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約束のワイン
クライヴの事業
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「アクイラ国皇子は、こちらにご滞在なのでしょうか。」
食堂に向かう道中でリラは何気なくクライヴに質問した。
「クライヴ。そう呼んでもらえないだろうか。」
一瞬戸惑ったものの、ルーカスも既に『クライヴ』と名前で呼んでいるのだ。
クライヴは今、曲がりなりにも取引先であり、自分の言動ひとつで機嫌を損ね、商談を破談にするわけにもいかなかった。
「ク、クライヴ様は…こちらにご滞在なのでしょうか…。」
リラは恥じらいながら、『クライヴ』と名前を呼びつつ同じ質問を繰り返した。
異性を名前で呼ぶことは始めてではない。
現に、学友のロイド、レナルド加えてクライヴの側近のデイビッドは名前で呼んでいた。
それなのに、なぜだろう。
名前を口にしただけで、どうにも熱い気持ちが込み上げてきた。
「そうだな。今回はここに滞在している。ここは元々、先先代のアベリア国皇が、国賓が長期滞在をする際に利用することを目的に作られた屋敷らしい。あまり、使用したことがないが、始めてではないな。」
クライヴは名前を呼ばれて満足げのようだった。
「式典などの数日の滞在であれば本殿の客室に滞在することもあるが、今回は数週間の滞在だから、自分の使用人も何人か連れてきたくて、こちらを選んだんだ。」
「そうなんですね…。知りませんでしたわ。」
リラは妙に納得した。
少し考えればわかるが、国賓はやはり皇城に滞在するのは当然のことだ。
それにしても、そのための建物があることには驚かせるばかりだった。
曲がりなりにも自分は一貴族であるが、皇族の前ではその比ではないと改めて痛感した。
「ふふ。すぐ詳しくなることになる。」
クライヴはそんな無防備なリラの耳元で甘く囁いた。
一気に耳が真っ紅になり、こそばゆくて肩をすくめた。
恥じらいながらリラはクライヴを睨むとも、クライヴは愉しそうにするばかりだった。
クライヴの前では常に気を張っていないと直ぐに絆されてしまう。
食堂に着くと、リラはクライヴの正面の席に案内された。
リラは少し戸惑った。
本来、クライヴの商談相手はルーカスである。
それなら、ルーカスが正面に座るのが適切なのだろう。
それをわざわざ、何故、自分が正面に座る必要があるのかということだ。
けれど、そんなことを突っ込んでも今更だろうと思い心に留めた。
正面に座るクライヴは、容赦無く熱い眼差しをリラに注いだ。
リラはクライヴのその美しさに恥ずかしくなり視線を逸らした。
やはり最初から正面の席は断るべきだったろうか。
これでは、食事どころではないのは確実だ。
一令嬢としてテーブルマナーは学んでいるが、どうもクライヴの所作が美し過ぎて自信が持てない。
加えて目の前にクライヴがいると見惚れてしまう悪癖が勃発してしまう。
皆が着席すると食前酒が注がれ、四人はクライヴの音頭で乾杯を行った。
クライヴは食前酒であるスパークリングワインについての産地などの説明をしているが、まるで頭に入ってこなかった。
元々ワインに興味がないのもあるが、やはりクライヴの正面に座っているせいだろう。
グラスを持つ指先、少し濡れた唇に、嚥下さえ美しく感じてしまい見惚れてしまう。
「リラ、少々クライヴ様を見過ぎではないか。」
「も、申し訳ございません…。」
ルーカスは、そんなリラに気付き思わず注意した。
リラはルーカスの言葉に我に返り急いで謝るも、クライヴは上機嫌に微笑んでいた。
料理が運ばれてくると、クライヴとルーカスは今回の目的である羊皮の商談を始めた。
何やらクライヴ直属の近衛兵のコートに羊皮を起用するらしい。
近衛兵は数人程度で大量注文ではないが、好評であれば皇宮騎士団全員のコートに起用することも検討するとのことだ。
そうなれば、大量注文に加えて、かなり良い宣伝となること間違いなしだ。
アクイラ国皇子直属の近衛兵のコートというだけでも上等の謳い文句なのに、皇宮騎士ともなれば、多くの人の目につくだろう。
国内外の貴族はもちろん、もしかしたら近隣国から同様の大量注文が入るかもしれない。
リラの中の商売人の血が騒ぎ目を輝かせた。
