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冷えた心
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――ゼミ当日。
ゼミの一コマ前の休み時間。
美羽に呼びだされ怜が中庭に行くと、先に彼女がベンチに座って待っていた。
怜に気づくと美羽は立ち上がり、怜に向かってここよと手を振る。
そういえば初めて美羽と会ったのも、ここだったなと思い出しながら、ゆっくり美羽の方へと歩いてゆく。
今日は太陽の光は強く少し歩いただけで汗ばむ陽気だ。今日はジーンズじゃなくて、風通しの良い薄手のスラックスにすればよかったと後悔していた。夏日になると後から調べた天気予報にそう書かれていたが、そんなことを知らなかった白シャツの上にジャケットまで羽織ってきていたが、すぐに教科書の入った黒いショルダーバッグに突っ込んだ。背筋にじわりと吹き出す汗を感じながら美羽の前にたどり着く。今日の美羽は半袖水色のワンピースで涼しげで、その肌は腕にかかった白いトートバッグと同化するほど、白かった。
怜に微笑む美羽の顔もやはり透き通るほど白い。でも、先日よりもだいぶ顔色が良い美羽を前に、怜はほっと息をついた。
二人が落ち合うと、行き交う学生たちはちらちらと二人の様子を好奇心旺盛な視線が痛いほど投げ掛けられたていた。
その視線を気にして、やっぱり場所を変えようと美羽は言い出し、怜もそれに従った。
人気のない校舎の裏側にある細い道に移動すると一枚の紙を差し出してきた。
「何だこれは?」
怜の目の前でひらひらと揺れる紙。早く手に取ってよ。と美羽は怜の手に紙を押し付けてきた。
仕方なく、それを手に取り手の中の文字に視線を移すと、一問一答形式で手書きされた文字がぎっしりと詰め込まれていた。
その一片に目を通した怜の眉間には、みるみるうちに深い皺が刻み込まれていた。
『作戦を成功させるための辻褄合わせの問答集』
問)どういう経緯で付き合うことになったのか?
答)怜から告白。理由はお任せ。
問)いつから付き合い始めたのか
答)四月十日くらい
問)どこで告白したのか?
答)満月が浮かぶ海
あまりに適当で突飛な内容に唖然とする怜を無視して、美羽は得意げに言った。
「辻褄合わせ。二人言っていることに食い違いがあったら、あっという間にバレるでしょ? だから、そういったことがないようにそこに書いておいたから読んでおいて。もうだいぶ問い詰められてるでしょう? 本当に付き合ってるのか? って。特に渡さん。」
そういわれて、怜は紙から目を離してちらりと美羽を見た。怜をじっと見つめてくる太陽の光に当たると赤茶色く輝く瞳がまともにかち合う。怜の瞳の奥を読み取ったのか、美羽はくすくすと笑っていた。
「やっぱりねぇ。なんて聞かれたの?」
「本当に付き合っているのかと詰め寄られたから、お前には関係ないと答えた。
そしたら、いきなり怒り始めた。」
その時のことをゆらりと怜は思い出した。
長い付き合いだろ? 本当のことを話せよ。そんな渡を怜が一蹴した途端。渡はいつになく本気で怒っていた。
俺は、お前にとってどの位置にいるのか知らねぇが、ちゃんと言ってくれれば援護だってしてやるって言ってるんだよ!
