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第弐拾肆話-議員

議員-7

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 東京へと戻ってきた長四郎は、警視庁へと向かった。
「只今、戻りました」
 そう言いながら、十一の奈良漬けが入った紙袋を机の置く。
「おお、お疲れさん」
 長四郎の労いの言葉をかける一川警部。
「あれ、絢ちゃんは?」
「帰ったばい」
「一川さん、一人残業とは大変ですね」
「長さんの方が大変やったろう。奈良からの日帰りなんて」
「まぁ。でも、収穫はありましたよ」
「電話で言っとったけんね」
「はい。一連の事件の被害者達は地元の選挙区で何か不正をしていた可能性がある。それが理由で襲われたって事ですかねぇ~」
「ほぉ~ 政治犯ちゅう事か。取り敢えず、襲われた被害者達の選挙区にある県警に問い合わせしてみるけん」
「お願いします」
「あ、ネットニュースで見ましたけど、西さん、襲われたらしいっすね」
「そうばい。ラモちゃん、肝心な時に居ない言うて怒ってたばい」
「マジか。後が怖いなぁ~」長四郎は渋い顔をする。
「長さん。今日、捕まえた暴漢は今回の事件の犯人だと思う?」
「いいや、そうは思いませんね。もしかしたら、真犯人が雇った可能性もありますしね」
「真犯人が、そこまでして何がしたいんやろうか?」
「さぁ、そこまでは。真犯人に聞いてみない事には分かりません」
「だよねー」頭をペチペチと叩きながら答える一川警部は、キーボードを叩く。
「さっきから、何、調べているんですか?」
「今日、捕まえた男の免許証データを見とうと」
「ちょっと、良いですか?」
 パソコンの画面を見ると、男の身元が映されていた。
「なんか、特徴のない男ですね」
 モニターに映る男の顔を見ながら、長四郎はそう告げた。
「まぁ、そうやね。本人の供述によると、ただの会社員らしいけん」
「会社員ですか。ああ、この人がどこかの議員に繋がっているか、調べてくれませんか?」
「成程、目障りな西議員を抹殺しようとする議員の差し金って事かな?」
「う~ん、どうでしょうね。それより、これ言おうと思って来たことを忘れてました。実はですね。あ、失敬」
 一川警部のパソコンを操作し始める長四郎。
「実は事件発生の現場何ですが・・・・・・」
 地図アプリを使い最初に発生した事件現場に焦点を合わせる。
「最初の事件発生場所は、東京タワー近くの芝公園。その次の場所は、東京体育館近くの住宅街。そして、三件目は日比谷公園。この三点を線で結ぶと形は変ですけど。逆三角形になります」
「って事は、一連の事件には意味があるってこと?」
「その可能性は大いにあります。そんでもって、この三角形とは真逆の三角形を作ると、ほらっ、六芒星の完成」
「もしかして、犯人の狙いはこの六芒星の完成。それが目的の犯行?」
「どうでしょうか。何となく秩序型っぽいなって思っただけですから。じゃ、お疲れ様です」
 長四郎は一川警部にそう告げて、事務所兼自宅へと帰宅した。
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