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第71章
プロ編入試験第5局(最終局)
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ソウハルのプロ編入試験の最終局の対戦相手は田徳四段だった。田徳四段は居飛車の本格派でA級棋士の瀬永棋士にも勝っている実力者である。
どんな作戦でいくかソウハルは迷っていたが、先手番なら角換わり、後手番なら力将棋で戦うつもりだった。
ソウハルは当日、家族から一人一人の応援メッセージが書かれている手紙とミキと美妃が作った特製弁当を持って出かけた。手紙にはこんな風に書かれていた。
ミキ「ソウハルさんが私と結婚する前から夢だったプロ棋士まであと一歩です。私はソウハルさんなら絶対にプロ棋士になれると信じています」
美晴「お父さんの夢はプロ棋士になることで、僕はずっと小さい頃から応援してきました。きっとお父さんならプロ棋士になれます」
美妃「お父さん、私はよく将棋わからないけど絶対に勝ってね。対局中はお父さん頑張れって声援を送ってるからね」
家族一同
ソウハルは家族からの手紙を読み、今日は絶対に悔いの残らない対局をしようと思った。かなり早めに会場に着いたソウハルはマックスプラスを一気に飲むと目を閉じ、精神統一の儀式に入った。「今日は絶対に勝つ、絶対に勝つ、絶対に勝つ」と勝つことだけをイメージしていると、田徳四段が対局室に入ってきた。
ソウハルと田徳四段が一礼をすると対局が始まった。振り駒の結果、ソウハルの先手に決まった。ソウハルは大きく深呼吸をして先手2六歩と指した。後手8四歩、先手2五歩、後手8五歩、先手7六歩予定通りに角換わりの将棋に誘導した。
30手目まで進んだが全くの同型でありAIの形勢判断も全くの互角であった。その後も両対局者が間合いを計るかのような指し手が続いたが、田徳四段が6五歩と仕掛けた。
田徳四段が6六歩と取りこんだ手に対しソウハルも6九飛車とまわって対抗した。次に田徳四段は3五歩と桂頭を仕掛けた。ここまでの形勢判断はほぼ互角だった。
その後、ソウハルの玉頭を田徳四段が攻める進行の将棋が続き、AIの形勢判断もやや田徳四段が優勢の進行で進んだが、終盤ソウハルが指した7七桂打に対して7六銀、6七金、6六歩打の進行が続き、この数手でソウハルの方に形勢が傾いていった。
最終盤の局面でソウハルが7三歩成と指した手に対し、田徳四段は5二王と逃げたが、5一王が最善だった。ソウハルの8五角打からはソウハルが優勢になり6七飛車と銀を取って5一銀打と王手をすると「負けました」と田徳四段は頭を下げた。
ソウハルは田徳四段の投了の瞬間、「やった」と心の中で叫び、とうとう念願のプロ棋士になった。プロ棋士といっても奨励会からプロ棋士になれば順位戦に参加できるが(次点はフリークラスから)、プロ編入試験合格者はフリークラスからの参加である。フリークラスに10年間在籍して順位戦に参加できなければ引退になるので、プロになったからといって順位戦に参加できなければ収入的な面でも大変ではあるが、プロになれば指導料金も今よりは大きく上がるし、何よりも前世の時にはなりたくてもなれなかったプロ棋士になれたのである。
感想戦を終えたソウハルはすぐにミキに連絡を入れるとミキも大いに喜んだ。
ソウハル「夢だった念願のプロ棋士になれたよ」
ミキ「よく頑張ったわね。おめでとう」
ソウハル「ミキや美晴や美妃のおかげでプロ棋士になれたと思っているよ」
ミキ「あなたが夢を持ち続けて諦めずに頑張ったからよ」
ソウハル「それじゃ、家に帰るよ」
ソウハルは急いで家に帰った。家ではたくさんの料理がテーブルに並べられていた。からあげ、焼鳥、ポテト、ピザ、寿司、サラダ、パスタ、ケーキなどソウハルの大好物ばかりだった。
ソウハル「みんなありがとう」
ミキ「あなたから連絡を受けた後、みんなで用意したのよ」
美晴「お父さん、おめでとう」
美妃「お父さん、おめでとう」
ソウハルは家族揃って食べる料理は最高に美味しかった。「やっと。念願のプロ棋士になれたんだ」と思うと、将棋を続けてきて本当に良かった。
