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腐女子が覗いた妄想

結婚しても腐女子☆

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後半、初夜です。
ロマンチックとか拙作にはないです。ご容赦下さい。

*:._.:*~* :._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*

 
 なんだかんだで一年後、結婚する日がやってきた。
 それまでにデートとか改めてのプロポーズとかデートとか互いの家族への挨拶とかデートとか……楽しかったです。ポッ。

 挙式の形式をユオトレ教式にするかレリィミウ教式にするかについては、「マリちゃんの前世も多数の神様がいるところだったんだろ。結婚式はどうしてたんだ?」とアンソニーに訊かれて、私の考える結婚式(推しカプたちのグランドフィナーレケコーン妄想)を実際に披露したところ大好評。特に貴族女性に大ウケした。

 どの辺が貴族ウケしたのだろう。

 至極無難に、白いウェディングドレスと三段ケーキでファーストバイト、キャンドルサービスでハート点火あたりをやっただけなのに。
 ちょっと身分と財力にも物言わせてウェディングドレスは総絹織物。ベールも生糸の総刺繍。三段どころか五メートルくらいの巨大ケーキになって、キャンドルどころか空にでっかいハート型花火を打ち上げたけども。

 花火? 花火が良かったの?

 元々この国の花火は一発ドンと打ち上げるのしかなくて、発火装置を私のスキルで『魔改造』したところ、同時点火もできるようになってたらしく連続発火が可能になりハート型に打ち上げてもらえた次第。
 今回の結婚式でウケたので、これからは花火興行が増えそうだと花火師さんたちも喜んでた。よきよき。

 派手といえば国の守護竜とも呼ばれる赤竜が出現して、翼竜を率いて空にお祝いメッセージ描いてくれたことの方がよっぽど派手だった。
 色雲がポコポコ出て空に私たちの絵姿が浮き上がったの。これこそエンターテインメントじゃない。

「アホ兄やりすぎ……」

 呆れた声出すアンソニーの様子見てれば、首謀者は義兄になった公爵様だって分かったけどね。一回挨拶で会ったことあるけど、ここまでする人だとは思ってもみなかった。
 変わった人ではあったけども。

 近所に集まった庶民の皆様には祝福ギフトなお菓子を配り、会場飾りつけの花も配り、披露宴の料理もお裾分けして喜ばれた。
 王族でもないのにここまで大盤振る舞いできたのは、何と言っても公爵家の力がでかいからである。
 まあ、マベラスティン公だけが動いてたわけじゃないみたいだけどね。私は引きこもりなのでその辺の事情は知らないが。
 なんせ公爵の名前さえ知らなかったほど世間様にゃ疎い。

 疎いと言えばアンソニーの職業について。
 私、鈍いにもほどがあったよ。公爵の弟が伯爵家で秘書してる時点でおかしいと疑うべきだった。
 そのことは披露宴で『王徒騎士隊』の皆さんが挨拶に来て発覚したんだけど。

「騎士……?」

 アンソニー騎士だった件。

「正しくは騎士の身分も持ってるってだけのこと。言ってなくてごめん」

 披露宴会場とは別室にて、新郎新婦揃って同じ長椅子に座り、方々から挨拶されてるこの現状。
 人見知り激しくコミュ障な私は、黙ってベール被ったまま時々ぺこりと会釈すればいいだけの簡単なお仕事です。
 受け答えは全部アンソニーと、お義母様であるマリンフレール様が担当して下さってます。ありがたい。

 と、そんなことよりアンソニーってば騎士様なの?
 正しくは騎士の身分も持ってるって? なんのこっちゃ。

 詳しくは説明されないまま騎士関係の人たちとやらが次々に挨拶してきて、ぺこぺこしまくった私。
 多分、直属の上司みたいな髭生えた豪快なおっちゃんには、「末永く仲睦まじくな」と激励され、同僚な人たちには、「お前やっぱロリコンだったのか」とかからかわれ、先輩だと紹介してくれた赤毛混じりの茶髪な人からは、「さすが『俺の嫁』効果」と挨拶の前にスキル褒めてくる始末。
 個性的なメンバーばかりだね『王徒騎士隊』って。

