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執務室のふたり
ロイドの羨望
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「ちなみに、どうだっかお伺いしても良いだろうか。」
俯き項垂れるロイドを他所にレナルドは拳を力一杯握りしめながら尋ねた。
リラの表情を見るに、以前より増してクライヴに傾倒しているようだった。
一体この二日間でクライヴと何があったのだろうか。
もうロイドがリラに付け入る隙は僅かでもないのだろうか。
レナルドは祈るような思いだった。
その言葉にリラはドキリとし、目を泳がせた。
思い出されるのは、ふたりきりでダンスをしたこと、恋人になったこと、口付けをしたことだった。
そんな恥ずかしいことをとても自分の口からふたりに伝えることはできなかった。
リラは、思い出すだけで蕩けそうな頭をフル回転させて、なんとか誤魔化す方法はないかと模索しいた。
ロイドは目の前のリラがあからさまに動揺した様子を直視することなどできなかった。
普段のリラは気丈で、どんなときでも冷静沈着であり、時折見せるあどけない笑顔がロイドの心を鷲掴みにしていた。
それが、今はか弱い乙女のように終始頬を紅らめているのだ。
そんな初めて見るリラにロイドは冷や汗をかかずにはいられなかった。
「えっと。クライヴ様の事業については、ちょっと…。」
「いや、そうではなく、申立てについてです。」
レナルドは、間髪入れずにリラに突っ込みをいれた。
リラは一瞬にして自分の勘違いに気づき、乾笑いした。
((一体何があったのだ!?))
ふたりは困惑の表情を浮かべた。
「え、えっと。申立てについては、以前おふたりに話したことをお伝えしました。」
「「…。」」
リラは軽く咳払いをして、気持ちを整えるとふたりにそう告げた。
ふたりは、その続きを聞こうと暫く何も話さなかったが、リラから言葉は放たれなかった。
「あの…。リラ嬢。それだけでしょうか…。」
レナルドは思わず尋ねるも、リラは意味がわからないのか、きょとんっとしていた。
「はい。それだけです。」
「その…。アクイラ国皇子はその申し出に対するお返事はどのようなものだったか、お聞きしてもよろしいでしょうか…。」
「…。あ!!」
レナルドが、そうリラに尋ねるとリラが少し考え込み、重大なことに気づき声を発し蒼ざめた。
それは、クライヴから何も返事も受けていない事実に気づいたのだった。
ただ、『恋人』になることを提案されただけだった。
意表を突かれたその提案にリラは返答を聞くことを今の今まですっかり忘れていたのだ。
「す、すいません…。」
リラは思わずふたりに謝った。
(これでは、せっかく相談させていただいたのに、おふたりへの報告が不十分ですわ。)
リラは不甲斐ない自分が恥ずかしかった。
ふたりは、何がなんだかわからないがリラの表情から察するに、やはり『婚約』したのではないかという疑念が確信に変わっていくのを感じ、ロイドの心臓は壊れんばかりに早鐘を打った。
(身がもたん。)
今にも、そんな弱音を吐露し、泡を吹いて倒れそうな中、ロイドは必死でその場に静止していた。
(耐えろ!)