しかし、肝心の納品時期や納入先などはクライヴはわからないとのことで、追ってデイビッド経由で書類が届くこととなり、この話はメインディッシュを待たずして終わりを迎えた。
その後の会話の料理に合わせたワインについての品評が多く、ワインに詳しくもなければ、あまり興味のないリラには何を話しているのか点でわからないことが多かった。
(果たして本当に自分は必要だったのだろうか。)
リラの脳裏にそんな言葉が浮かんだ。
時折、クライヴはリラにワインの味の感想を求めたが、リラからすると美味しいか好みじゃないかの二択しか選択肢はなく、あまり貧困なボキャブラリーに自分でも驚くほどだった。
かたや、ルーカスは無類のワイン好きのためクライヴと大いに話が盛り上がっていた。
もはや、この晩餐はただのワインの品評会だろう。
リラは三人の楽しそうな会話をただ眺めながら、空気を悪くしないようににこやかに頷いていることしかできなかった。
ルーカスが馬車で話した通り、文字通りただの『華』としか役目を果たしていなかった。
それからデザートが運ばれてくると、クライヴはリラに視線を移した。
「今日は俺のお勧めのワインを用意したんだが、どうだっただろうか。」
「どれもとても飲みやすいワインだと思いました。」
これはリラの正直な感想だ。
普段、あまりワインを好んで飲まないリラでも、今日飲んだワインは全てすんなり飲むことができた。
「リラがそう言ってくれるなら、安心だ。デイビッドもう少し多めに注文しようと思うがどうだろうか。」
(なんのことだろう…。)
リラの疑問が、顔に出ているのだろうか、クライヴはふわりと笑った。
「ルーカス、何も話してないのか。」
「あー…。クライヴ様から直々にお伝えした方がよろしいと思いまして。」
ルーカスはワインを味わいながら、クライヴに答えた。
リラはルーカスの行動があまりに端なく思えた。
いくら気の知れた仲とはいえ、一国の皇子の質問に食事を取りながら答えるとはあまりに行儀が悪かった。
(そこらへんの居酒屋で町役場のおっちゃんとだべっているんじゃないんだから、もう少し行儀良くしていただけませんかねー。)
リラはにこりと微笑みながら、頬をうっすら引き攣らせた。
けれど、クライヴはルーカスの様子を何ひとつ気にした様子もなく話し始めた。
「そうか。それなら、最初から説明すると。個人的にワインの輸入事業を行っていて、今日用意したワインはすべてアベリア国産の品評会ではまだ賞も取れていない、というか出してもいない無名のワインだ。これらの買い付けの有無を相談したかったんだ。ターゲットは、あまりワインに慣れていない若い女性向けかな。飲み慣れないものが、いきなり玄人よりのワインを飲んでも味が慣れずに、より苦手意識が植え付けられてしまうだろう。そうならないように、少し軽くて甘めなものを探していたんだ。そういうわけで、リラも満足してくれたようだし、問題ないだろう。」
(なるほど…。)
リラは今日の晩餐に呼ばれた意図をようやく理解した。
ルーカスは無類のワイン好き、何を飲んでも、そこそこ美味しいか、美味しいか、かなり美味しいかの三択で、何の参考にもならないだろう。
けれど、リラは今回のターゲット層に当てはまり美味しいと言えば幾分参考になるのだろう。
「それで、この事業を進めるにあたって、運送料が少し割増させられて困っているんだ。そこで、ルーカスにアベリア国内の情勢と運輸ルートに詳しいものを紹介してほしいとお願いしたんだ。というわけで、リラ、明日から、しばらく仕事を手伝ってもらえないかな。」
クライヴはテーブルに肘をつき手を組んで嬉しそうにリラを見つめた。
「え?」
一瞬間を置いてリラは思わずルーカスに怪訝な表情を向けた。
(なんで、初めから相談してくれなかったのですか!?)
ルーカスはリラの表情に不服そうな表情を浮かべ頬杖をついた。
「なんだ。学園もあと数ヶ月で卒業で、学級委員の仕事もないし、暇だから仕事がほしいと休暇中言っていたではないか。」
確かに冬季休暇でカントリーハウスに帰った際にルーカスとそんな会話をしたことを覚えていた。
実際、卒業まで日数はあるものの、冬季休暇明けの三年生は春からの社交デビューや花嫁修行などもあり通常より休みも多く、何なら卒業式まで来なくて問題ないくらいだった。
「そ、それは、そうですが…。」
「では、決まりだな。」
「よろしく頼むよ、リラ。」
なぜかリラ以外の三人はとても上機嫌にニヤニヤしながらリラを見つめていた。
(はめられてます?)
