカこれは魔法なの?」
「え?どう見ても魔法じゃないですか。錬金術で椅子とテーブルを作っても良かったのですがこの石畳汚いですし、綺麗にしたとしても汚れがないと私が魔法使えることがバレるので魔力に属性を付与して作ったんです。どうですこの細部までこだわったガーデンテーブル!あっ大丈夫ですよ風景もほら!【幻覚】で花畑にしましたし空調も【浄化】しつつ空間を遮断しているのでバレる心配はありませんから」
「え…いやそういうことじゃなくて」
ウキウキとした様子で椅子に座るルクレツィアに促され二人は目の前の状況に混乱しながらも席に着いたのだった。光の届かない薄暗い牢屋の中とは思えないほど快適な空調、まるで本当に花畑に居るかのように錯覚してしまうほどの景色と匂い柔らかい風と光に包まれ三人は話し合いを再開した。
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設定を細かく決め過ぎて作者自身忘れかけているものがあります。疑問を感じたら教えて下さい。
次回 牢屋でお茶会
「「いった~!」」
真っ暗な檻の中に突如魔法陣が浮かび上がり、そこから4,5歳くらいの幼い少年少女さんにが落ちてきた。体制を崩したのか茶髪の少女と少年は尻もちをつき痛そうに顔を歪めていた。その横で金髪の少女が心配そうに二人を見つめている。三人の首には黒い首枷がはまり、入っている場所が檻ゆえにまるで奴隷のようであった。
「はっ動ける!ここは…いやそれよりも二人とも怪我はしてない!?」
「私は何ともありません」
「私も大丈夫よ。それよりツヴァイこそ大丈夫!?」
「問題ないよ。体も動くようになったし心配ないから」
それは自分のせいだということは隠しルクレツィアはしゃがみ込んでいるいる二人と目線を合わすためその場にかがんだ。石畳の冷たい地面とジメジメとした空気、目の前の檻とつい先ほどまで対峙していたガラの悪い男たちと首枷。ここまでくればどんなに鈍い者でも自分の状況が分かるだろう。最悪の状況に目の前の少年と少女の顔色は悪く険しい顔付きをしている。
少年が何か言おうと口を開いた瞬間、カツカツと複数の足音が聞こえ二人はビクッと肩を揺らし檻の奥を見つめた。
「チッ、たく誰が当日ギリギリになって商品仕入れやがったんだ…ってほぉこれは…」
「うっわぁこれだけの上玉を一度に三人も…今回のオークションは荒れそうっすね」
目の前には仕立ての良い服を着た男が二人、品定めするかのような不快な視線で三人を見つめていた。上司だと思われる男の左頬には古傷があ目立ち鋭い眼光が三人を威圧する。しかし少年は震えながらも二人を守るように前に出て男たちを睨んだ。少女は少年を止めようと震える手で服の裾を掴み引っ張ている。
「ほぉ、その年で泣きわめきもせず状況を理解しているとは中々だな。まぁいくら暴れようが問題はない、お前たちは今晩のオークションの目玉だ逃がしはしねえ。せいぜいそこで最後の別れでも楽しんでいなガキ共」
そういうと男たちは暗闇の中に消えていった。その瞬間極度の緊張から解き放たれた二人は荒い息で床に座り込んだ。汗をグッショリとかき未だに震えている二人に申し訳ないと思いつつもルクレツィアも地面に座った。
「えっと…私は『ルカなのです!』…ルカといいます。私のせいで巻き込んでしまってすみません」
「いいのよ、貴方も被害者なんだから私はリーリヤ。リリーと呼んでよろしくルカさん」
「リリーの言う通り君は悪くないよ、俺はツヴァイとりあえず状況整理しようか」
ルクレツィアは内心汗をかき頭を下げまくっていたが根性でキラキラな笑顔を維持していた。実はお金欲しさに犯罪者の懐に忍び込み大金を巻き上げようとしていたなんて言えない。わざと目立ちそれを楽しみつつ怪しい路地に自ら迷い込んだなんて…わざとか弱いふりをして二人を巻き込んだなんて…言えない!!ルクレツィアはそんなことを内心叫びつつ平然と二人の会話に混ざった。
「二人ともありがとうございます。私のことは呼び捨てで大丈夫ですよ、お2人は貴族でしょうし気後れしますがこの場ではリリー、ツヴァイと呼ばせていただきますね。私は平民ですし口癖のようなものなので敬語はあっても問題ないはずです。」
ルクレツィアのニヤリとした笑みと内容に目を見開いた二人は檻の近くに誰もいないことを横目で確認するとルクレツィアに近寄り小声で会話を始めた。
「冗談でも俺たちが貴族だなんて言わない方がいい。どうみたって君の方が貴族に見えるよ。でもどうしてそう思ったんだ?」
「ふふ顔にどうしてバレた?って書いてありますよ。あ、今周囲に人いないですし【防音】の魔法をかけているので大丈夫ですよ。」
「え、この首枷は魔力を封じる魔法道具のはず…ねぇルカって貴方本名はロゼッタって…いえ何でもないわ。話を続けて頂戴」
