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2章
2章95話(196話)
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それから数日後に宝石店で買った宝石が届き、アル兄様とヴィニー殿下に声を掛けた。そして、希望者を募っていたアミュレット作りを早速開催することになった。参加者がそこそこ多いので、先生に協力してもらい(危なくないか監視も含め)、ホールを貸してもらえることになった。
ソルとルーナを呼んで、手伝ってもらう。
アル兄様とヴィニー殿下にも。それぞれ好きな宝石を選んでもらって、アミュレットの作り方を教えた。魔力が足りない生徒には、ソルやルーナが力になり、気が付いたらみんな自身のアミュレットを手に入れていた。
アミュレットを作り上げた生徒たちは、とても嬉しそうに微笑んでいた。それを見られただけでも、私の心はぽかぽかと温かくなった。
「お疲れ様」
「ヴィニー殿下……、ヴィニー殿下も、お疲れ様でした」
各自解散して、ホールに残ったのはいつものメンバーと先生だけだった。流石に私だけではあの人数に教えることは不可能だったろう。アル兄様とヴィニー殿下が手伝ってくれて助かった。先生も興味深そうに眺めていたけれど、口出しはしなかった。
「で、悪いのだけど、今週末に王城に来てくれる?」
「……あ、舞姫の件ですね?」
「アルから聞いていた?」
肯定のうなずきを返すと、ヴィニー殿下は肩をすくめた。それからとても申し訳なさそうに眉を下げて、ぽん、と私の肩に手を置いた。
「本当に、ごめんね。それどころじゃないって言っても聞かなくて……」
「そんな、ヴィニー殿下のせいではありませんよ」
私たちがしていることを陛下は知らないだろうし……。ヴィニー殿下は私の言葉を聞いて、ホッと安堵したようだった。
「……みんなのアミュレット、作れて良かったね」
「はい! ……でも、やっぱりジェリーのクラスの子は来ませんでしたね」
ヴィニー殿下やアル兄様に近付きたいという人は多いから、そういう人たちは参加するのかと思ったけれど……参加数はゼロ人だった。
どうして知っているかと言えば、アミュレットを教える時にどのクラスの生徒なのか把握するために先生が名簿を作ってくれたからだ。私たちのクラスは全員が参加、アル兄様たちが参加すると聞いて急遽参加を決めた人たちも結構多いので、先生が名簿を作ってくれて助かった。
「……舞姫、引き受けるの?」
「ええ、そのつもりです。……目的もありますしね」
目的? と首を傾げるヴィニー殿下に、私はにっこりと微笑みを浮かべる。そして口元で人差し指を立てる。
「――秘密、です」
「それは残念」
そんな会話をしながら、私たちはそれぞれの寮へと帰った。
その翌日、アミュレットを身に着けたクラスメイトたちから、「今日はとても身体が軽く感じるの!」と報告を受けて、私は目を瞬かせた。マジックバリアを使用していても、じわじわと浸食されていたのかもしれない。
クラスメイトたちの明るい表情を見て、なんだかとっても嬉しくなった。
ソルとルーナを呼んで、手伝ってもらう。
アル兄様とヴィニー殿下にも。それぞれ好きな宝石を選んでもらって、アミュレットの作り方を教えた。魔力が足りない生徒には、ソルやルーナが力になり、気が付いたらみんな自身のアミュレットを手に入れていた。
アミュレットを作り上げた生徒たちは、とても嬉しそうに微笑んでいた。それを見られただけでも、私の心はぽかぽかと温かくなった。
「お疲れ様」
「ヴィニー殿下……、ヴィニー殿下も、お疲れ様でした」
各自解散して、ホールに残ったのはいつものメンバーと先生だけだった。流石に私だけではあの人数に教えることは不可能だったろう。アル兄様とヴィニー殿下が手伝ってくれて助かった。先生も興味深そうに眺めていたけれど、口出しはしなかった。
「で、悪いのだけど、今週末に王城に来てくれる?」
「……あ、舞姫の件ですね?」
「アルから聞いていた?」
肯定のうなずきを返すと、ヴィニー殿下は肩をすくめた。それからとても申し訳なさそうに眉を下げて、ぽん、と私の肩に手を置いた。
「本当に、ごめんね。それどころじゃないって言っても聞かなくて……」
「そんな、ヴィニー殿下のせいではありませんよ」
私たちがしていることを陛下は知らないだろうし……。ヴィニー殿下は私の言葉を聞いて、ホッと安堵したようだった。
「……みんなのアミュレット、作れて良かったね」
「はい! ……でも、やっぱりジェリーのクラスの子は来ませんでしたね」
ヴィニー殿下やアル兄様に近付きたいという人は多いから、そういう人たちは参加するのかと思ったけれど……参加数はゼロ人だった。
どうして知っているかと言えば、アミュレットを教える時にどのクラスの生徒なのか把握するために先生が名簿を作ってくれたからだ。私たちのクラスは全員が参加、アル兄様たちが参加すると聞いて急遽参加を決めた人たちも結構多いので、先生が名簿を作ってくれて助かった。
「……舞姫、引き受けるの?」
「ええ、そのつもりです。……目的もありますしね」
目的? と首を傾げるヴィニー殿下に、私はにっこりと微笑みを浮かべる。そして口元で人差し指を立てる。
「――秘密、です」
「それは残念」
そんな会話をしながら、私たちはそれぞれの寮へと帰った。
その翌日、アミュレットを身に着けたクラスメイトたちから、「今日はとても身体が軽く感じるの!」と報告を受けて、私は目を瞬かせた。マジックバリアを使用していても、じわじわと浸食されていたのかもしれない。
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