 そんでもってその先輩ってのが親族挨拶の時にも会ったことあるアンドリューさんて人で、アンソニーの従兄だとか。
 名前似てるけどなんかあんの?
 思わず、意味なく、先輩騎士×後輩騎士で実は異母弟とか設定盛って妄想しちゃったのは……現実逃避だ。本当に意味はない。これこそ『まなし、ちなし、みなし』の『』である。

「面白れえ嫁だな」

 と、アンドリュー先輩。
 はっ。いけない。油断してベールを開けていた。騎士たちいなくなったから、もう終わりだと思ってレモン水を飲むのに顔を丸出しにしていたよ。そうしたらまだ残ってたアンドリュー先輩に顔バッチリ見られちゃった。目線が合う。
 面白いとはなんぞな。私の顔か? 顔が面白い? いや違うな妄想? 妄想見られた? え、まさかこの人『感情読心』持って……?

「さあてな」とか誤魔化されたけど、これ確信犯ですぞ。

 ちょっと! ちゃんと言わないともっとえげつない想像して腐れ脳内ぶちまけるぞ! 健全男子にゃ辛いだろうが。さあ吐け。お前のスキルを見せてみろ!
 なんて、ちょっと悪ふざけで「後輩騎士×先輩騎士の下剋上バージョン 年下に攻められて開花した俺の菊花が毎晩うずくのだ何とかしてくれ」妄想していたら、「ごめんなさい」って泣き入れられた。

「この娘えげつねえ…………」

 真っ青な顔で口元押さえてプルプルチワワになっているアンドリュー先輩。

「その辺で勘弁してやってくれ、マリちゃん。アンディの心はもう限界だ」

 アンソニーに止められたので、やめる。筋肉と筋肉がぶつかり合っていいところだったけど、やめたる。

「アンディ、言っただろ。マリちゃんは普通の子と違うって」
「普通から大分逸脱してすっげえ変なやつだってこと、もっときちんと教えとけよトニー。お前に慰謝料請求してえわ」

 なんだと? 大の男が心を折られた如きで慰謝料請求すんな不届きもんめっ!

「やめろこっち向くな。いや向かないでくださいお願いします。トニーお前の嫁だぞ何とかしろ」

 目が合っただけで脳が破壊される! とか、失礼な。私はゴーゴンか何かか。今後もアンドリュー先輩とは家族ぐるみでお付き合いしていくことになるからこの辺で勘弁してあげますよ。
 誤解なきよう言っておきますと、先輩はいい人なんだよ。ノリがいいからこうなるだけで。あと先輩の嫁もいい人だよ。この後に会ったんだけど、すげえ綺麗で神秘的な透明感があって妖精かと思ったわ。

 お祝い料理堪能しながら一通りの挨拶が済んだ頃、マリンフレール様がのたもうた。

「この調子なら安心ね。いいお嫁さんでママほんと安心したわあ」

 マリンフレール様は例のアクティブ義母上です。
 私とは性格合いそうにないと思ってたけど会ってみればどっこい。
 とても朗らかで包容力のあるご婦人でして、私のことはマリヨナちゃんと言って可愛がってくださる。豊満系美人さんです。

「いい歳してママはない」
「あらま澄ましちゃって。ママ知ってるんですからね。あんたがマリヨナちゃんがまだ五歳児の頃から粉かけてたこと」

 ありゃ。ママンに知られてますたよアンソニー。相手の親に婚約者の打診までしてるとなれば息子の珍行動だもんね。そりゃあ知ってるか。
 そこで打ちのめされてアンドリュー先輩みたくプルプルこいつはプードルだなしちゃっているアンソニー、聞いてますかアンソニー。
「orz」している場合じゃありませんよ。ママンは何でもお見通しなんですよ。

「まったく、けったいなスキルで読めたでしょうに……。いいこと? 試練はこれからよ。私としてはマリヨナちゃんも可愛いから応援しますけどね。あんたのトラウマはあんたで解決しなきゃ駄目よ。
 ……それじゃあね。今夜はお嫁さんに優しくしておあげなさいな」

 お義母様、今夜って初夜のことでしょうか。
「ヘマすんじゃないわよ」と念押しして去って行くところ見ると、新婚初夜のことを差していることは理解できました。大事なことだから釘差しましたみたいな、ね。

 それで、トラウマって何のこと? 試練て?