と捨て台詞までされて。そのことを怜が話すと、美羽は顎に手をやってなるほどね。と呟いていた。
「色々本気であなたのこと心配してくれているのね。渡さんは、あなたの親友だものね」
「……そんなんじゃない。一年の時からあいつが勝手に纏わりついてくるだけの腐れ縁だ」
「……といいながらも、実は頼りにしてるんでしょ?」
そう美羽に改めて問われてみれば、否定はできなかった。
何事もストレートに言う癖のある怜の言動に初めて会った人間は不愉快に思わせることは多々ある。
そんな時、角が立ちそうな雰囲気を和ませてくれるのは渡だ。
自分らしくしていても大丈夫なのは、渡がいてくれてこそなのかもしれない。
そんな怜の逡巡を美羽はそっと見守っていると、形のいい唇をそっと動かした。
「渡さんは、私も信用してる。とってもいい人だし、あなたを頑張って理解してくれようとしている。
そういう人って希少よ? 滅多にお目にかかれない珍獣みたいなものなんだから」
ふふっと美羽は風のように笑う声を聞きながら、怜は思う。
渡に本当のことを言えば、確かに力にはなってくれるかもしれない。
だが、あいつも不器用で正直な奴だ。わざわざ嘘に加担させるのも、悪い気はする。
じっと黙り込む怜の視界にふわりと入って、美羽はまた怜の目をまたじっとみると「なるほどね」と呟き、そのあとに
「……やっぱり、優しいのね」
伏目がちにして美羽は笑っていた。
「優しくない……」
思わず出た怜の呟きに、美羽は少し驚いた顔をしていた。
これまで、優しいなんていわれたことはない。むしろ冷たいとか、血が通っていないとかさんざんに言われてきた。
両親でさえそういった認識をされている。
お前は、人の思いをくみ取ることはできないヤツだ。優しさのひとかけらでもあれば病院を継いでやろうと普通思うだろう。代々親が繋いできた道を壊そうとは思わないだろう。それができないお前は、冷酷だ。
そう投げつけてきた鋭い刃でも、自分は動揺することもなく、悲しいと思うこともなく、淡々と自分の道を進んできた。
自分自身、よくもここまで冷たい態度ができるものだと驚くほどに。
なのに、今目の前に立つ心を読めるという美羽は自分のことを優しいという。
そんなどうしようもなく卑下している怜を知ってか知らずか、美羽は鮮明な声でいった。
「あなたは……怜は、とても優しいわ」
当たり前だとでも言いたげに、そうはっきりと告げてくる美羽の目を怜は少し目を大きくしながら見つめ返した。
「周りの人が感じやすいあなたの冷たさは、優しさの裏返し。
とーってもわかりにくいから、誤解されることも多いかもしれないけど。わかる人にはちゃんとわかるわ。
渡さんも、ちゃんとわかってくれてる」
私もね。そう最後に付け加えた美羽の言葉は余韻も残さないように消えてゆこうとしていた。
だが、怜の内に美羽の声は消えることなく、優しく木霊し続けていた。
その度に、美羽を送った帰り道に感じたふわりと浮かぶ不思議な感覚が蘇る。
胸の中心に、柔らかく温かい何かがふわりと浮かび、また心臓がトクリと音を立てていた。
そんなざわつく内に困惑していると、美羽は細い腕に巻き付いていた時計を見てあっと声を上げた。
「もう次始まっちゃう。じゃ、またあとで」
ニコリと笑って、踵を返す美羽。水色のスカートが蝶のように翻らせると、さっと飛び立っていった。
怜はその華奢な水色の羽が消えないように、最後まで見送っていた。
ゼミの一コマ前の休み時間。
美羽に呼びだされ怜が中庭に行くと、先に彼女がベンチに座って待っていた。
怜に気づくと美羽は立ち上がり、怜に向かってここよと手を振る。
そういえば初めて美羽と会ったのも、ここだったなと思い出しながら、ゆっくり美羽の方へと歩いてゆく。
今日は太陽の光は強く少し歩いただけで汗ばむ陽気だ。今日はジーンズじゃなくて、風通しの良い薄手のスラックスにすればよかったと後悔していた。夏日になると後から調べた天気予報にそう書かれていたが、そんなことを知らなかった白シャツの上にジャケットまで羽織ってきていたが、すぐに教科書の入った黒いショルダーバッグに突っ込んだ。背筋にじわりと吹き出す汗を感じながら美羽の前にたどり着く。今日の美羽は半袖水色のワンピースで涼しげで、その肌は腕にかかった白いトートバッグと同化するほど、白かった。
怜に微笑む美羽の顔もやはり透き通るほど白い。でも、先日よりもだいぶ顔色が良い美羽を前に、怜はほっと息をついた。
二人が落ち合うと、行き交う学生たちはちらちらと二人の様子を好奇心旺盛な視線が痛いほど投げ掛けられたていた。
その視線を気にして、やっぱり場所を変えようと美羽は言い出し、怜もそれに従った。
人気のない校舎の裏側にある細い道に移動すると一枚の紙を差し出してきた。
「何だこれは?」
怜の目の前でひらひらと揺れる紙。早く手に取ってよ。と美羽は怜の手に紙を押し付けてきた。
仕方なく、それを手に取り手の中の文字に視線を移すと、一問一答形式で手書きされた文字がぎっしりと詰め込まれていた。
その一片に目を通した怜の眉間には、みるみるうちに深い皺が刻み込まれていた。
『作戦を成功させるための辻褄合わせの問答集』
問)どういう経緯で付き合うことになったのか?
答)怜から告白。理由はお任せ。
問)いつから付き合い始めたのか
答)四月十日くらい
問)どこで告白したのか?
