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怜の落ち着いた心地よい声。
その声で語られる明るい話に集中しすぎて、美羽は体のことにまで気が回っていなかった。
持っていたトートバッグがやけに重く感じた時には、もう遅かった。
指先は冷えきっていて背筋に冷たい汗が噴き出していた。
地面が波打ち始める。咄嗟に防護柵の手すりに掴まるが、そこに血を吸いとる棘でも仕込まれていたのかと思うほど、血の気が引いてゆく。なのに心拍数は上がってゆく。体温も奪われていって寒い。
それでも、こんな自分に怜に気付かれたくない。と思い、ゼミの話に相槌をうまく打ったつもりだった。うまく誤魔化せたはずだった。
だけど。
「大丈夫か?」
怜は驚いた表情で透き通っていたはずの瞳は心配の色に染めあげて、美羽に向いていた。表情が薄いはずの怜が今にも泣きだしそうな子供のように顔を歪めている。
その顔を見ながら、無理やり付き合わせたのに迷惑をかけて申し訳ない。という気持ちばかりが大きくて、自分の身体なんかよりもどうしようもない後悔の方が息苦しかった。
まだ、出会ってから間もない短期間に大丈夫かと問いかけられたのは、もう二回目だ。
「……心配しないで。……ただの貧血だから」
美羽は全然平気だと笑って言ったつもりだった。
だが、怜の顔は心配の皴深く刻ませ心配を拍車をかけさせてしまったようだ。さらに刻まれた眉間の皺を見て、どうやら笑顔を失敗したらしいと知る。
頭がくらくらして、立っているのも辛くなってくる。ズルズルと手すりから手が滑り落ちる 。足からも力が抜けて地面へと吸い込まれてゆく。
手すりから手が離れてしまったら、確実に青から黒へ景色は暗転するという自覚があった。だから、何としても離したくなかった。だけど、意思とは裏腹に手からゆっくりと離れていき完全に空に投げだされそうになった時。怜のあたたかい手が美羽の手を掴んでいた。
まただ、と美羽は思う。
あの時よりも、ずっとあたたかい。
失われそうだった熱もその手に包み込まれれば、辛うじて繋ぎ止められる。
全部あの夜と同じならば、きっとこの身体もまま元に戻っていってくれるはずだと、淡い期待を抱いてはみたが、やっぱり足の力も血の巡りも元には戻ってはくれなかった。
それを察知したのか怜は素早く美羽の肩と背中に手が回して支えられてずるずると地面に膝をついてしゃがみ込み始めていた。
「そこにベンチがある。そこまで行こう」
小さく頷く美羽を怜は抱きかかえるようにベンチに座らせた。
美羽は座ったと同時に膝に両手を置いてその上に額を押し付け、倒れ込むように頭を下げた。
血が引きすぎて、吐き気まで出てきていた。それを紛らわせるように早く頭にも血が巡るようにぎゅっと目を瞑った。
美羽の丸まった背中にふわりと怜の匂いのする黒いジャケットが掛けられて、その上を怜のあたたかい手がゆっくり摩っていた。
落ち着かせるように、背中を何度も何度も行き来を繰り返す。心地よい手のぬくもり。
心配をかけてしまっている彼への負い目と優しさに胸がまたきゅっと軋む。
「……ごめんなさい……迷惑かけて……」
頭を下げたままそういう。
「あとで、いくらでも話は聞く。だから、今は喋らなくていい」
だが、また怜の優しい声が降る。
暗い荒波が、少しずつ穏やかになるのを感じながら美羽は思う。
私は何という失敗をしたのだろう。こんなに怜が優しいことを知っていたら、あんな私の身勝手な作戦を持ち込まなかった。
初めて会ったときの大学の中庭。
読みにくい瞳は、少しの冷たさと、どこか人を寄せ付けない壁もあって。
そんな人なら、色々なことを見て見ぬふりをしてくれると思っていた。ちょっとくらいの顔色の悪さも、困ったことが起きたとしても、見逃してくれると思っていた。つい人の心に踏み込みがちな自分を跳ね返してくれると思っていた。
なのに。蓋を開けてみたらどうだろう。
見逃すどころか、些細なことにも気付いて、手を差し出してくれる。踏み込んだ私の手は振り払われると思ったのに、そっと受け入れてくれる。そして、いつでもその手は、いちいち瞳の奥を見なくてもわかるほどに、優しさに溢れていた。
「もう、大丈夫だから、先に帰って」
顔を上げようと身じろぎしている美羽を察して、怜はそれを止めていた。
「まだ、頭を上げない方がいい。無理はするな」
美羽自身もまだ、上げるべきじゃないとはわかっていた。