 謎の言葉を残してゆくお義母様は、ミステリー小説の中でミスリードを誘う容疑者の身内みたいな気がするね。気のせいだといいけど。

「少なくとも容疑者に肩入れしてるのが母だけどね。それが今わかった。あーもう母上には敵わない。領地に家出してると思ったらこれだもの。父上も呼び戻さないはずだよ。思いっきりやれってことか……それとも泳がせとくか……だったら……、」

 なんだかブツブツ言ってるアンソニーはお疲れのようですな。
 私がレモン水を持って傍らに立っても何の反応もないくらいボケている。いつもだったら私の気配に気づいて、顔上げてくれるけどなあ。
 なんだかちょっと寂しい気持ちでレモン水がぶ飲み。

 アンソニー、アンソニー、気づいてアンソニー。私ここにいるよ。

「…………? マリちゃ、ん、んン……?!」

 やっと顔上げてくれたアンソニーの口めがけてアタック。
 口内に含んでたレモン水を、くっつけた唇の隙間から流し込む。その際、抵抗できないよう両手で顎挟んで固定。

「うン……っ」

 うひゃあ~アンソニーの口から漏れる呼気エロい。
 ごくんっとレモン水は飲んでくれたけど、唇を放す気はお互いにないらしい。

「っは、ン」

 どっちの口から零れた吐息か────二人して夢中でキスし合うこと数分。

 な、なんでこんなこと、してん……?

 ちょっと冷静になった部分でつっこむんだけど、ノリノリで舌絡ませてるから本当にちょこっとだけ残った理性だったんだよ。
 くちゅくちゅ混ざり合うお互いの唾液が泡立とうが口端から落ちようが構わない。
 深くて気持ちいいキスに私は陶然となっていて、アンソニーから離れたくなくて、ずっとこのままだ。

 どれくらい貪り合ってたんだか分からないけど、気づけば呼吸乱れてぐってりし出した私。
 そんな様子の私に気づかなければ、アンソニーはまだまだ私の唇を放さなかったかもしれない。私だって体力続けばもっとアンソニーとしていたい。

「ぁ、ふ、ぁ、ふぁ、あんそ、に……」
「……ごめんねマリちゃん、不安にさせて」

 本当にそうだよ。私を見てくれないアンソニーはもうアンソニーじゃないんだからね。ただの眼鏡だからね。

「眼鏡に成り下がるのは嫌だから……、ちゃんと説明するよ」

 そう言ってアンソニーは私の腰を支えてくれた。いやほら、キス気持ち良すぎてまともに立てなくなったんでござる。
 二人寄り添って部屋を出た。

 披露宴会場は伯爵家邸宅だ。諸々の事情があってアンソニーが我が家に婿入りしてくれることになったので、我が家で宴会の席を設けているのだ。

 本来なら勝手知ったる自宅だけど、ずっと別棟に引きこもりな私は本宅をあまり知らない。どうすっかなーと思いながら部屋出たところで執事のマーシャルが控えていて、そろそろ眠たいと訴えたら寝室へとさり気なく案内された。

「旦那様はこちらです」と、途中でアンソニー持っていかれたが。ええええアンソニー別なのお? 驚く間もなく「奥様はこっちですよお」と私は陽気なメイドさんたちに引っ張られて浴室直行だ。
 ぶくぶく泡風呂シャワシャワー。キレイにしましょう洗いましょうっていう初夜の前の身だしなみを整える儀式ね。りょ。

 全身、見事に産毛すら剃られて磨かれ大理石の如くつるつるに。黄金のようにピカピカに。鼻毛まで抜くのは本当に何かの儀式なのかな。
 挙句の果てに用意された寝間着はこれでもかというほどレースふりふりで透けてて肩紐しかなくて……これ、寒い。
 もちっと布面積広いのないの? あ、ないの。丈も短すぎると思うの。尻半分見えてるし。これデフォなの? 選んだ責任者は誰? あ、母様。それは逆らえないねえ。
 ご苦労様です。

