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1、英雄とは
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ーー英雄。
この世界にも『英雄』と呼ばれる存在がいる。
『英雄』というのは、知力や才能、実力を持って、武勇に優れ、非凡な事をなしとげる人のことを言う。
世間には『自称•英雄』と名乗る者は良くも悪くもたくさんいた。
だかしかし、この手の連中はほとんどが偽物で、自分で勝手に名乗って弱い人相手に偉ぶったり、酒場などでタダで飲み食いするために自慢しているだけ。
英雄と呼ばれる人のほとんどが世間を知らない素朴な人たちが感謝の意味を込めて呼んでいるだけ。
その程度なら問題ない。
せいぜい酒の肴になるだけなって、気分よければ目論み通りに心優しい人や酔って気が大きくなっている誰かにおごってもらえたりするだけだ。
だけど、『英雄』と言う名は重い。
だから、『英雄』と名乗るには対価を伴う。
欲を出したら、英雄を名乗ってしでかしたことにあった罰の大きさで淘汰されるだろう。
勿論、魔物を退治したり、盗賊を捕まえたりと、人々の役に立ってそう呼ばれることも一部にはいるはず。
だがしかし、この世界には『本物の英雄』がいる。
剣はソードマスター以上、
魔法は大魔法使い、賢者よりも大賢者で、
武術と言った生身で戦う術でも最強、
知識においても、本を読むのが好きなお陰でたくさんの知識を蓄えていた。
そんなどのジャンルにおいても最強クラスな実力を持っている英雄が、まだ若いときている。
これほどまでに力を持っていて、『英雄様』だと民に崇める者も出るほどに奉られたりすれば、その日から、もしくはそんな状況で数年も経ってしまえば、威張ったり奢ったり、態度が大きくなったり、乱暴になったりするのが人間と言うもので、それが普通と言っても過言ではない。
でも、この若き英雄様にはまったく持って、その様な傲慢な態度をとったり、人がいる場所でといない場所で裏表があったり、人によって態度を使い分けたりもしない。
どちらかというと、誰にたいしても優しすぎるくらい優しくて、誰かに嫌みを言ったり、嫌みな態度をとるでなく、年上を敬い、先輩や上司をたてて、後輩や年下を気遣う優しさと頼りになる姿も持っている。
誰にたいしてもどんな嫌な相手でも物凄く丁寧なので、その丁寧さが腰が低くみえていて、人に嫌われないようにするためにも実際にわきまえるようにしていた。
彼が何者か知らないままで本人と会うと、ただの情けない優男にしか見えないくらい。
そんな彼の名前は、
ヘンリー・ラッセル。
年はまだ25歳だったはず。
彼は英雄と呼ばれるに相応しく、大なり小なり数々の功績を残してきた。
ーーいや、残し続けているのだ。
ーーある時は、長く長く続いてきた魔族との戦いに勝ち続けて犠牲者も最小限に抑えて、とうとう魔族との王と平和協定を結ぶ。
ーーまたある時は、エルフとの間に起きた問題を解決して、またまたある時は、ドワーフとの間に起きた問題を解決。
ーーさらにドライアドといった特殊な種族との問題も、次々と解決していき、ややこしい国同士の問題も何度か解決してみせた。
ーー勿論、その間にも起こり続けていた魔物退治も彼が討伐に駆け付けていた。
ーーだからこそ、彼こそが正真正銘の本物の英雄なのだった。
ーーしかし、残念なこともある。
もしかしたら、彼は英雄ではない方が良かったのかもしれない。
もしかしたら、彼は見るからに英雄に見えるがっしりとした体型を持っていた方が良かったのかもしれない。
そうすれば、お互い問題なく幸せだったのかもしれない。
そうすれば、彼も普通に幸せになれたのかもしれない。
ーーでも、もうそれはすべて遅いのだ。
取り返しのつかないほどに……。
この世界にも『英雄』と呼ばれる存在がいる。
『英雄』というのは、知力や才能、実力を持って、武勇に優れ、非凡な事をなしとげる人のことを言う。
世間には『自称•英雄』と名乗る者は良くも悪くもたくさんいた。
だかしかし、この手の連中はほとんどが偽物で、自分で勝手に名乗って弱い人相手に偉ぶったり、酒場などでタダで飲み食いするために自慢しているだけ。
英雄と呼ばれる人のほとんどが世間を知らない素朴な人たちが感謝の意味を込めて呼んでいるだけ。
その程度なら問題ない。
せいぜい酒の肴になるだけなって、気分よければ目論み通りに心優しい人や酔って気が大きくなっている誰かにおごってもらえたりするだけだ。
だけど、『英雄』と言う名は重い。
だから、『英雄』と名乗るには対価を伴う。
欲を出したら、英雄を名乗ってしでかしたことにあった罰の大きさで淘汰されるだろう。
勿論、魔物を退治したり、盗賊を捕まえたりと、人々の役に立ってそう呼ばれることも一部にはいるはず。
だがしかし、この世界には『本物の英雄』がいる。
剣はソードマスター以上、
魔法は大魔法使い、賢者よりも大賢者で、
武術と言った生身で戦う術でも最強、
知識においても、本を読むのが好きなお陰でたくさんの知識を蓄えていた。
そんなどのジャンルにおいても最強クラスな実力を持っている英雄が、まだ若いときている。
これほどまでに力を持っていて、『英雄様』だと民に崇める者も出るほどに奉られたりすれば、その日から、もしくはそんな状況で数年も経ってしまえば、威張ったり奢ったり、態度が大きくなったり、乱暴になったりするのが人間と言うもので、それが普通と言っても過言ではない。
でも、この若き英雄様にはまったく持って、その様な傲慢な態度をとったり、人がいる場所でといない場所で裏表があったり、人によって態度を使い分けたりもしない。
どちらかというと、誰にたいしても優しすぎるくらい優しくて、誰かに嫌みを言ったり、嫌みな態度をとるでなく、年上を敬い、先輩や上司をたてて、後輩や年下を気遣う優しさと頼りになる姿も持っている。
誰にたいしてもどんな嫌な相手でも物凄く丁寧なので、その丁寧さが腰が低くみえていて、人に嫌われないようにするためにも実際にわきまえるようにしていた。
彼が何者か知らないままで本人と会うと、ただの情けない優男にしか見えないくらい。
そんな彼の名前は、
ヘンリー・ラッセル。
年はまだ25歳だったはず。
彼は英雄と呼ばれるに相応しく、大なり小なり数々の功績を残してきた。
ーーいや、残し続けているのだ。
ーーある時は、長く長く続いてきた魔族との戦いに勝ち続けて犠牲者も最小限に抑えて、とうとう魔族との王と平和協定を結ぶ。
ーーまたある時は、エルフとの間に起きた問題を解決して、またまたある時は、ドワーフとの間に起きた問題を解決。
ーーさらにドライアドといった特殊な種族との問題も、次々と解決していき、ややこしい国同士の問題も何度か解決してみせた。
ーー勿論、その間にも起こり続けていた魔物退治も彼が討伐に駆け付けていた。
ーーだからこそ、彼こそが正真正銘の本物の英雄なのだった。
ーーしかし、残念なこともある。
もしかしたら、彼は英雄ではない方が良かったのかもしれない。
もしかしたら、彼は見るからに英雄に見えるがっしりとした体型を持っていた方が良かったのかもしれない。
そうすれば、お互い問題なく幸せだったのかもしれない。
そうすれば、彼も普通に幸せになれたのかもしれない。
ーーでも、もうそれはすべて遅いのだ。
取り返しのつかないほどに……。
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