でも、平気だという証拠を見せない限り怜は、きっと行ってはくれない。もう私を置いて行ってほしかった。これ以上触れられてしまったら、私の心は離れられなくなってしまう。だから、無理やりでも顔をあげたかった。
だけど、頭に大きな手が乗せられて柔らかい声で制されてしまえば、美羽はもう身動きはできなかった。
そんな美羽の背中にまた怜の温もりが落ちてくる。その手は、美羽の心を離してはくれず、胸は苦しくなるほど脈打っていた。
しばらく、ベンチで回復を待っていたが、なかなか復調しない美羽。これでは、電車移動は無理だろうと怜は判断し、タクシーを拾うことにしたのだった。「私は大丈夫だから、先に帰って」と美羽は訴えてきたが、一人で立ち上がることもままならない上に、真っ青な顔のままだ。肩を支えられてやっと歩いている美羽には説得力のかけらもなく、怜は埠頭前で客待ちをしているタクシーを捕まえた。
白髪にうっすら白髭を蓄えた小太りの運転手が、ほとんど歩けていない美羽を抱えている怜の姿を見つけるとすぐに駆け寄ってきて「お嬢さん具合悪いのかい?」と尋ねた。
「貧血みたいで」
声を出すのも辛そうな美羽の代わりに怜が答える。
「あぁ、やっぱりねぇ。そうだと思ったよ。うちの女房と一緒の顔してたもんだから。お嬢さんは、後部座席で横になっていなさい。お兄さんは、助手席へ」
「すみません」と美羽は弱弱しく答えて、後部座席に雪崩れ込む。その時、ずっと美羽の肩にかかっていた怜のジャケットが落ちるが拾う余裕もない美羽はそのまま倒れるように右側を下にして横になった。怜はジャケットを拾い上げて、上半身だけ車内に入れて細い肩にかけてやり、自分と美羽のバッグを抱えて助手席に乗り込んだ。一足早く運転席に戻っていたタクシードライバーは、日報が挟まれているバインダーを手にしていた。
「どちらまで?」
「星丘駅までお願いします」
以前、図らずも美羽を送ることになってよかったな思いながら答える。
「渋滞がなければ三十分くらいで着くけど、今日は金曜日だからねぇ。大分かかるかもしれないよ」
そういいながら、手にしている日報に使い古したボールペンを走らせる。
「女房もね、数ヵ月に一度青い顔して、寝込むことがあるんだよ。女の人は男なんかより大変な思いをしてるんだろうなと思うよ。ま、そんなに心配しなくて大丈夫さ。ゆっくり寝て明日になれば、元気になる。思いつめるなよ、カッコいいお兄さん」
話しながら器用に日報を書き終えると、運転手は元々細くて垂れている目をもっと下げて笑った。
多弁な男に怜は励まされながら、冷静もいつも通りの顔をしているつもりだが、心配されるほどにわかりやすい顔をしているだろうかと思う。たった今初めて出会った人にそんなことを言われるくらいだ。自分でも見たことがないくらい酷い顔をしているのかもしれない。
「そうですね」
怜は頷くと今度は、その女房はさ、貧血の時以外は、すぐにカッとなる質なんだよ。この前はさ、俺がちょっと飲みに行って帰ってきたら……と、長い長い家庭の愚痴が話が始まっていた。
右から左に流れてゆく声を聞きながら、ちらりと後部座席で横になっている美羽をみやる。いくらか和らいだ表情にはなったが、相変わらず顔色は真っ白で唇も白みがかっていた。
海で崩れ落ちた時のあの青さが甦る。あの瞬間、あまりの顔色の悪さに手が震え心臓までもが悴みそうだった。あの時の名残なのか、未だに背筋がどこか冷たい。
あれは、ただの貧血じゃない。
決定的な根拠はない。でも、初めて会った時から、美羽はどこか儚げで透き通って見えた。今にも、風に飛ばされてそのまま消えそうだと思った。そう思うのは、肌が元々白いのと華奢な身体からそう見えるだけだと思っていた。だが、美羽が倒れた時、頭の片隅にふわりと漂っていた疑念は、確信に変わって頭の中心にずしりと鎮座し始める。一度でも気づいてしまえば、決して動かすことのできない重苦しい何かは、美羽が言った恋はしないという理由はその中に隠されていると確信を得る。それが何なのか知りたくないと思う一方で、それ以上に強く知りたいと思う。知ってしまえば、後戻りはできないとわかっている。だけど、それでもいい。美羽が抱えている何かを、知りたい。
渋滞がなければ三十分と言われていた道のりは、運転手が予想していた通り異常に混雑していた。数メートル動いては数分止まるのを何度も繰り返す。その度に湧き上がる衝動は、静かに胸に刻まれていくようだった。