 夜勤だろうメイドさんたちに、「あ、あ、ありがとう……」と頑張って御礼言って、それから夫婦の寝室とやらへ。
 いつの間に用意されてたんだろうねえ何もかも。私が引きこもってる間になんだろうけど。

 室内はロマンチックに整えられていた。光量は抑えられ香が漂う。これ何の香りだったっけとベッドに向かえば、薔薇の花弁が撒いてあったので、あーこれかーと。薔薇の匂いくらい覚えとけ乙女として。
 こうしてみると色んな色があるんだねえ薔薇の花弁って。赤白黄橙ピンク紫、黄緑に青。レインボー! ひゃはー!
 カラフルな花弁たちを手の平ですくって、さっふぁ~~。放り投げてみる。あーいい匂い。フラワーシャワーぞなー。
 茎付きのが何本かあったのでシュシュッと投げてみる。薔薇手裏剣! 棘は折ってあるから痛くないぞ。そして刺さることもない。安心安全の薔薇手裏剣です。
 そんな風に一人でキャッキャウフフしてたらアンソニーきた。

「びっくりした。花投げつけられるかと思った」

 なんでやねん。ここは「薔薇の妖精みたいだね」と褒めるとこじゃろが。

「そういうの狙ってたんだ。すまん気づかなかった」

 真面目に謝られたわ。どうしたアンソニー。新婚初夜ゲロ楽しみとかゲス顔でのたまってたお前どこいった。あの時のお前、輝いてたぜ?

「逆にマリちゃんが雄々しいのはどうしてだろうな……」

 今度は遠い目で…………。
 アンソニー、何がそんなにアンソニーの心を蝕んでんの? お義母様が言ったこと気にしてんの? アンソニーが言いたくなければそれでいいんだよ。私に何か内緒しててもいいよ。アンソニーが何者でもかまわない。私はアンソニーと結婚できて幸せだから。

「いや待ってマリちゃん……っ、あーもう、女の子に何言わせてんだ俺……あーほんとマリちゃんが格好良くて可愛くてどうしよう。俺の方こそ君みたいな子を嫁にできて幸せだ」

 勢い込んでベッドに押し倒された私。ぼふっとな。
 ベッドに敷き詰められてた花弁も、ふわっと舞い上がって頭上から降り注いでくる。
 見上げたアンソニーは変わらず眼鏡でイケメンで、あ、髪洗い立てだ。アンソニーも磨かれたんだね。
 花弁と共に降ってくるアンソニーの匂い好き。ふへへへ。

「うふへへへへへ」
「その笑いこそマリちゃん」

 変なとこ褒めるな。

「マリちゃん好き」

 知ってるう。

「内緒ごと多くてごめん」

 それな。

「俺は王徒騎士隊に所属してるけど、ここ数年はマリちゃんも知っての通りテグウェン伯爵家で秘書してた」

 なんでも、我が家を狙う悪徳貴族がいたらしく、そやつから我が家を護るために潜入捜査ってのをしていたと。
 その悪徳貴族ってのが、お兄様の恋人を寝取ったあれだねあれ。男娼館『オーキッド・ハウス』の魔法機械まで壊して悪いことし放題の悪徳貴族だ。
 捕まったらしいけど。私が魔改造で復元したデータを証拠に暴行罪で起訴。他の余罪と合わせて粛々と裁判が始まってるそうだよ。

 ……知らんかった。引きこもってりゃ知る由もないことだけどさ。
 いやでも我が家ピンチだったわけじゃん。特にお兄様は被害に遭ってんじゃん。私、魔改造しただけでいいとこなしじゃん。

「それが一番重要だったんだが。気づいてないのかねマリちゃんは。君のおかげで、あの男娼館も救われてる。魔法機械が性能アップしただろ。長時間収録可能になった。監視機能が向上したことで犯罪の抑止効果にも繋がった。いいことづくめだ」

