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2章
2章113話(214話)
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なんの願いも込めずに……?
「出来れば、精霊たちにも協力してくれたら助かる」
「ソルとルーナにも?」
小さく首を縦に動かす。私は少し考えてソルとルーナにも手伝ってもらうことにした。精霊たちは快く引き受けてくれて、三つの小さなエメラルドをそれぞれ持ち、ただ魔力を込めた。なんの願いも込めずに魔力を注ぐというのは、なんだか不思議な気持ちになった。
「ありがとう」
「……これ、なんの研究なのですか?」
「願いを込めればアミュレットになるのなら、込めないとなにになるかと思ってね。これから色々試してみる予定だ」
「……レイチェル様は研究がお好きなのですね……」
感心したように言葉を呟くと、レイチェル様は「まぁね」とにこやかに笑う。私たちからエメラルドを受け取り、そのひとつを持ち、じーっと見つめる。
「純度の高い宝石を使ってみたんだけど、やっぱり魔力の通りがよくわかるね」
「はぁ……」
よくわからなくて首を傾げると、もうひとつのエメラルドを手に取り、「興味深いな」と呟いた。
「精霊たちの魔力と、同質のようだね」
「……?」
「普通は多少なりとも違うのだけど、……きみらの魔力はぴったり同じのようだ」
「そんなことがわかるのですか?」
宝石でそんなことがわかるとは知らなくて、びっくりして目が丸くなった。それを見たレイチェル様が得意そうに口角を上げる。
「私はそういう研究をしているからね。ここまでぴったりなのは初めて見たよ」
レイチェル様の言葉を聞いて、思わずエメラルドを凝視してから、ソルとルーナを見た。精霊たちは私を見上げて、気まずそうに顔を逸らした。……私と魔力が同質だということを、ソルとルーナは知っていたのかもしれない。
「……でも、精霊と同質の魔力、なんてことあるのですか?」
「さあ……? そもそも精霊は主の魔力を糧にしているからね。同質になるのかもしれないし、ならないのかもしれない。そこら辺は人間と精霊の間でなにかあるのかもしれない。……とはいえ、私は精霊と契約していないからわからないのだけど」
残念そうに肩をすくめるレイチェル様。ソルとルーナは私のことをちらりと見てから、ぴょんと胸に飛び込んできたのがルーナ、肩に止まったのがソル。
「手伝ってくれてありがとうね、そろそろお昼ご飯食べないと次の授業に遅れるよ」
「あっ、そ、そうですね。すみません、失礼します!」
ぺこりと頭を下げて部屋から出て行き、食堂へと向かう。食堂にはディアがいたから、声を掛けて一緒に食べることにした。次の授業も一緒だからね。
「出来れば、精霊たちにも協力してくれたら助かる」
「ソルとルーナにも?」
小さく首を縦に動かす。私は少し考えてソルとルーナにも手伝ってもらうことにした。精霊たちは快く引き受けてくれて、三つの小さなエメラルドをそれぞれ持ち、ただ魔力を込めた。なんの願いも込めずに魔力を注ぐというのは、なんだか不思議な気持ちになった。
「ありがとう」
「……これ、なんの研究なのですか?」
「願いを込めればアミュレットになるのなら、込めないとなにになるかと思ってね。これから色々試してみる予定だ」
「……レイチェル様は研究がお好きなのですね……」
感心したように言葉を呟くと、レイチェル様は「まぁね」とにこやかに笑う。私たちからエメラルドを受け取り、そのひとつを持ち、じーっと見つめる。
「純度の高い宝石を使ってみたんだけど、やっぱり魔力の通りがよくわかるね」
「はぁ……」
よくわからなくて首を傾げると、もうひとつのエメラルドを手に取り、「興味深いな」と呟いた。
「精霊たちの魔力と、同質のようだね」
「……?」
「普通は多少なりとも違うのだけど、……きみらの魔力はぴったり同じのようだ」
「そんなことがわかるのですか?」
宝石でそんなことがわかるとは知らなくて、びっくりして目が丸くなった。それを見たレイチェル様が得意そうに口角を上げる。
「私はそういう研究をしているからね。ここまでぴったりなのは初めて見たよ」
レイチェル様の言葉を聞いて、思わずエメラルドを凝視してから、ソルとルーナを見た。精霊たちは私を見上げて、気まずそうに顔を逸らした。……私と魔力が同質だということを、ソルとルーナは知っていたのかもしれない。
「……でも、精霊と同質の魔力、なんてことあるのですか?」
「さあ……? そもそも精霊は主の魔力を糧にしているからね。同質になるのかもしれないし、ならないのかもしれない。そこら辺は人間と精霊の間でなにかあるのかもしれない。……とはいえ、私は精霊と契約していないからわからないのだけど」
残念そうに肩をすくめるレイチェル様。ソルとルーナは私のことをちらりと見てから、ぴょんと胸に飛び込んできたのがルーナ、肩に止まったのがソル。
「手伝ってくれてありがとうね、そろそろお昼ご飯食べないと次の授業に遅れるよ」
「あっ、そ、そうですね。すみません、失礼します!」
ぺこりと頭を下げて部屋から出て行き、食堂へと向かう。食堂にはディアがいたから、声を掛けて一緒に食べることにした。次の授業も一緒だからね。
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