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浄化のキス
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俺は拳を握って、緊張していた。俺がこの犠牲を払う必要があるのかとぐるぐる考えていたけれど、今回は光一のためにやってもらったから、真己に文句を言いづらい…。
「なぁ、俺じゃなくて、他の人間じゃダメなのか?その、俺は男だし、男同士でその手のことをするのは抵抗があるっていうか…。しかもお前、鬼だし?いっそ、見た目は悪くないんだから、女の子ナンパしてくるとか。そっちの方がお互い良いだろ?」
真己の無表情の顔に見つめられて、俺は何も言えなくなった。真己は少し考えてから、口を開いた。
「女?浄化の力があればそれでも良いが。…心霊のアレを喰らうと、旨いのは本当だ。だが、それは味だけの話。少し身体の循環が削がれるんだ。本来、鬼というのは祓うものでは無いからな。
身体の中に残ったアレの破片を、そこら辺に吐き捨てるわけにいくまい。破片と言えども、人間は脆く、影響されやすいからな。そこで力のある護り手の浄化が必要だが、一誠はなぜ躊躇う?まさか、お前その歳になって、恥ずかしいとでも言うのか?
…何と、この世は不思議よな。身体は大きくなったようだが、精神も、経験も昔の人間と比べると弱々しく、未熟だ。」
俺は妖の鬼に、この現代を代表してディスられたし、経験の無さを鼻で笑われた。俺は前回の、浄化と言われて真己にやられたことがどうも想像外だったせいで、またあんな事になるのが恥ずかしいやらで困り果てていた。
前回は学生マンションの隣の部屋の、顔見知りの学生についていたモヤが会う度に黒く変化していくので、うっかり真己に相談したのが間違いだった。
真己は大して旨くもないのにとぶつぶつ言いながら二言、三言学生と話すと、あっという間にそのモヤを吸い込んだ。しばらくその学生はボゥっとしていたが、急に活き活きとすると元気に挨拶して立ち去った。それから真己は本来はこんな雑食はしないとぶつぶつ言っていた。
その日の夜になって真己は、寝ている俺に覆いかぶさって、心霊の残留物を浄化するから身体を貸してくれ、そう言うと、俺にキスしたんだ。俺は鬼に、高校時代の淡い恋以来のセカンドキスを奪われてしまった。しかも何だか口の中へ伸ばした真己の舌に、俺の何かを吸い取られたような気がした。あ、もしかして俺のファーストディープキス…だった?
そんな事を考えていると、いつの間にか近づいていた真己は俺を意外なほどの強さで抱き寄せると、首を伸ばして俺に喰らいついた。やっぱり俺の唇に。
「なぁ、俺じゃなくて、他の人間じゃダメなのか?その、俺は男だし、男同士でその手のことをするのは抵抗があるっていうか…。しかもお前、鬼だし?いっそ、見た目は悪くないんだから、女の子ナンパしてくるとか。そっちの方がお互い良いだろ?」
真己の無表情の顔に見つめられて、俺は何も言えなくなった。真己は少し考えてから、口を開いた。
「女?浄化の力があればそれでも良いが。…心霊のアレを喰らうと、旨いのは本当だ。だが、それは味だけの話。少し身体の循環が削がれるんだ。本来、鬼というのは祓うものでは無いからな。
身体の中に残ったアレの破片を、そこら辺に吐き捨てるわけにいくまい。破片と言えども、人間は脆く、影響されやすいからな。そこで力のある護り手の浄化が必要だが、一誠はなぜ躊躇う?まさか、お前その歳になって、恥ずかしいとでも言うのか?
…何と、この世は不思議よな。身体は大きくなったようだが、精神も、経験も昔の人間と比べると弱々しく、未熟だ。」
俺は妖の鬼に、この現代を代表してディスられたし、経験の無さを鼻で笑われた。俺は前回の、浄化と言われて真己にやられたことがどうも想像外だったせいで、またあんな事になるのが恥ずかしいやらで困り果てていた。
前回は学生マンションの隣の部屋の、顔見知りの学生についていたモヤが会う度に黒く変化していくので、うっかり真己に相談したのが間違いだった。
真己は大して旨くもないのにとぶつぶつ言いながら二言、三言学生と話すと、あっという間にそのモヤを吸い込んだ。しばらくその学生はボゥっとしていたが、急に活き活きとすると元気に挨拶して立ち去った。それから真己は本来はこんな雑食はしないとぶつぶつ言っていた。
その日の夜になって真己は、寝ている俺に覆いかぶさって、心霊の残留物を浄化するから身体を貸してくれ、そう言うと、俺にキスしたんだ。俺は鬼に、高校時代の淡い恋以来のセカンドキスを奪われてしまった。しかも何だか口の中へ伸ばした真己の舌に、俺の何かを吸い取られたような気がした。あ、もしかして俺のファーストディープキス…だった?
そんな事を考えていると、いつの間にか近づいていた真己は俺を意外なほどの強さで抱き寄せると、首を伸ばして俺に喰らいついた。やっぱり俺の唇に。
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