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第拾弐話-監禁

監禁-6

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 長四郎、燐、絢巡査長の三人は、Mr.UZAKAWAから受けたミッションに参加する為に東京駅一番街へと来ていた。
「ここで、何するの?」
 燐はMr.UZAKAWAが居ないか辺りを見回しながら、長四郎に話しかける。
「それはお電話してからのお楽しみ」
 UZAKAWAに電話を掛ける長四郎を見守る絢巡査長と燐。
「あ、しもしも。一番街に来たお」
 UZAKAWAが電話に出るとすぐ長四郎は、そう話し始めた。
「終始、その喋り方で行くのか?」
「あ、止めて良いの? UZAKAWAって名前だから、俺流のUZAKAWAを披露してみたんだけど」
「そんな事を聞いて、こんな名前にしたことを深く後悔しているよ」
「それは結構なことだ」
 長四郎の脇腹を軽く小突かれたので、そちらの方を向くと燐が「早く用件を聞け」といった顔で長四郎を睨みつけている。
「あ、すまん。最初のミッションはなんだ?」
「急にどうした?」
「良いから、早くミッションを言えよ」
 長四郎の身に何か起きたことを察したUZAKAWAは、ミッションを伝え始める。
「今、一番街のどこに居る?」
「今は、クレヨンしんちゃんショップの近くだ」
「良いところに居るな。では、近くのコインロッカーに行き、番号が310のロッカーを開けろ。鍵はロッカー横の配置上の中に入れてある」
「ラジャー」
 長四郎達は指示を受け該当のコインロッカーへと場所を移し、鍵の捜索は燐達に任せ長四郎はUZAKAWAと話を続ける。
「そんでさ、一つ聞きたいんだけど」
「何だ?」
「一川さんを殺してあんたはすっきりするわけ?」
「ああ、早くそうなる事が俺の楽しみさ」
「そうかぁ~だったら、どうしてすぐに殺さないの」
 そんな話をしている長四郎を横目に、鍵を捜索する燐は「どうして、あんなひどい事言えるんだろ」
「男なんてそんなものよ」
「そうなんですかぁ~」
 鉢植えの中を弄っている燐の手に鍵らしきものが接触する。
「あった!!」
 燐は鍵を出すと、長四郎に渡す。
「鍵はあったぜ」長四郎はそう伝えコインロッカーの鍵を開ける。
 ロッカーの中には、一枚の封筒が置いてあった。
「おいおい。ラブレターと同じ封筒じゃないか」
「ああ、分かりやすくそうしたんだが」
「良心的な配慮に感謝するよ」
 封筒を燐に渡し、開けるように首を前後に動かして促す。
 封筒を開けると一枚の紙が入っており、取り出した燐が中身を確認しようとするのだが、その紙を長四郎がひったくり上げ先に内容を確認する。
「おっ、人探しゲームか」長四郎は内容の要約をUZAKAWAに伝えると「そうだ」その一言だけが返ってきた。
「じゃあ、仰せのままに探させて頂きます」
「吉報を待っているぞ」
 そこでUZAKAWAとの通話は終了した。
「で、なんて?」燐は何を言われたのか質問する。
「ここに書いてある人物を探せってさ」
 封筒に入っていた紙を燐に渡すと、一人歩き出す長四郎。
「何が書いてあるの?」
 絢巡査長もその内容を確認する為、燐が持っている紙を覗き見る。
 ミッション内容は、この一番街の中から狐の面をした人物から密書を受け取る。
 制限時間はこの手紙を発見してから、一時間。クリアできなかった時は、爆弾が起爆するというものであった。
「残り時間、55分。早く見つけないと」絢巡査長は腕時計で残り時間を確認し、燐に告げる。
「はい。手分けして探しましょう」
 燐はそう言って、絢巡査長と別れて狐の面をした人物を探す。
 だが、そんなお面をつけて歩く人物など早々に見つかるわけもない。
 その為、燐は別の視点で動く事にした。
 狐の面が置いてある場所に該当の人物が居るのかもしれない。
 そう推理し、狐の面が置いてありそうな場所に向かった。
 燐が訪れたのはJUMP SHOPであった。
 その理由は狐の面をつけるキャラクター竈門炭治郎のグッズが置いてあり、紙を持った人間が居るかもしれないと考えたからだ。
 燐は店の品物を物色しながら怪しい人物が居ないか、捜索する。
 一方の絢巡査長は、狐の面をつけた人物を探し回っていた。
 お面とは限らないので狐に関するグッズを付けた人間は居ないのか眼力を駆使し、人間観察をしながら探索する。
 残り時間、15分に差し迫った時、長四郎からメッセージが燐と絢巡査長のスマホに届いた。
 燐、絢巡査長の両名は長四郎が指定した集合場所の仮面ライダーSTOREへと急行した。
「どこに居たの?」燐は来た側から長四郎にどの人物か尋ねる。
「あそこ」
 長四郎が指差した方向を見ると、仮面ライダーギーツマグナムブーストフォームの立像を指していた。
「はぁ?」燐は思いっきし、長四郎を睨みつける。
「何、そのふざけてる場合じゃないだろって言うような顔は?」
「分かっているなら、ちゃんと探しなさいよ!」長四郎を窘めながら、耳を引っ張り上げる。
「ラモちゃん、痛い。痛い」
 そんな二人の光景を見た周囲の人間は、バカップルだと思うのだった。
「取り敢えず、人の話を聞いて頂けないでしょうか?」
「聞く耳もたんっ!!」
 燐はより力を込めて引っ張りながらその場から離そうとする。
「痛たたたたたたたた」
「ラモちゃん、長さんの話を聞こう。時間もないし」
 遅れてやって来た絢巡査長にそう言われた燐は引っ張り上げる手を離し、長四郎の推理に耳を傾ける。
「あそこに立っている仮面ライダーは狐の面だろ」
「あ、ホントだ」燐はそこで狐顔であることに気づく。
「そんで、店の中で商品を見ながら立ち止まっている男が居るだろう?」
「そうですね」絢巡査長がそう返事をしながら、長四郎の言う男性を見る。
「あいつ、彼是5分近く同じ場所に立っている」
「どうして、声かけないのよ」
「だって、ラモちゃんみたいに強くないもん。あいつがナイフとか持ってたら太刀打ちできないもぉーん」
「はいはい」
 燐は素っ気ない返事をすると長四郎の首根っこを掴み、店内に突入するのだった。
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