リラはそんな思いが沸々と湧くも決して言葉にすることはなかった。
食堂に向かう道中でリラは何気なくクライヴに質問した。
「クライヴ。そう呼んでもらえないだろうか。」
一瞬戸惑ったものの、ルーカスも既に『クライヴ』と名前で呼んでいるのだ。
クライヴは今、曲がりなりにも取引先であり、自分の言動ひとつで機嫌を損ね、商談を破談にするわけにもいかなかった。
「ク、クライヴ様は…こちらにご滞在なのでしょうか…。」
リラは恥じらいながら、『クライヴ』と名前を呼びつつ同じ質問を繰り返した。
異性を名前で呼ぶことは始めてではない。
現に、学友のロイド、レナルド加えてクライヴの側近のデイビッドは名前で呼んでいた。
それなのに、なぜだろう。
名前を口にしただけで、どうにも熱い気持ちが込み上げてきた。
「そうだな。今回はここに滞在している。ここは元々、先先代のアベリア国皇が、国賓が長期滞在をする際に利用することを目的に作られた屋敷らしい。あまり、使用したことがないが、始めてではないな。」
クライヴは名前を呼ばれて満足げのようだった。
「式典などの数日の滞在であれば本殿の客室に滞在することもあるが、今回は数週間の滞在だから、自分の使用人も何人か連れてきたくて、こちらを選んだんだ。」
「そうなんですね…。知りませんでしたわ。」
リラは妙に納得した。
少し考えればわかるが、国賓はやはり皇城に滞在するのは当然のことだ。
それにしても、そのための建物があることには驚かせるばかりだった。
曲がりなりにも自分は一貴族であるが、皇族の前ではその比ではないと改めて痛感した。
「ふふ。すぐ詳しくなることになる。」
クライヴはそんな無防備なリラの耳元で甘く囁いた。
一気に耳が真っ紅になり、こそばゆくて肩をすくめた。
恥じらいながらリラはクライヴを睨むとも、クライヴは愉しそうにするばかりだった。
クライヴの前では常に気を張っていないと直ぐに絆されてしまう。
食堂に着くと、リラはクライヴの正面の席に案内された。
リラは少し戸惑った。
本来、クライヴの商談相手はルーカスである。
それなら、ルーカスが正面に座るのが適切なのだろう。
それをわざわざ、何故、自分が正面に座る必要があるのかということだ。
けれど、そんなことを突っ込んでも今更だろうと思い心に留めた。
正面に座るクライヴは、容赦無く熱い眼差しをリラに注いだ。
リラはクライヴのその美しさに恥ずかしくなり視線を逸らした。
やはり最初から正面の席は断るべきだったろうか。
これでは、食事どころではないのは確実だ。
一令嬢としてテーブルマナーは学んでいるが、どうもクライヴの所作が美し過ぎて自信が持てない。
加えて目の前にクライヴがいると見惚れてしまう悪癖が勃発してしまう。
皆が着席すると食前酒が注がれ、四人はクライヴの音頭で乾杯を行った。
クライヴは食前酒であるスパークリングワインについての産地などの説明をしているが、まるで頭に入ってこなかった。
元々ワインに興味がないのもあるが、やはりクライヴの正面に座っているせいだろう。
グラスを持つ指先、少し濡れた唇に、嚥下さえ美しく感じてしまい見惚れてしまう。
「リラ、少々クライヴ様を見過ぎではないか。」
「も、申し訳ございません…。」
ルーカスは、そんなリラに気付き思わず注意した。
リラはルーカスの言葉に我に返り急いで謝るも、クライヴは上機嫌に微笑んでいた。
料理が運ばれてくると、クライヴとルーカスは今回の目的である羊皮の商談を始めた。
何やらクライヴ直属の近衛兵のコートに羊皮を起用するらしい。
近衛兵は数人程度で大量注文ではないが、好評であれば皇宮騎士団全員のコートに起用することも検討するとのことだ。
そうなれば、大量注文に加えて、かなり良い宣伝となること間違いなしだ。
アクイラ国皇子直属の近衛兵のコートというだけでも上等の謳い文句なのに、皇宮騎士ともなれば、多くの人の目につくだろう。
国内外の貴族はもちろん、もしかしたら近隣国から同様の大量注文が入るかもしれない。
リラの中の商売人の血が騒ぎ目を輝かせた。
しかし、肝心の納品時期や納入先などはクライヴはわからないとのことで、追ってデイビッド経由で書類が届くこととなり、この話はメインディッシュを待たずして終わりを迎えた。
