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3章

3章47話(257話)

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「もしかして、これも魔法糸なんですか?」
「はい。最近はアミュレットが流行っているようなので、刺繍でも簡単なお守りが作れないかと相談を受けまして……」

 ……アミュレットが流行ってる?
 私は思わずジーンに視線を向けた。ジーンはにっこりと微笑む。
 ……アミュレットの作り方をアカデミーで教えたから……?

「そ、そうだったんですね……」
「はい。魔法糸を取り扱うようになってから、いろいろなお客様に来ていただいております」

 にこにこと笑う店員に、私たちは目を瞬かせた。……いや、ジーンだけは「そうでしょうとも」とばかりにうなずいていた。

「……もしかして、これの提案したのってマクラグレン侯爵家……?」

 私がひっそりとジーンに聞くと、ジーンは笑みを深くした。肯定だ。
 ……しっかりしているなぁ、と感心していると、ジェリーは買い物を終えたようでホクホクとした表情を浮かべ、大事そうに買った商品の入った袋を抱きしめていた。

「ありがとうございました~」

 爽やかな笑顔で頭を下げる店員に、私たちも頭を下げてお店を出た。

「それでは、次はネクタイピンですね!」
「あ、でしたら……。わたくしが知っているお店がありますわ」

 ディアもたまに出掛けているようで、いろいろなお店を見ているみたい。

「では、クラウディア様。お願いできますか?」
「ええ、もちろん!」

 今度はディアがジェリーの手を取って「こちらですわ」と歩き出した。走り出さないところがディアらしい。
 私とジーンも彼女たちを追うように歩き出す。ディアの知っているお店はさっきのお店から割と近かった。
 ……それにしても、建国祭でも普通にお店ってやっているのね。

「ジーンはいろんなお店を見回っていたの?」
「そうよ。ここ数ヶ月は建国祭の準備でバタバタしていたから、あまり行けなかったけど……。建国祭が終わったら、またいろいろなお店を巡る予定よ」

 目をキラキラと輝かせて、これからのことを話すジーンはとっても綺麗だった。

「それに建国祭が終わったら、アカデミーも休みに入るでしょう? だからこそ、たくさんのお店を見て回りたいの!」
「……ジーンはいつか、自分のお店を持ちそうね……」
「あら、それも素敵ね。いい案だわ」

 そこまでは考えていなかったみたい。でも、もしもジーンが自分のお店を持ったのなら、どんなものになるのだろう? 想像するとちょっと楽しくなってきた。

「……エリザベスは? 何かやりたいこと、あるかしら?」

 ジーンの問いに、私は歩くのをぴたりと止めた。
 ……私の、やりたいこと……?
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