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2章

2章28話(129話)

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 レタスとミニトマトを受け取って、元の場所へ。グレン先生が「野菜を水で洗うこと」と次の指示を出した。

「あ、レタスの葉っぱは食えるくらいにしとけよ。自分の胃と相談しとけ。それと、サラダの試食だけではつまらんだろうから、他のもんは先生が勝手に作ってる。洗い終わったら呼んでくれ」

 ――自由な授業だなぁ! 私とジーンは視線を交わしてクスクスと笑う。レタスから葉っぱを二~三枚剥がし、水で洗う。何だか不思議な感じだわ。

「丁寧に洗えよ~。洗ったら水分を切って、ひと口大にちぎって皿に入れる。皿は近くにあるのを適当に使っとけー」

 私たちはきょろきょろと辺りを見渡して、お皿を見つけた。平らな木のお皿。ジーンに視線を向けると、ジーンも同じお皿を見ていた。洗っていた手を止めて、手をタオルで拭き、二枚のお皿を手に取りひとつをジーンへ渡した。ジーンも同じようにタオルで手を拭いて、「ありがとう」と受け取る。

「レタスとミニトマトはこのくらいで良いのかしら……?」
「多分……?」

 洗い終わったレタスとミニトマト。水分を切る……、私は魔法を使おうとして――「待て!」と言われた。

「魔法だとレタスやミニトマトの水分もなくなるんじゃないか?」
「……そうなんですか?」

 目を瞬かせてそう尋ねる。グレン先生は一枚レタスの葉っぱを剥ぎ取って、丁寧にレタスを洗い、私に持たせた。

「表面の水分だけ乾かせるか、やってみよう」
「はい!」

 料理と言うか魔法の授業みたいだ。魔法実技の授業もあるから、その前の練習と思えば……。私はじっとレタスを見つめてから魔法を掛ける。表面の水分だけを魔法で動かす。ふよふよと宙に浮かびひとつに纏まる水分。
 それを見て、グレン先生が目を大きく見開く。

「ほぉ……。見事なもんだな……」

 感心したようにグレン先生が呟く。集まった水分は水場へと。先生にレタスを見せると、レタスをちぎってぱくりと食べた。今度は私が目を大きく見開いた。

「うん、中の水分は失われていない。見事なコントロールだ、エリザベス・アンダーソン!」
「あ、ありがとうございます……」

 褒められて頬が熱くなる。ジーンが「流石ね」と穏やかに微笑む。……うん、魔力のコントロール、頑張っていて良かった。

「それじゃあ一口サイズにちぎって、皿に盛りつけて……」

 グレン先生の言葉に、私たちは料理を再開した。魔法で水分をとって、レタスをひと口大にちぎりお皿に乗せていく。二~三枚とは言え、思っていた以上の量になって驚いた。いつも私がアンダーソン家で食べていた量は、かなり少なかったのね……!

「レタスってこうやってちぎってみると、結構な量になるのね……」

 ジーンが同じようなことを考えていたのかと、ちょっとホッとした。……料理をしたことがないから知らなかったわ……。
 ミニトマトを乗せてサラダも完成。……うーん、見た目もやっぱり、アンダーソン家のサラダのほうが綺麗ね……。
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