その声で語られる明るい話に集中しすぎて、美羽は体のことにまで気が回っていなかった。
持っていたトートバッグがやけに重く感じた時には、もう遅かった。
指先は冷えきっていて背筋に冷たい汗が噴き出していた。
地面が波打ち始める。咄嗟に防護柵の手すりに掴まるが、そこに血を吸いとる棘でも仕込まれていたのかと思うほど、血の気が引いてゆく。なのに心拍数は上がってゆく。体温も奪われていって寒い。
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だけど。
「大丈夫か?」
怜は驚いた表情で透き通っていたはずの瞳は心配の色に染めあげて、美羽に向いていた。表情が薄いはずの怜が今にも泣きだしそうな子供のように顔を歪めている。
その顔を見ながら、無理やり付き合わせたのに迷惑をかけて申し訳ない。という気持ちばかりが大きくて、自分の身体なんかよりもどうしようもない後悔の方が息苦しかった。
まだ、出会ってから間もない短期間に大丈夫かと問いかけられたのは、もう二回目だ。
「……心配しないで。……ただの貧血だから」
美羽は全然平気だと笑って言ったつもりだった。
だが、怜の顔は心配の皴深く刻ませ心配を拍車をかけさせてしまったようだ。さらに刻まれた眉間の皺を見て、どうやら笑顔を失敗したらしいと知る。
頭がくらくらして、立っているのも辛くなってくる。ズルズルと手すりから手が滑り落ちる 。足からも力が抜けて地面へと吸い込まれてゆく。
手すりから手が離れてしまったら、確実に青から黒へ景色は暗転するという自覚があった。だから、何としても離したくなかった。だけど、意思とは裏腹に手からゆっくりと離れていき完全に空に投げだされそうになった時。怜のあたたかい手が美羽の手を掴んでいた。
まただ、と美羽は思う。
あの時よりも、ずっとあたたかい。
失われそうだった熱もその手に包み込まれれば、辛うじて繋ぎ止められる。
全部あの夜と同じならば、きっとこの身体もまま元に戻っていってくれるはずだと、淡い期待を抱いてはみたが、やっぱり足の力も血の巡りも元には戻ってはくれなかった。
それを察知したのか怜は素早く美羽の肩と背中に手が回して支えられてずるずると地面に膝をついてしゃがみ込み始めていた。
「そこにベンチがある。そこまで行こう」
小さく頷く美羽を怜は抱きかかえるようにベンチに座らせた。
美羽は座ったと同時に膝に両手を置いてその上に額を押し付け、倒れ込むように頭を下げた。
血が引きすぎて、吐き気まで出てきていた。それを紛らわせるように早く頭にも血が巡るようにぎゅっと目を瞑った。
美羽の丸まった背中にふわりと怜の匂いのする黒いジャケットが掛けられて、その上を怜のあたたかい手がゆっくり摩っていた。
落ち着かせるように、背中を何度も何度も行き来を繰り返す。心地よい手のぬくもり。
心配をかけてしまっている彼への負い目と優しさに胸がまたきゅっと軋む。
「……ごめんなさい……迷惑かけて……」
頭を下げたままそういう。
「あとで、いくらでも話は聞く。だから、今は喋らなくていい」
だが、また怜の優しい声が降る。
暗い荒波が、少しずつ穏やかになるのを感じながら美羽は思う。
私は何という失敗をしたのだろう。こんなに怜が優しいことを知っていたら、あんな私の身勝手な作戦を持ち込まなかった。
初めて会ったときの大学の中庭。
読みにくい瞳は、少しの冷たさと、どこか人を寄せ付けない壁もあって。
そんな人なら、色々なことを見て見ぬふりをしてくれると思っていた。ちょっとくらいの顔色の悪さも、困ったことが起きたとしても、見逃してくれると思っていた。つい人の心に踏み込みがちな自分を跳ね返してくれると思っていた。
なのに。蓋を開けてみたらどうだろう。
見逃すどころか、些細なことにも気付いて、手を差し出してくれる。踏み込んだ私の手は振り払われると思ったのに、そっと受け入れてくれる。そして、いつでもその手は、いちいち瞳の奥を見なくてもわかるほどに、優しさに溢れていた。
「もう、大丈夫だから、先に帰って」
顔を上げようと身じろぎしている美羽を察して、怜はそれを止めていた。
「まだ、頭を上げない方がいい。無理はするな」
美羽自身もまだ、上げるべきじゃないとはわかっていた。
でも、平気だという証拠を見せない限り怜は、きっと行ってはくれない。もう私を置いて行ってほしかった。これ以上触れられてしまったら、私の心は離れられなくなってしまう。だから、無理やりでも顔をあげたかった。
