神様、幸運なのはこんなにも素晴らしい事だったのですねぇ！

第 九章 町政と商会の始動そして海賊退治。

第１３６話 二日酔いと真夜中の考察。

    ズキンズキンと頭の痛みに目が覚めた。あれ、飯を食べていたはずなんだけどな。
ここは、私の新しい寝室かな？何か酷く喉が渇いてしょうがないな。それに、今何時頃だ？頭が痛んで考えが纏まらないな。まずは水を飲もう。
    ベッドから降りて、ガウンを羽織り隣の部屋の執務室に移り明かりをつけて、ソファーに座るとインベントリィから木製カップを出してテーブルに置く。
    生活魔法の〈ウォーター〉で水を注いでゆっくりと飲み干したが、渇いた喉には美味かった。キンキンに冷えた水ではないが、程よい冷たさで非常に旨かった。今度は冷えた水を何杯か飲むと、頭痛も少しづつ治まってきた。

「〈キュア〉。」

    状態異常解除の魔法を唱えたが、二日酔いは病気ではないからか、効かないようだ。

「〈ピュリフィケーション〉。」

    お、こっちは効いたようだな。体内に残っていた頭痛が途端に消えたよ。体内の毒素というか、なんとかアルデヒドとかいう、アルコールで分解された物質が出来る物質が悪酔いの元とか聞いたことがあったな。それが消えたのかな？まあ良い。二日酔いには〈ピュリフィケーション〉と覚えておこう。なんて納得していると、執務室の扉がノックがされる。

「どうぞ。」

と入室の許可をすると、サウルが入ってきた。

「明かりが見えましたので伺いました。旦那様、お加減は如何でしょうか？」
「起きがけは、二日酔いで頭痛が酷かったが、水を飲んで魔法を掛けたら治ったよ。」
「それは良うございました。それにしても、旦那様はお酒がお弱かったのですね。今後は私共も気をつけますので、旦那様もご自重をお願いします。」
「ああ、承知したよ。二日酔いの頭痛は今回だけで十分だよ。それで今、何時なのかな？」
「はい、只今夜中の０時過ぎもう少しで一時で御座います。」
「そうか、ざっと四～五時間寝ていたか。私が気絶した後は、どうなったのかな、サウル？」
「はい、皆さん驚かれまして。旦那様をベッドに寝かしつけまして、暫くしてお開きとなりました。」
「それは、済まない事をしたね。折角の歓迎会だったのに。オルソン卿はどうだったか？」
「はい、頻りに皆さんに済まないと謝っておりましたね。」
「そうか、彼のせいと言うわけではないのだから、後で話しておこう。サウルもそろそろ休めよ。」
「はい、有難うございます。それでは旦那様お休みなさいませ。」
「ああ、お休み。」

    サウルが、執務室から出ていったのを見送って、妙に目が冴えているので、今日ハザル達と話すことを、紙に纏めておく事にした。

    まずは、町の拡張工事。約半年後には一万人の兵士と五千頭の馬が馬番と共にくる。まだ、宰相とも細かい話し合いが必要だが、人口が急激に増えることは変わらない訳だ。迎え入れの為に町の西と南と北の外壁をニキロづつ外に広げる。また、西と南と北へ伸びる道を整備して西はリヒトへ向けて領境まで南は取り敢えずイミル河の手前まで道を整備する。外壁については、精霊魔法や土属性魔法で最低でも壁の撤去はしたい。出来るなら魔法だけで作ってしまいたいな。そして、町の北西部から北にかけて国軍の兵舎と練兵場、騎馬隊の厩舎もつくる。西側は住宅地も増やしたい。
東側には浜辺に製塩場をつくりたいな。公営でも良いし、商会のエチゴヤで開発してもいいな。
現在ある港を大きく整備して、大型船が停泊出来る様にしたい。港は伯爵家直轄としたいな。町営よりは、伯爵家の収入源にしたい所だ。
    イミル大河に接せる為、南の方は、主に畑を増やしていきたいな。人口が増えるから、食料を増産しないと輸入に頼る事になるからね。各種畑を開墾して、そこに三年間賃金で働く農夫を募集をしよう。三年後にはその農地を無償で下げ渡す事として農民を増やしていこう。人口増加の具合を見ながら、農地は増やしていこう。建築と農地と製塩所である程度の雇用を確保する。未亡人等の労働弱者は孤児院や役所の清掃婦などで、雇用を出そう。また、子供は町の清掃等でお小遣い程度だが賃金を出そう。扱いは役所に監督させよう。仕事の受付や清掃区画の分担とかね。その為にも人口数の把握が必要だから、早い内に戸籍を作らないといけないな。税金を徴収するにも戸籍が有れば楽だしね。民政部のまずは優先課題だね。

財政部の優先課題は、正確な財政状況の把握だね。アシリーの報告書は宛にならない物だと分かったからな。何に幾らかかっているのか。正確な所がしりたいね。本当の収入と支出が分からんと、何処から手当てして良いかも分からないしね。司法警察部は今居る衛兵の組織化が必要だな。
裁判については、長官と三部長で必要時に集まり判定していき、刑罰の執行は死刑以外は長官管轄で、死刑は報告書を長官から領主に出して貰い、私が承認して、司法警察部で執行する形にする。
行政長官は、三部長から出される報告書の監査役と重要案件の私への上申書の作成、新規事業の統括と裁判の裁判長役って所かな。
まあ、まず一週間やってみて運営上の問題点を洗い出していこうか。その都度問題は修正していかないとな。まあ、年内一杯で軌道に乗れば御の字だな。

    さて、行政組織の件は一先ず置いておいて、以前リヒトで買った赤実つまりトマトのレシピを考えないとな。まずはトマトソースのレシピからいくか。

「〈オーケー・検索〉。」

ピポ♪
久々の検索画面が眼前に現れる。

「検索ワードは『ガイアワールドの食材で作る、日本のトマトケチャップのレシピ』っと。」

よし、『実行』をタップする。

（検索に必要な魔力は三十です。『実行』しますか？Ｙ / Ｎ）

勿論、『実行』と。Ｙをタップする。

    こんな調子で、トマトケチャップからミートソース、ホワイトソース等のソース系や食パンやロールパンを作るための酵母の作り方や、パスタやうどん、ピザやハンバーグの作り方、はては製塩の方法や苦汁にがりの抜き方やマヨネーズの作り方、醤油味噌味醂やラー油等の各種調味料のレシピを調べ書き綴った。気がついたら、サウルが起こしに来るまで、夢中になっていたな。
やっぱり、私って食い意地が張っているのだな。アルメイダの事は言えないよな。