レナルドは横目に明らかに具合の悪そうなロイドが目に入り、思わず心の中でそう叫んだ。
そんなハラハラしたふたりの気持ちを全く知らないリラは、ようやく重たい口を開いた。
「実は、クライヴ様からお返事を聞くのを忘れてました。」
(もう、ダメだ…。そうか、婚約してしまったのか…。)
緊張の限界のロイドは、リラの言葉が発するや否やソファに崩れ落ち、先ほどリラが発した言葉が脳裏を木霊した。
「ロイド様…!!」
一方のレナルドは崩れいくロイドを慌てて支えながら、リラの発した言葉を理解するべくその言葉を脳内で反芻した。
「「へ?」」
ふたりはリラの言葉の意味がわからず、思わず間の抜けた声を発した。
「それはどういう…。」
一拍置いて、レナルドは言葉の意味を正確に確かめようと、思わず前のめりになりながらリラに尋ねた。
(婚約の申し立ての返答を行わない、そんなことあるのだろうか。)
婚約の申し込みがあり申立てがあったのだ。
どんな貴族であろうと、その内容に受理もしくは棄却あるいは保留など何らかの返答はあって当然だ。
「そ、そうですね。そのお伝えして終わりました。その後も色々忙しかったので。」
リラは俯き耳まで真っ紅になりながら言葉を濁した。
まさか、その後クライヴから『恋人』になることを提案され、口付けをしたことなど言えるはずもなかった。
「つまり、まだ婚約していないのでしょうか。」
念押しでレナルドが確認するとリラは静かに頷いた。
「はい。お恥ずかしながら私に決心がつかず承諾はしておりません。」
その言葉にロイドはむくりっと起き上がり、先ほどまでの痴態が何事もなかったかのうに姿勢を正した。
「口約束もしていないのか」
ロイドは思わず聞き返した。
「は、はい…。」
リラのその言葉に、ふたりは少しばかり表情が綻んだ。
一筋の光が差し込んだように思えた。
リラとクライヴがまだ婚約していないなら、なんとかして、こちらが先に成立させてしまえばいいのだ。
まず、ロイドの父である国皇と母である皇后にこのことを話して、早急に婚約証書を作成する。
それからアリエス伯爵家に向かいリラの父であるアリエス伯爵に挨拶し、サインを求める。
しかし、たったそれだけなら、なぜクライヴは、こんなにも苦戦しているのだろうか。
レナルドに疑問が過った。
クライヴはリラの兄であるルーカスと既に知り合い、おそらく父のアリエス伯爵とも多少の面識はあるのだろう。
それなのに、リラ本人の承諾に拘っていることが気になった。
その日の授業終わり。
帰り支度を整えるリラの席にロイドは近づいた。
「リラ、今から帰るのか。もし良かったら正門まで一緒に行かないか。」
リラはにっこり笑って頷いた。
リラは未だ婚約していない、ロイドが行動を起こすなら今が最後の機会だろう。
ロイドにリラを口説く具体的な案が浮かぶわけでもないが、何かせずにはいられなかった。
正門まではふたりは他愛無い話をした。
クライヴのことを話題にしなければ、いつものリラだった。
リラの優しい横顔を見つめながらロイドは胸の奥が苦しくなった。
リラのクライヴの前だけ見せるか弱い乙女のような表情が思い出された。
今のリラが決して偽物なわけではないが、明らかにロイドとクライヴの差を感じてしまう。
(私の力でどうすればこの表情を崩せるのだろう…。)
ロイドは、そんなことばかりを考えてしまっていた。
正門の近くまでくると、そこには見覚えのある黒塗りの四等立ての馬車が待機していた。
リラはその馬車が目に入ると少し頬を綻ばせているのをロイドは感じた。
ふたりが馬車までほんの数メートルのところで、ガチャリと扉は開き、クライヴが静かに降りてきた。
リラは一瞬にして頬を紅く染め、顔を綻ばせた。
「リラ、迎えにきたよ。」
クライヴは、当たり前のようにリラの手を取りいつも通りに口付けをした。