だけど、頭に大きな手が乗せられて柔らかい声で制されてしまえば、美羽はもう身動きはできなかった。
そんな美羽の背中にまた怜の温もりが落ちてくる。その手は、美羽の心を離してはくれず、胸は苦しくなるほど脈打っていた。
しばらく、ベンチで回復を待っていたが、なかなか復調しない美羽。これでは、電車移動は無理だろうと怜は判断し、タクシーを拾うことにしたのだった。「私は大丈夫だから、先に帰って」と美羽は訴えてきたが、一人で立ち上がることもままならない上に、真っ青な顔のままだ。肩を支えられてやっと歩いている美羽には説得力のかけらもなく、怜は埠頭前で客待ちをしているタクシーを捕まえた。
白髪にうっすら白髭を蓄えた小太りの運転手が、ほとんど歩けていない美羽を抱えている怜の姿を見つけるとすぐに駆け寄ってきて「お嬢さん具合悪いのかい?」と尋ねた。
「貧血みたいで」
声を出すのも辛そうな美羽の代わりに怜が答える。
「あぁ、やっぱりねぇ。そうだと思ったよ。うちの女房と一緒の顔してたもんだから。お嬢さんは、後部座席で横になっていなさい。お兄さんは、助手席へ」
「すみません」と美羽は弱弱しく答えて、後部座席に雪崩れ込む。その時、ずっと美羽の肩にかかっていた怜のジャケットが落ちるが拾う余裕もない美羽はそのまま倒れるように右側を下にして横になった。怜はジャケットを拾い上げて、上半身だけ車内に入れて細い肩にかけてやり、自分と美羽のバッグを抱えて助手席に乗り込んだ。一足早く運転席に戻っていたタクシードライバーは、日報が挟まれているバインダーを手にしていた。
「どちらまで?」
「星丘駅までお願いします」
以前、図らずも美羽を送ることになってよかったな思いながら答える。
「渋滞がなければ三十分くらいで着くけど、今日は金曜日だからねぇ。大分かかるかもしれないよ」
そういいながら、手にしている日報に使い古したボールペンを走らせる。
「女房もね、数ヵ月に一度青い顔して、寝込むことがあるんだよ。女の人は男なんかより大変な思いをしてるんだろうなと思うよ。ま、そんなに心配しなくて大丈夫さ。ゆっくり寝て明日になれば、元気になる。思いつめるなよ、カッコいいお兄さん」
話しながら器用に日報を書き終えると、運転手は元々細くて垂れている目をもっと下げて笑った。
多弁な男に怜は励まされながら、冷静もいつも通りの顔をしているつもりだが、心配されるほどにわかりやすい顔をしているだろうかと思う。たった今初めて出会った人にそんなことを言われるくらいだ。自分でも見たことがないくらい酷い顔をしているのかもしれない。
「そうですね」
怜は頷くと今度は、その女房はさ、貧血の時以外は、すぐにカッとなる質なんだよ。この前はさ、俺がちょっと飲みに行って帰ってきたら……と、長い長い家庭の愚痴が話が始まっていた。
右から左に流れてゆく声を聞きながら、ちらりと後部座席で横になっている美羽をみやる。いくらか和らいだ表情にはなったが、相変わらず顔色は真っ白で唇も白みがかっていた。
海で崩れ落ちた時のあの青さが甦る。あの瞬間、あまりの顔色の悪さに手が震え心臓までもが悴みそうだった。あの時の名残なのか、未だに背筋がどこか冷たい。
あれは、ただの貧血じゃない。
決定的な根拠はない。でも、初めて会った時から、美羽はどこか儚げで透き通って見えた。今にも、風に飛ばされてそのまま消えそうだと思った。そう思うのは、肌が元々白いのと華奢な身体からそう見えるだけだと思っていた。だが、美羽が倒れた時、頭の片隅にふわりと漂っていた疑念は、確信に変わって頭の中心にずしりと鎮座し始める。一度でも気づいてしまえば、決して動かすことのできない重苦しい何かは、美羽が言った恋はしないという理由はその中に隠されていると確信を得る。それが何なのか知りたくないと思う一方で、それ以上に強く知りたいと思う。知ってしまえば、後戻りはできないとわかっている。だけど、それでもいい。美羽が抱えている何かを、知りたい。
渋滞がなければ三十分と言われていた道のりは、運転手が予想していた通り異常に混雑していた。数メートル動いては数分止まるのを何度も繰り返す。その度に湧き上がる衝動は、静かに胸に刻まれていくようだった。
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