その後の会話の料理に合わせたワインについての品評が多く、ワインに詳しくもなければ、あまり興味のないリラには何を話しているのか点でわからないことが多かった。
(果たして本当に自分は必要だったのだろうか。)
リラの脳裏にそんな言葉が浮かんだ。
時折、クライヴはリラにワインの味の感想を求めたが、リラからすると美味しいか好みじゃないかの二択しか選択肢はなく、あまり貧困なボキャブラリーに自分でも驚くほどだった。
かたや、ルーカスは無類のワイン好きのためクライヴと大いに話が盛り上がっていた。
もはや、この晩餐はただのワインの品評会だろう。
リラは三人の楽しそうな会話をただ眺めながら、空気を悪くしないようににこやかに頷いていることしかできなかった。
ルーカスが馬車で話した通り、文字通りただの『華』としか役目を果たしていなかった。
それからデザートが運ばれてくると、クライヴはリラに視線を移した。
「今日は俺のお勧めのワインを用意したんだが、どうだっただろうか。」
「どれもとても飲みやすいワインだと思いました。」
これはリラの正直な感想だ。
普段、あまりワインを好んで飲まないリラでも、今日飲んだワインは全てすんなり飲むことができた。
「リラがそう言ってくれるなら、安心だ。デイビッドもう少し多めに注文しようと思うがどうだろうか。」
(なんのことだろう…。)
リラの疑問が、顔に出ているのだろうか、クライヴはふわりと笑った。
「ルーカス、何も話してないのか。」
「あー…。クライヴ様から直々にお伝えした方がよろしいと思いまして。」
ルーカスはワインを味わいながら、クライヴに答えた。
リラはルーカスの行動があまりに端なく思えた。
いくら気の知れた仲とはいえ、一国の皇子の質問に食事を取りながら答えるとはあまりに行儀が悪かった。
(そこらへんの居酒屋で町役場のおっちゃんとだべっているんじゃないんだから、もう少し行儀良くしていただけませんかねー。)
リラはにこりと微笑みながら、頬をうっすら引き攣らせた。
けれど、クライヴはルーカスの様子を何ひとつ気にした様子もなく話し始めた。
「そうか。それなら、最初から説明すると。個人的にワインの輸入事業を行っていて、今日用意したワインはすべてアベリア国産の品評会ではまだ賞も取れていない、というか出してもいない無名のワインだ。これらの買い付けの有無を相談したかったんだ。ターゲットは、あまりワインに慣れていない若い女性向けかな。飲み慣れないものが、いきなり玄人よりのワインを飲んでも味が慣れずに、より苦手意識が植え付けられてしまうだろう。そうならないように、少し軽くて甘めなものを探していたんだ。そういうわけで、リラも満足してくれたようだし、問題ないだろう。」
(なるほど…。)
リラは今日の晩餐に呼ばれた意図をようやく理解した。
ルーカスは無類のワイン好き、何を飲んでも、そこそこ美味しいか、美味しいか、かなり美味しいかの三択で、何の参考にもならないだろう。
けれど、リラは今回のターゲット層に当てはまり美味しいと言えば幾分参考になるのだろう。
「それで、この事業を進めるにあたって、運送料が少し割増させられて困っているんだ。そこで、ルーカスにアベリア国内の情勢と運輸ルートに詳しいものを紹介してほしいとお願いしたんだ。というわけで、リラ、明日から、しばらく仕事を手伝ってもらえないかな。」
クライヴはテーブルに肘をつき手を組んで嬉しそうにリラを見つめた。
「え?」
一瞬間を置いてリラは思わずルーカスに怪訝な表情を向けた。
(なんで、初めから相談してくれなかったのですか!?)
ルーカスはリラの表情に不服そうな表情を浮かべ頬杖をついた。
「なんだ。学園もあと数ヶ月で卒業で、学級委員の仕事もないし、暇だから仕事がほしいと休暇中言っていたではないか。」
確かに冬季休暇でカントリーハウスに帰った際にルーカスとそんな会話をしたことを覚えていた。
実際、卒業まで日数はあるものの、冬季休暇明けの三年生は春からの社交デビューや花嫁修行などもあり通常より休みも多く、何なら卒業式まで来なくて問題ないくらいだった。
「そ、それは、そうですが…。」
「では、決まりだな。」
「よろしく頼むよ、リラ。」
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