「クライヴ様。わざわざ、お迎えに上がらなくても、こちらからお伺いするとあれほど申し上げたではございませんか。」
リラは、あどけなくも少し不貞腐れたような表情を浮かべた。
ロイドは、その場から動くこともできず、呆然と見つめることしかできなかった。
こんなにも仲睦まじいふたり、これを今から自分の手で壊すことなどできるのか。
ロイドの胸は締め付けられて痛いほどだった。
「恋人に早く逢いたくて。」
そう呟くとクライヴはリラの頬に手を当て、ゆっくりリラに顔が近づいた。
「人前では、ちょっと…。」
リラは慌ててクライヴを押し退けた。
「こ、『恋人』…。」
ロイドは思わず口にした。
皇族であるロイドにも、もちろん無縁の言葉だが、その響きはやけに羨ましく思えた。
ふたりは、未だ婚約者ではないものの、関係が明確に進展していることを意味していた。
それに『恋人』とは、ふたりが想い合っている関係を意味している。
ロイドは婚約よりも余程、甘美なものを感じずにはいられなかった。
俯き項垂れるロイドを他所にレナルドは拳を力一杯握りしめながら尋ねた。
リラの表情を見るに、以前より増してクライヴに傾倒しているようだった。
一体この二日間でクライヴと何があったのだろうか。
もうロイドがリラに付け入る隙は僅かでもないのだろうか。
レナルドは祈るような思いだった。
その言葉にリラはドキリとし、目を泳がせた。
思い出されるのは、ふたりきりでダンスをしたこと、恋人になったこと、口付けをしたことだった。
そんな恥ずかしいことをとても自分の口からふたりに伝えることはできなかった。
リラは、思い出すだけで蕩けそうな頭をフル回転させて、なんとか誤魔化す方法はないかと模索しいた。
ロイドは目の前のリラがあからさまに動揺した様子を直視することなどできなかった。
普段のリラは気丈で、どんなときでも冷静沈着であり、時折見せるあどけない笑顔がロイドの心を鷲掴みにしていた。
それが、今はか弱い乙女のように終始頬を紅らめているのだ。
そんな初めて見るリラにロイドは冷や汗をかかずにはいられなかった。
「えっと。クライヴ様の事業については、ちょっと…。」
「いや、そうではなく、申立てについてです。」
レナルドは、間髪入れずにリラに突っ込みをいれた。
リラは一瞬にして自分の勘違いに気づき、乾笑いした。
((一体何があったのだ!?))
ふたりは困惑の表情を浮かべた。
「え、えっと。申立てについては、以前おふたりに話したことをお伝えしました。」
「「…。」」
リラは軽く咳払いをして、気持ちを整えるとふたりにそう告げた。
ふたりは、その続きを聞こうと暫く何も話さなかったが、リラから言葉は放たれなかった。
「あの…。リラ嬢。それだけでしょうか…。」
レナルドは思わず尋ねるも、リラは意味がわからないのか、きょとんっとしていた。
「はい。それだけです。」
「その…。アクイラ国皇子はその申し出に対するお返事はどのようなものだったか、お聞きしてもよろしいでしょうか…。」
「…。あ!!」
レナルドが、そうリラに尋ねるとリラが少し考え込み、重大なことに気づき声を発し蒼ざめた。
それは、クライヴから何も返事も受けていない事実に気づいたのだった。
ただ、『恋人』になることを提案されただけだった。
意表を突かれたその提案にリラは返答を聞くことを今の今まですっかり忘れていたのだ。
「す、すいません…。」
リラは思わずふたりに謝った。
(これでは、せっかく相談させていただいたのに、おふたりへの報告が不十分ですわ。)
リラは不甲斐ない自分が恥ずかしかった。
ふたりは、何がなんだかわからないがリラの表情から察するに、やはり『婚約』したのではないかという疑念が確信に変わっていくのを感じ、ロイドの心臓は壊れんばかりに早鐘を打った。
(身がもたん。)
今にも、そんな弱音を吐露し、泡を吹いて倒れそうな中、ロイドは必死でその場に静止していた。
(耐えろ!)
