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プロローグ(4)
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「シャルロット・ミニアは聖女の力を失い、リーエス・フィルズが代わりに覚醒した。王都では今朝にこんな事が起き、大騒ぎになっていたぞ」
レオナルドが入れた補足は、俺に更なる衝撃を与えるものだった。
聖女の資格を、生きながらに失う。その条件は、殺人、だからだ。
「今日の早朝、聖女シャルロットが住まう場所で――神殿で、従者が急死したらしい。検死の結果その者の死因は一切不明だそうだが、唯一同じ部屋にいた聖女がその直後に力を失った。それが決め手となって犯人と判断され、この国では殺人は即死刑となるが――腐っても元聖女。何かしらの天罰の発生を恐れ、近々無期懲役刑が宣告されるそうだ」
「流石はレオナルド、既に調査済みか。……現場は、どうだった?」
「お前が思っている通りだな。少しばかり神殿に侵入してみたが、事件現場に魂の残滓はなかった――誰も死んでいなかった。その事件は捏造、彼女を陥れるための罠だ」
高位の魔族は、生物の死を感知できる。やはりこの騒動は、偽りだ。
「どうやって能力を奪ったのか、犯人はリーエス・フィルズなのか、偶々力が移っただけなのか、等々。そこから先は、お前しか解明できない領域だからな。オレの力で暴けたのは、ここまでだ」
「充分だよ、助かった。お前のおかげで、随分と行動を省略できるようになったからな」
スタート地点から一々調べる必要がないのは、有難い。
シャルロットの身に、何かしらの干渉があると分かっているからな。彼女に直接会って、魔王の目で調べてみるとしよう。
「レオナルド。ダーネスの暗殺計画とこの件、現在どちらの深刻度が高いんだ?」
「暗殺の方だな。かなり上手く動いていたらしく、数時間後には決行されるはずだ」
「分かった。そっちを急いで片付けて、彼女に会ってくる」
つけていたエプロンを外して店番を任せ、足元に転移用魔法陣を展開して魔界へと移動。速やかに危険因子を排除してワネア伯爵に新たな爵位を与え、俺は再び人間界へと舞い戻ったのであった。
レオナルドが入れた補足は、俺に更なる衝撃を与えるものだった。
聖女の資格を、生きながらに失う。その条件は、殺人、だからだ。
「今日の早朝、聖女シャルロットが住まう場所で――神殿で、従者が急死したらしい。検死の結果その者の死因は一切不明だそうだが、唯一同じ部屋にいた聖女がその直後に力を失った。それが決め手となって犯人と判断され、この国では殺人は即死刑となるが――腐っても元聖女。何かしらの天罰の発生を恐れ、近々無期懲役刑が宣告されるそうだ」
「流石はレオナルド、既に調査済みか。……現場は、どうだった?」
「お前が思っている通りだな。少しばかり神殿に侵入してみたが、事件現場に魂の残滓はなかった――誰も死んでいなかった。その事件は捏造、彼女を陥れるための罠だ」
高位の魔族は、生物の死を感知できる。やはりこの騒動は、偽りだ。
「どうやって能力を奪ったのか、犯人はリーエス・フィルズなのか、偶々力が移っただけなのか、等々。そこから先は、お前しか解明できない領域だからな。オレの力で暴けたのは、ここまでだ」
「充分だよ、助かった。お前のおかげで、随分と行動を省略できるようになったからな」
スタート地点から一々調べる必要がないのは、有難い。
シャルロットの身に、何かしらの干渉があると分かっているからな。彼女に直接会って、魔王の目で調べてみるとしよう。
「レオナルド。ダーネスの暗殺計画とこの件、現在どちらの深刻度が高いんだ?」
「暗殺の方だな。かなり上手く動いていたらしく、数時間後には決行されるはずだ」
「分かった。そっちを急いで片付けて、彼女に会ってくる」
つけていたエプロンを外して店番を任せ、足元に転移用魔法陣を展開して魔界へと移動。速やかに危険因子を排除してワネア伯爵に新たな爵位を与え、俺は再び人間界へと舞い戻ったのであった。
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