答)満月が浮かぶ海
あまりに適当で突飛な内容に唖然とする怜を無視して、美羽は得意げに言った。
「辻褄合わせ。二人言っていることに食い違いがあったら、あっという間にバレるでしょ? だから、そういったことがないようにそこに書いておいたから読んでおいて。もうだいぶ問い詰められてるでしょう? 本当に付き合ってるのか? って。特に渡さん。」
そういわれて、怜は紙から目を離してちらりと美羽を見た。怜をじっと見つめてくる太陽の光に当たると赤茶色く輝く瞳がまともにかち合う。怜の瞳の奥を読み取ったのか、美羽はくすくすと笑っていた。
「やっぱりねぇ。なんて聞かれたの?」
「本当に付き合っているのかと詰め寄られたから、お前には関係ないと答えた。
そしたら、いきなり怒り始めた。」
その時のことをゆらりと怜は思い出した。
長い付き合いだろ? 本当のことを話せよ。そんな渡を怜が一蹴した途端。渡はいつになく本気で怒っていた。
俺は、お前にとってどの位置にいるのか知らねぇが、ちゃんと言ってくれれば援護だってしてやるって言ってるんだよ!
と捨て台詞までされて。そのことを怜が話すと、美羽は顎に手をやってなるほどね。と呟いていた。
「色々本気であなたのこと心配してくれているのね。渡さんは、あなたの親友だものね」
「……そんなんじゃない。一年の時からあいつが勝手に纏わりついてくるだけの腐れ縁だ」
「……といいながらも、実は頼りにしてるんでしょ?」
そう美羽に改めて問われてみれば、否定はできなかった。
何事もストレートに言う癖のある怜の言動に初めて会った人間は不愉快に思わせることは多々ある。
そんな時、角が立ちそうな雰囲気を和ませてくれるのは渡だ。
自分らしくしていても大丈夫なのは、渡がいてくれてこそなのかもしれない。
そんな怜の逡巡を美羽はそっと見守っていると、形のいい唇をそっと動かした。
「渡さんは、私も信用してる。とってもいい人だし、あなたを頑張って理解してくれようとしている。
そういう人って希少よ? 滅多にお目にかかれない珍獣みたいなものなんだから」
ふふっと美羽は風のように笑う声を聞きながら、怜は思う。
渡に本当のことを言えば、確かに力にはなってくれるかもしれない。
だが、あいつも不器用で正直な奴だ。わざわざ嘘に加担させるのも、悪い気はする。
じっと黙り込む怜の視界にふわりと入って、美羽はまた怜の目をまたじっとみると「なるほどね」と呟き、そのあとに
「……やっぱり、優しいのね」
伏目がちにして美羽は笑っていた。
「優しくない……」
思わず出た怜の呟きに、美羽は少し驚いた顔をしていた。
これまで、優しいなんていわれたことはない。むしろ冷たいとか、血が通っていないとかさんざんに言われてきた。
両親でさえそういった認識をされている。
お前は、人の思いをくみ取ることはできないヤツだ。優しさのひとかけらでもあれば病院を継いでやろうと普通思うだろう。代々親が繋いできた道を壊そうとは思わないだろう。それができないお前は、冷酷だ。
そう投げつけてきた鋭い刃でも、自分は動揺することもなく、悲しいと思うこともなく、淡々と自分の道を進んできた。
自分自身、よくもここまで冷たい態度ができるものだと驚くほどに。
なのに、今目の前に立つ心を読めるという美羽は自分のことを優しいという。
そんなどうしようもなく卑下している怜を知ってか知らずか、美羽は鮮明な声でいった。
「あなたは……怜は、とても優しいわ」
当たり前だとでも言いたげに、そうはっきりと告げてくる美羽の目を怜は少し目を大きくしながら見つめ返した。
「周りの人が感じやすいあなたの冷たさは、優しさの裏返し。
とーってもわかりにくいから、誤解されることも多いかもしれないけど。わかる人にはちゃんとわかるわ。
渡さんも、ちゃんとわかってくれてる」
私もね。そう最後に付け加えた美羽の言葉は余韻も残さないように消えてゆこうとしていた。
だが、怜の内に美羽の声は消えることなく、優しく木霊し続けていた。
その度に、美羽を送った帰り道に感じたふわりと浮かぶ不思議な感覚が蘇る。
胸の中心に、柔らかく温かい何かがふわりと浮かび、また心臓がトクリと音を立てていた。
そんなざわつく内に困惑していると、美羽は細い腕に巻き付いていた時計を見てあっと声を上げた。
「もう次始まっちゃう。じゃ、またあとで」
ニコリと笑って、踵を返す美羽。水色のスカートが蝶のように翻らせると、さっと飛び立っていった。
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