レナルドは横目に明らかに具合の悪そうなロイドが目に入り、思わず心の中でそう叫んだ。
そんなハラハラしたふたりの気持ちを全く知らないリラは、ようやく重たい口を開いた。
「実は、クライヴ様からお返事を聞くのを忘れてました。」
(もう、ダメだ…。そうか、婚約してしまったのか…。)
緊張の限界のロイドは、リラの言葉が発するや否やソファに崩れ落ち、先ほどリラが発した言葉が脳裏を木霊した。
「ロイド様…!!」
一方のレナルドは崩れいくロイドを慌てて支えながら、リラの発した言葉を理解するべくその言葉を脳内で反芻した。
「「へ?」」
ふたりはリラの言葉の意味がわからず、思わず間の抜けた声を発した。
「それはどういう…。」
一拍置いて、レナルドは言葉の意味を正確に確かめようと、思わず前のめりになりながらリラに尋ねた。
(婚約の申し立ての返答を行わない、そんなことあるのだろうか。)
婚約の申し込みがあり申立てがあったのだ。
どんな貴族であろうと、その内容に受理もしくは棄却あるいは保留など何らかの返答はあって当然だ。
「そ、そうですね。そのお伝えして終わりました。その後も色々忙しかったので。」
リラは俯き耳まで真っ紅になりながら言葉を濁した。
まさか、その後クライヴから『恋人』になることを提案され、口付けをしたことなど言えるはずもなかった。
「つまり、まだ婚約していないのでしょうか。」
念押しでレナルドが確認するとリラは静かに頷いた。
「はい。お恥ずかしながら私に決心がつかず承諾はしておりません。」
その言葉にロイドはむくりっと起き上がり、先ほどまでの痴態が何事もなかったかのうに姿勢を正した。
「口約束もしていないのか」
ロイドは思わず聞き返した。
「は、はい…。」
リラのその言葉に、ふたりは少しばかり表情が綻んだ。
一筋の光が差し込んだように思えた。
リラとクライヴがまだ婚約していないなら、なんとかして、こちらが先に成立させてしまえばいいのだ。
まず、ロイドの父である国皇と母である皇后にこのことを話して、早急に婚約証書を作成する。
それからアリエス伯爵家に向かいリラの父であるアリエス伯爵に挨拶し、サインを求める。
しかし、たったそれだけなら、なぜクライヴは、こんなにも苦戦しているのだろうか。
レナルドに疑問が過った。
クライヴはリラの兄であるルーカスと既に知り合い、おそらく父のアリエス伯爵とも多少の面識はあるのだろう。
それなのに、リラ本人の承諾に拘っていることが気になった。
その日の授業終わり。
帰り支度を整えるリラの席にロイドは近づいた。
「リラ、今から帰るのか。もし良かったら正門まで一緒に行かないか。」
リラはにっこり笑って頷いた。
リラは未だ婚約していない、ロイドが行動を起こすなら今が最後の機会だろう。
ロイドにリラを口説く具体的な案が浮かぶわけでもないが、何かせずにはいられなかった。
正門まではふたりは他愛無い話をした。
クライヴのことを話題にしなければ、いつものリラだった。
リラの優しい横顔を見つめながらロイドは胸の奥が苦しくなった。
リラのクライヴの前だけ見せるか弱い乙女のような表情が思い出された。
今のリラが決して偽物なわけではないが、明らかにロイドとクライヴの差を感じてしまう。
(私の力でどうすればこの表情を崩せるのだろう…。)
ロイドは、そんなことばかりを考えてしまっていた。
正門の近くまでくると、そこには見覚えのある黒塗りの四等立ての馬車が待機していた。
リラはその馬車が目に入ると少し頬を綻ばせているのをロイドは感じた。
ふたりが馬車までほんの数メートルのところで、ガチャリと扉は開き、クライヴが静かに降りてきた。
リラは一瞬にして頬を紅く染め、顔を綻ばせた。
「リラ、迎えにきたよ。」
クライヴは、当たり前のようにリラの手を取りいつも通りに口付けをした。
「クライヴ様。わざわざ、お迎えに上がらなくても、こちらからお伺いするとあれほど申し上げたではございませんか。」
リラは、あどけなくも少し不貞腐れたような表情を浮かべた。
ロイドは、その場から動くこともできず、呆然と見つめることしかできなかった。
こんなにも仲睦まじいふたり、これを今から自分の手で壊すことなどできるのか。
ロイドの胸は締め付けられて痛いほどだった。
「恋人に早く逢いたくて。」
そう呟くとクライヴはリラの頬に手を当て、ゆっくりリラに顔が近づいた。
「人前では、ちょっと…。」
リラは慌ててクライヴを押し退けた。
「こ、『恋人』…。」
ロイドは思わず口にした。
皇族であるロイドにも、もちろん無縁の言葉だが、その響きはやけに羨ましく思えた。
ふたりは、未だ婚約者ではないものの、関係が明確に進展していることを意味していた。
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