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2章
2章83話(184話)
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家から出て、シー兄様と二人並んで歩いていると、ぴたりとシー兄様の足が止まった。
「シー兄様?」
「悪いな、リザ。連れ出して」
ふるふると首を横に振ると、シー兄様はホッとしたように表情を綻ばせた。
「……アンダーソン家のように、兄弟の仲が良いのは珍しいのでしょうか」
私とジュリーの場合は特殊だと思うから、シー兄様に尋ねてみた。シー兄様はすっと私に手を差し出してきたので、その手を取ってきゅっと握ると、再び歩き出す。
「オレらの仲が良いのは、それぞれの役割をしっかりわかっているからじゃないかな」
「役割……?」
「そう。アルが後継者、オレが補助、エドは……保留。なにになりたいかは、エド自身が決めることだからな。……もちろん、リザも」
「なにになりたいか……」
「……アルが生まれた時にさ、巫子の力がほとんどアルに継がれたことを知った。オレに流れる巫子の力は、エドよりも多いか少ないか、結構曖昧。だからこそ、アルが生まれた時に、あぁ、この子が後継者かって納得した」
……シー兄様が淡々と話してくれている。アル兄様が生まれた時から、シー兄様は補助に回ろうと考えていたのかな……?
「アカデミーを飛び級して、騎士団に入って実戦経験を積んだのも、いつかアルが後継者として立つ時に、オレが支えになれたらと思ったんだ。……色々アルと揉めたけどね」
「アル兄様と?」
「アルはオレのことを尊敬してくれているからね。アンダーソン家の後継者はオレのほうがいいって聞かなかった。でも、アンダーソン家は巫子の一族だから、巫子の力が一番強いアルが後継者のほうが良いって、何度も話し合った」
……知らなかった、アル兄様とシー兄様がそんな話し合いをしていたなんて……。私がシー兄様を見上げると、シー兄様は優しく微笑んだ。
「……そして、王家でも巫子の力は重宝されている。第一王子、第二王子、第三王子といる中で、巫子の力を強く継いだのはヴィンセント殿下だ。上の二人からすれば、ヴィンセント殿下は妬ましい対象なんだよね。困ったことに」
ヴィンセント殿下が妬ましい対象……。私が思っている以上に、ヴィニー殿下たちの仲は悪いのだろう。
「ただヴィンセント殿下は、リザも知っての通り魔術専攻だ。王位に興味はないとハッキリ宣言している。……それもまた、上の二人には面白くないのかもしれないけどね」
「……えっと、なぜですか?」
「王位継承権は捨てられない。陛下が選ぶ基準がどうかはわからないが、一番王位に近いと考えられている……かもしれない。ヴィンセント殿下が思っていなくてもね」
……ヴィニー殿下は、きっと王位を継ぐ気はないだろう。魔法に夢中になっている彼を見ていればわかる。……陛下は、どうお考えなのかしら……?
そんなことを考えながら、果物を売っているお店で果物を数個買い、さらに別のお店で飲み物も買った。ついでとばかりに屋台の食べ物も買って、気が付けば大量の荷物になっていた。
「お、重くありませんか……?」
「平気平気、まだ持てるよ」
……シー兄様って力持ちね。なんてことを思った。
「シー兄様?」
「悪いな、リザ。連れ出して」
ふるふると首を横に振ると、シー兄様はホッとしたように表情を綻ばせた。
「……アンダーソン家のように、兄弟の仲が良いのは珍しいのでしょうか」
私とジュリーの場合は特殊だと思うから、シー兄様に尋ねてみた。シー兄様はすっと私に手を差し出してきたので、その手を取ってきゅっと握ると、再び歩き出す。
「オレらの仲が良いのは、それぞれの役割をしっかりわかっているからじゃないかな」
「役割……?」
「そう。アルが後継者、オレが補助、エドは……保留。なにになりたいかは、エド自身が決めることだからな。……もちろん、リザも」
「なにになりたいか……」
「……アルが生まれた時にさ、巫子の力がほとんどアルに継がれたことを知った。オレに流れる巫子の力は、エドよりも多いか少ないか、結構曖昧。だからこそ、アルが生まれた時に、あぁ、この子が後継者かって納得した」
……シー兄様が淡々と話してくれている。アル兄様が生まれた時から、シー兄様は補助に回ろうと考えていたのかな……?
「アカデミーを飛び級して、騎士団に入って実戦経験を積んだのも、いつかアルが後継者として立つ時に、オレが支えになれたらと思ったんだ。……色々アルと揉めたけどね」
「アル兄様と?」
「アルはオレのことを尊敬してくれているからね。アンダーソン家の後継者はオレのほうがいいって聞かなかった。でも、アンダーソン家は巫子の一族だから、巫子の力が一番強いアルが後継者のほうが良いって、何度も話し合った」
……知らなかった、アル兄様とシー兄様がそんな話し合いをしていたなんて……。私がシー兄様を見上げると、シー兄様は優しく微笑んだ。
「……そして、王家でも巫子の力は重宝されている。第一王子、第二王子、第三王子といる中で、巫子の力を強く継いだのはヴィンセント殿下だ。上の二人からすれば、ヴィンセント殿下は妬ましい対象なんだよね。困ったことに」
ヴィンセント殿下が妬ましい対象……。私が思っている以上に、ヴィニー殿下たちの仲は悪いのだろう。
「ただヴィンセント殿下は、リザも知っての通り魔術専攻だ。王位に興味はないとハッキリ宣言している。……それもまた、上の二人には面白くないのかもしれないけどね」
「……えっと、なぜですか?」
「王位継承権は捨てられない。陛下が選ぶ基準がどうかはわからないが、一番王位に近いと考えられている……かもしれない。ヴィンセント殿下が思っていなくてもね」
……ヴィニー殿下は、きっと王位を継ぐ気はないだろう。魔法に夢中になっている彼を見ていればわかる。……陛下は、どうお考えなのかしら……?
そんなことを考えながら、果物を売っているお店で果物を数個買い、さらに別のお店で飲み物も買った。ついでとばかりに屋台の食べ物も買って、気が付けば大量の荷物になっていた。
「お、重くありませんか……?」
「平気平気、まだ持てるよ」
……シー兄様って力持ちね。なんてことを思った。
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