「じゃあ続けますね?あと私は確かに偽名ですがロゼッタという名前ではありませんしその名前の方にあったことすらありませんよ。そうそう何故貴族かと思ったかですよね?理由は沢山あるんですけど一番はお二人の魔力量がこの国で出会った人の中でかなり多い部類に入っていたからです。貴族は平民よりも魔力量が多く優れていると聞いていたのでちょっとカマをかけてみたんですが…ふふっ分かりやすく引っかからないだけでも立派ですね。」
「へールカは他人の魔力の量が分かるんだ、それは凄いね。平民は12歳になった時に魔力を測るからそれまで自分たちが多いかどうか分からないんだけど、ルカがそういうなら将来は魔法師団に入れるかも」
ルクレツィアとツヴァイはニコニコとした笑顔のまま腹の探り合いをしていた。そうルクレツィアはツヴァイとリーリヤの人柄や性格などを把握しようと、ツヴァイは当初助けようとしていた幼い少女であるルクレツィアが危険な人物ではないのかを把握しようとしていたのだった。リーリヤは何か思うことが会ったのか考え込んでしまっている。
「ふふっそういうところですよツヴァイ。リリーは取り繕っていてもやはり動揺が見えます、逆にツヴァイはすぐに切り替えて私を見定めようとしていますね。その幼い見た目に合わない頭の良さと冷静さが平民としては不自然です。私が街ですれ違った同じくらいの子供は母親に走ってはいけないと叱られていましたよ?それに所作が綺麗でした。足音が軽やかで今だって姿勢がいい。平民のフリをしているようでしたが、この状況下ではそれも難しいのか育ちの良さが出ちゃってますよ?」
「そりゃどうも。僕とリリーは商家だから貴族を相手にするためにも特に礼儀作法は厳しく躾けられてんだよ。特に僕は長男で後継ぎだからね」
「僕…ね。確かに貴族とも繋がりの深い商家なら下級貴族の血が流れていても不思議ではありませんが…ならどうして貴族かと聞かれたとき直ぐにそれを言わず、冗談といいつつも貴族だと思った理由を聞きたがったのですか?人は突拍子もない事や隠し事を言い当てられた時否定しちゃうんです『俺が貴族なわけないだろ?ただの商家の息子だよ』とでもいえばもう少し交渉が長引くかもしれませんね」
「…はぁまあ今更取り繕ったところでルカの中では俺たちが貴族ってのは確定なんだろ?」
「はいそれもかなり良いところの。二人とも肌にその安い布が合ってい居ないんじゃないですか?白い肌が赤く擦れていますよ」
「…ねぇルカ、やっぱり貴方本当はわざと誘拐されたんでしょ?」
今まで二人の会話を聞きながら考え込んでいたリリーが突然顔を上げルクレツィアに話しかけた。ツヴァイもその考えに賛同したように頷き、ルクレツィアは二人の水色の瞳に挟まれた。
「あはは…やはりバレちゃいました?いや本当にすみません!申し訳ないと思っていたんですけどお二人が予想以上に頭が回ったもので…今から全てお話しますから!ね?そんな怖い顔しないでくださいよぉ」
先ほどまでわざと誘拐されようとしていたことは内緒にしようと考えていたルクレツィアは、ツヴァイとリリーの内面が年相応とは言えないほど早熟していたためこの計画に巻き込みあわよくば更なる目的のための駒になってもらおうと考えていた。勿論そんなことはおくびにも出さない笑顔で話しかける。
「えっとでは夜まで時間があることですしお茶をしながらお話ししましょうか」
そういうとルクレツィアは魔力で椅子とテーブルを作り、亜空間からポットとカップ、クッキーを取り出し二人に振舞った。その様子を見ていた二人は目を見開き驚き固まっていた。
「どうしたんですか?私の入れるお茶は至って普通の味ですが警戒するほど不味くはありませんよ」
「いやそうじゃなくて…ルカこれは魔法なの?」
「え?どう見ても魔法じゃないですか。錬金術で椅子とテーブルを作っても良かったのですがこの石畳汚いですし、綺麗にしたとしても汚れがないと私が魔法使えることがバレるので魔力に属性を付与して作ったんです。どうですこの細部までこだわったガーデンテーブル!あっ大丈夫ですよ風景もほら!【幻覚】で花畑にしましたし空調も【浄化】しつつ空間を遮断しているのでバレる心配はありませんから」
「え…いやそういうことじゃなくて」
ウキウキとした様子で椅子に座るルクレツィアに促され二人は目の前の状況に混乱しながらも席に着いたのだった。光の届かない薄暗い牢屋の中とは思えないほど快適な空調、まるで本当に花畑に居るかのように錯覚してしまうほどの景色と匂い柔らかい風と光に包まれ三人は話し合いを再開した。
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設定を細かく決め過ぎて作者自身忘れかけているものがあります。疑問を感じたら教えて下さい。
次回 牢屋でお茶会
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