10 / 35
第6話 予想外の出会い シメオン視点(1)
しおりを挟む
「………………。……………………」
立場上出席を断れず、しぶしぶ参加した夜会。同じくしぶしぶ他の参加者に挨拶をしていた俺は、間抜けに口を開けてしまっていた。
こんなことになっている理由、それは目の前の男に――友人である、ゲザッテス子爵令息のジャックにある。
「…………なあ、ジャック……。なんなんだ、そのペンダントは……」
胸元でキラキラと輝く、虹と傘とコッペパンとヒマワリのイラストが所狭しと彫られたドでかいペンダント。
センスなど皆無。まるで吐瀉物のように散らかった装身具をつけて来たため、俺は恐怖を覚えながら胸元を指差した。
「お前は……それが素晴らしいと思って身に着けてるのか……? それとも、何かしらの罰を受けているのか……?」
「まさか、どちらでもないよ。ハッキリ言って良いと思ってはいないし、罰を受けるような真似もしていないよ」
「じゃあ、なんなんだソレは……。どんな理由でそいつをつけているんだ……?」
「これはね、占いの結果に従っているんだよ。その占い師によると僕は間もなく――今夜大きな災難に襲われるみたいなんだけど、こいつを身に着けておくと護ってくれるんだってさ」
お忍びで街を歩いている時に、不意に呼び止められた。興味本位で近づくとその占い師はジャックの身分や生年月日を言い当て、その上で『不吉な影が近づいてきている』『これから言うものをあしらった装身具を身に着けると回避できる』と告げたらしい。
ペンダントの内容も含めかなり胡散臭かったが、実際に名前や誕生日まで言い当てているし、金銭および『物』の要求も一切なかった。そこでジャックはその言葉を信じて即制作を依頼し、災難が去るまで――今日が終わるまで、着けたままにするそうだ。
「会うたび人に変な目をされるのはキツイけど、災難が降りかかるよりはマシだからね。日が変わるまで我慢するよ」
「そ、そうなのか。世の中には、妙な力を持った人間がいるんだな――っ! そうだジャック! その占い師はどこに居るんだ!? 今ちょっと困ったことになっていてっ、その占い師に会って聞きたいことがあるんだよ!!」
父上がヴァネッサを婚約者にする理由。ソイツに尋ねたら答えが返ってくるかもしれないっ!
どこだっ!? どこで会ったんだ!?
「『ヴィッケルス』という街の、南のエリアだね。『サンテリア』って名前の花屋の斜め向かいの道で、占いをしてたよ」
「そうか! ありがとう!! 恩に着るっ! お前は最高の友だ!!」
無事居場所を入手した俺は、翌日即出発する。
夜が明けると同時に馬車を走らせ、ジャックが言っていた場所を目指し――
立場上出席を断れず、しぶしぶ参加した夜会。同じくしぶしぶ他の参加者に挨拶をしていた俺は、間抜けに口を開けてしまっていた。
こんなことになっている理由、それは目の前の男に――友人である、ゲザッテス子爵令息のジャックにある。
「…………なあ、ジャック……。なんなんだ、そのペンダントは……」
胸元でキラキラと輝く、虹と傘とコッペパンとヒマワリのイラストが所狭しと彫られたドでかいペンダント。
センスなど皆無。まるで吐瀉物のように散らかった装身具をつけて来たため、俺は恐怖を覚えながら胸元を指差した。
「お前は……それが素晴らしいと思って身に着けてるのか……? それとも、何かしらの罰を受けているのか……?」
「まさか、どちらでもないよ。ハッキリ言って良いと思ってはいないし、罰を受けるような真似もしていないよ」
「じゃあ、なんなんだソレは……。どんな理由でそいつをつけているんだ……?」
「これはね、占いの結果に従っているんだよ。その占い師によると僕は間もなく――今夜大きな災難に襲われるみたいなんだけど、こいつを身に着けておくと護ってくれるんだってさ」
お忍びで街を歩いている時に、不意に呼び止められた。興味本位で近づくとその占い師はジャックの身分や生年月日を言い当て、その上で『不吉な影が近づいてきている』『これから言うものをあしらった装身具を身に着けると回避できる』と告げたらしい。
ペンダントの内容も含めかなり胡散臭かったが、実際に名前や誕生日まで言い当てているし、金銭および『物』の要求も一切なかった。そこでジャックはその言葉を信じて即制作を依頼し、災難が去るまで――今日が終わるまで、着けたままにするそうだ。
「会うたび人に変な目をされるのはキツイけど、災難が降りかかるよりはマシだからね。日が変わるまで我慢するよ」
「そ、そうなのか。世の中には、妙な力を持った人間がいるんだな――っ! そうだジャック! その占い師はどこに居るんだ!? 今ちょっと困ったことになっていてっ、その占い師に会って聞きたいことがあるんだよ!!」
父上がヴァネッサを婚約者にする理由。ソイツに尋ねたら答えが返ってくるかもしれないっ!
どこだっ!? どこで会ったんだ!?
「『ヴィッケルス』という街の、南のエリアだね。『サンテリア』って名前の花屋の斜め向かいの道で、占いをしてたよ」
「そうか! ありがとう!! 恩に着るっ! お前は最高の友だ!!」
無事居場所を入手した俺は、翌日即出発する。
夜が明けると同時に馬車を走らせ、ジャックが言っていた場所を目指し――
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,229
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる