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第11話 助け シュザンヌ視点(2)

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「シュザンヌ、大丈夫だよ。僕がなんとかしよう」

 無意識的に、マイナス思考の沼に囚われかけていた時でした――。わたしの右手が、優しく、けれど、力強く握られました。

「1~2時間ごとに新しい馬車に乗り換えて進めば、常に最高速度に近い形で移動できる。天候も伝書鳩で先の地域の雲量などを把握すれば、多少遠回りにはなるものの悪天候を回避できる。そのどれもが、コザレイティア家の力を総動員すれば可能だ」
「クロヴィスさん……!」
「あの国には君が護りたい人々が沢山いて、そんな人達を護れなかったら君は悲しみの涙を流してしまう。……あの日の誓いは破らないよ」

『この先君が涙を流す時は、喜びだけが理由となる。それを誓います。シュザンヌ、これからは二人並んで同じ道を進んでいこうね』

 あの日、そう約束してくださりました。
 ……クロヴィスさん。ありがとう、ございます。

「皆様は我が家(いえ)の屋敷に向かい――父に、この手紙を渡してください。僕はシュザンヌと共に、外に停めている馬車で国境を目指す――北へと進みます」
「「「「「承知いたしました!!」」」」」
護衛達お前達、そういうことになった。済まないが至急、出発準備を頼む。……シュザンヌ、行こう。失礼するよ」
「はっ、はいっ! よろしくお願い致します!」

 少しの時間も無駄にしない。そんな思いで横抱きで運んでもらい、わたし達は大急ぎで馬車に乗り込み出発します。

伝書鳩クロード、頼んだよ。この手紙を届けてくれ」

 馬車の乗り継ぎの手配はクロヴィスの父親コザームおじ様が行ってくださりますが、連絡が届いてから手配が始まりますので、1回目の乗り継ぎには間に合いません。そこでクロヴィスさんが代わりに連絡を行い――

「クロヴィス様、お待ちしておりました! ご用意できております!」
「感謝する!」
「ありがとうございますっ!」

 ――中継先ではクロヴィスさんのお知り合いの業者様がスタンバイをしてくださっていて、スムーズに乗り継ぐことができました。

「思っていた以上に素早く乗り降りができたし、運よく気候も良いから想定以上のスピードが出ている。それに――」
「おじ様から、でしょうか?」
「――うん、返事が来た。各方面に手配してくれたそうで、天候の情報も小まめに届けてくれるみたいだ」
「おじ様、皆様、ありがとうございます……!」

 そちらのおかげで天気の不安も殆どなくなり、しかも不幸中の幸い、天気が悪くなる気配は一向にありませんでした。
 ですのでわたしが入国した際に発生した、『2日間の足止め』や遠回りも発生せず――

「シュザンヌ、見えて来たよ。国境だ」

 ――1日と13時間という、非常に短い時間で中間地点に辿り着いたのでした。

((神殿まで、あと半分……。ここからも、上手くいきますように……!))

 進行方向にある、空。雲の量が多くなりつつある空に願いを込めながら、わたしは急いで馬車を降りて――






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