 あー私の意図しない魔改造っぷりが監視社会の一役を担ってしまったわけですね。犯罪はいけないことだけど、監視しなきゃいけない状況ってのも悲しいもんだ。

「アンソニーは……騎士なの?」

 そこが一番気になる。

「正規の騎士とはちょっと違う。本来なら幼い頃から鍛え上げて騎士になるもんだろ。俺は普段、研究職なんだよね。神の声を聴いたから神職の身分なんだ。でも、王徒騎士隊の一員になった時点で騎士の身分も保証されることになった。今回みたいな潜入とか調査みたいな任務じゃ色んな権限が必要だからな。身分保障は大事だ」

「公爵様の弟、なのに……?」

「公爵なのは兄であって俺じゃない。俺自身の身分は俺で決めるさ」

 いいこと言ったぞアンソニー。前世からの万年ヒキコの私にゃ眩しいくらい輝いてるぜえ。

「あーいや、格好良く聞こえるかもしれんが俺自身は何でもない。ただマリちゃん好きな眼鏡でいい」

 え。なにそれ冗談すか。アンソニーが冗談言うた。そういや今まで彼が冗談言うことあったっけ? どっちかというと真面目秘書ですやん。

「オラついた秘書な」

 それは対外的にでしょ。今なら分かるよ。我が家族を守る為だったんだねえ。ありがとう。潜入捜査とはいえ引きこもりな私の面倒までみて、ご苦労様でした。

「むしろご褒美だったけどな。君が無防備に寝てるとこ眺め回せる最高のポジションだった。あ、普段の下着は透けないやつの方がいいと思う。乳首透けてて大変だった。うっかり仕事中に勃起した」

 そうだこいつとんだ変態だった。
 私の引きこもり部屋に勝手に入った挙句に……下着、だと? ましゃか服脱がしたのかこのド変態が。どんな下着つけてようが私の勝手だろがド変態が。

「ド変態が」
「心の底から詰られた。ありがとう」

 御礼言っちゃったよこの変態眼鏡。
 そんでもって薄衣の上から乳首吸うなっ! さっきから喋りながらもずっと太腿やお尻を撫で回していたけど、とうとうおっぱいもみもみぱふぱふにシフトした。

「にゃ、ぁ……くすぐった、あ、強いの、だめっ」

 ぷっくり張った胸の突起をチュッチュ吸われてる。布隔ててるはずなのに触られてるのも吸われてるのも分かる。アンソニーの熱い吐息が敏感な乳首にかかる。
 エロいことされてる。そりゃそうだ今は初夜の真っ最中。

「ほんとに駄目? 吸う度に硬くなってる気がするけど」

 知らんわーい。勝手に硬くなってるんだい。初めてなんだから、吸われると乳首尖るとか知らんわい。
 ボーイズたちのにゃんにゃんで、「そこ感じちゃううっ」な台詞あっても、いやいやおめーちょっと舐められたくらいでそりゃないぜと冷静につっこんでいた部分もあるんだ。
 まさか自分がこっち側でちくびんびんにされちゃうとは……女体の神秘に驚きです。股間濡れるのも神秘だぞ。
 脚の付け根を合わせてもじもじしていたら、アンソニーの指がそこを這ってきて余計にもじもじしちゃう。

「気持ちいい?」

 お股の敏感な突起ばかりいじられればそりゃあ気持ちいいですわい。
 トロトロ トロリ 溢れ出る透明な愛液。アンソニーの指と絡んでクチュクチュ摩擦を起こしている。
 お股じんじん。腰ぷるぷる。アンソニーにされてるんだと思っただけでイきそう。

「きもち、いいー……っ、トニー、と、にーぃ、いいよう……」

 自分でする自慰と大違いだあね。
 彼の太い指の方が、私のお豆を擦る面積広くて刺激が大きい。もっとして、もっとしてとアンソニーの着ているガウンの前袷を乱した。

 はらりと落ちてくる赤い毛束。
 ふわりと香るシャボンの匂い。

 ふぎゃ。トニーなんでそんな色っぺえの?!

 乱した前袷から覗く鎖骨と張りのある胸筋が目に飛び込んで、目潰し食らったかのような衝撃を受けた。
 血圧がぎゅんと上がる。鼻血出ませんように! 新婚初夜で花嫁が鼻血ブーとか恥辱プレイにも程があるからね!

「あう、ぅ、いい、いいっ、トニー好き、好きっ」

 鼻血ブーは回避したが下から愛液ブシャーは逃れられなかった。
 アンソニーの首に縋り付いて背筋を逸らす。めっさイった。どんどんイった。
 絶頂の余韻でふわふわしてる私の頬を、唇を、デコルテまでをアンソニーの口が啄んでいく。
 ちゅっちゅ ちゅっちゅ リップ音立てて厚い唇が肌を食んで、私は彼に愛されているという証を付けられていく。

 アンソニーはもどかしそうにガウンを脱いで、その辺に放った。
 私の愛液でドロぐちょになったおパンティーにも手を掛け、脱がせてくれる。
 これはあれだ。上の薄衣も脱がそうとしてくれているなと分かったので、私は上半身起こして肩紐を引いた。すると薄衣の前身がはらりと落ち、一瞬で全裸になる。

「マリちゃん、綺麗だよ……」

 なぜかアンソニーが感動した。
 手品みたーいてやつだろうか。いやでもここ、こう引っ張ると蜜柑の皮のようにつるんと剥けますよとは着せてくれたメイドさんが教えてくれてたこと。
 実際にやってみても便利だなーくらいにしか思ってなかったけど、図らずもアンソニーが感動してるのでワロタ。私の旦那様は可愛いな。

 両腕を広げて、「きて、トニー」と呼んでみたら、一瞬で胸元にテレポート。
 くーんくんくん犬みたいに甘えてきた。
 アンソニーの柔らかい赤毛を撫でる。でかい図体して私に首ったけですっていうポーズがいい。
 抱き締め合って、キスして、ひとつに繋がった。

「ア─ッ、ぅー……ッ」

 噂にしか聞いたことなかった処女喪失。
 痛いとは聞いてたけど、これ、まぢ、痛い痛い。
 どんだけ私の下半身に鈍痛響かせればいいのかってくらいむやみやたらに痛いんですがまーじーでーおげああああ!

 仰向けで見上げてアンソニーの顔を見る。
 あらま、彼も辛そうで。何かに耐えてる顔ですわ。

「っいや、大丈夫。マリちゃんのが辛いだろ。痛いだろ。俺は痛くないけどマリちゃん見てるのがしのびなくてなっ」

 テンパるアンソニー。大丈夫に見えない。落ち着け。イケメンが台無しだぞ。
 彼の頬を撫でて、もみあげのとこ指で擦ってあげて、それから耳も指先でこしょこしょしてあげる。

「……っ、マリ、ちゃん……!」
「よしよし……ありがと、気遣ってくれて」
「くぅ……マリちゃんが嫁でホント良かった」

 繋がったままぎゅっとされる。
 お股痛いけどアンソニー可愛いからゆるす。

 私の体が慣れた頃にアンソニーは動いてくれた。
 ゆっくり緩慢な動きで気遣ってくれるから、私は安心してアンソニーに抱かれた。

「んはっ……、あ……あ――……」

 鈍い痛みが吹っ飛ぶ勢いで腰が跳ねる。そこを衝かれた時に出る声が止まらなくて自分で自分に驚く。中にあるんだ? 声出るスポット?
 訳分からないまま熱に翻弄されている。アンソニーの背中に腕を回した。あ、背中、汗で濡れている。アンソニーの息も乱れて、吐息が艶めかしい。

「で、そう……はぁ……マリちゃん、出すね……」

 私、必死。こくこく頷くだけ。

「っ、────~~!!」

 激しく腰を前後に振って昇り詰めていく。痛いのか気持ちいいのかそれとも別の何かなのか。訳分かんないまま、達した。
 内腿がきゅっと引き締まってアンソニーにしがみつく。何かに縋ってないと頭パーンて飛んでいきそうだから。

「はぁ、はぁ……、はっ、あ、はぁ……」

 二人して呼吸を乱す。
 続く余韻で頭の中ふわふわ。しばらく目を瞑っていた。

 アンソニーが色んなところにキスしてくれる。手の指とか甲、腕や肩に至るまで全部とか。お胸も優しく揉んでくれて、お臍までくすぐる。そんな、こしょこしょしたら笑っちゃうよう。

 くすくす、心の中で笑って。
 アンソニー好き好きってまた呟いて。
 私は眠ってしまった。
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