ソウハル「ミキ、美晴、美妃、本当にありがとう。3人が支えてくれたから僕はプロ棋士になれたんだよ」(続)
どんな作戦でいくかソウハルは迷っていたが、先手番なら角換わり、後手番なら力将棋で戦うつもりだった。
ソウハルは当日、家族から一人一人の応援メッセージが書かれている手紙とミキと美妃が作った特製弁当を持って出かけた。手紙にはこんな風に書かれていた。
ミキ「ソウハルさんが私と結婚する前から夢だったプロ棋士まであと一歩です。私はソウハルさんなら絶対にプロ棋士になれると信じています」
美晴「お父さんの夢はプロ棋士になることで、僕はずっと小さい頃から応援してきました。きっとお父さんならプロ棋士になれます」
美妃「お父さん、私はよく将棋わからないけど絶対に勝ってね。対局中はお父さん頑張れって声援を送ってるからね」
家族一同
ソウハルは家族からの手紙を読み、今日は絶対に悔いの残らない対局をしようと思った。かなり早めに会場に着いたソウハルはマックスプラスを一気に飲むと目を閉じ、精神統一の儀式に入った。「今日は絶対に勝つ、絶対に勝つ、絶対に勝つ」と勝つことだけをイメージしていると、田徳四段が対局室に入ってきた。
ソウハルと田徳四段が一礼をすると対局が始まった。振り駒の結果、ソウハルの先手に決まった。ソウハルは大きく深呼吸をして先手2六歩と指した。後手8四歩、先手2五歩、後手8五歩、先手7六歩予定通りに角換わりの将棋に誘導した。
30手目まで進んだが全くの同型でありAIの形勢判断も全くの互角であった。その後も両対局者が間合いを計るかのような指し手が続いたが、田徳四段が6五歩と仕掛けた。
田徳四段が6六歩と取りこんだ手に対しソウハルも6九飛車とまわって対抗した。次に田徳四段は3五歩と桂頭を仕掛けた。ここまでの形勢判断はほぼ互角だった。
その後、ソウハルの玉頭を田徳四段が攻める進行の将棋が続き、AIの形勢判断もやや田徳四段が優勢の進行で進んだが、終盤ソウハルが指した7七桂打に対して7六銀、6七金、6六歩打の進行が続き、この数手でソウハルの方に形勢が傾いていった。
最終盤の局面でソウハルが7三歩成と指した手に対し、田徳四段は5二王と逃げたが、5一王が最善だった。ソウハルの8五角打からはソウハルが優勢になり6七飛車と銀を取って5一銀打と王手をすると「負けました」と田徳四段は頭を下げた。
ソウハルは田徳四段の投了の瞬間、「やった」と心の中で叫び、とうとう念願のプロ棋士になった。プロ棋士といっても奨励会からプロ棋士になれば順位戦に参加できるが(次点はフリークラスから)、プロ編入試験合格者はフリークラスからの参加である。フリークラスに10年間在籍して順位戦に参加できなければ引退になるので、プロになったからといって順位戦に参加できなければ収入的な面でも大変ではあるが、プロになれば指導料金も今よりは大きく上がるし、何よりも前世の時にはなりたくてもなれなかったプロ棋士になれたのである。
感想戦を終えたソウハルはすぐにミキに連絡を入れるとミキも大いに喜んだ。
ソウハル「夢だった念願のプロ棋士になれたよ」
ミキ「よく頑張ったわね。おめでとう」
ソウハル「ミキや美晴や美妃のおかげでプロ棋士になれたと思っているよ」
ミキ「あなたが夢を持ち続けて諦めずに頑張ったからよ」
ソウハル「それじゃ、家に帰るよ」
ソウハルは急いで家に帰った。家ではたくさんの料理がテーブルに並べられていた。からあげ、焼鳥、ポテト、ピザ、寿司、サラダ、パスタ、ケーキなどソウハルの大好物ばかりだった。
ソウハル「みんなありがとう」
ミキ「あなたから連絡を受けた後、みんなで用意したのよ」
美晴「お父さん、おめでとう」
美妃「お父さん、おめでとう」
ソウハルは家族揃って食べる料理は最高に美味しかった。「やっと。念願のプロ棋士になれたんだ」と思うと、将棋を続けてきて本当に良かった。
ソウハル「ミキ、美晴、美妃、本当にありがとう。3人が支えてくれたから僕はプロ棋士になれたんだよ」(続)
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