それって食べ物ですか？いいえ飲み物です。

8章

134 再会

マリ　視点

「もう目を開けてもいいわよ。」

ルナールさんが声をかけてくれたので目を開けると…
沢山の人が歩いていた。
すぐには分からなかったが見覚えのある建物がちらほら見えた。
間違いなくココロッカ村だ。

「今日はココロッカ村では食の神の祭典をしているね。看板があるわ。家族みんな連れてくれてば良かったわ。」

村の看板にデカデカと食の祭典と書いてあった。
ルナールさんに言われて思い出した。
年に3日間、食の神様に感謝し来年の豊作を願うお祭りがあることを…
でもいつもより人多くない？
こんな人が行き交うほど人は多くなかった気がする。
村人が建てた社に野菜を奉納して最終日に野菜をみんなで分け、社を燃やして、その火で棒に付けた餅を焼いて食べるお祭りだったはず。

「村にこんなに人がいたかな？」

「そうなの？私はここに来た事ないからわからないわ。」

うーん…初めて来たルナールさんが知る訳ないしなぁ…
サモエドさんに会ってから聞こう。

「ルナールさん、サモエドさんに会ってから聞きますので行きましょう。」

「そうね。用事を済ませましょう。」

私はサモエドさんの工房兼、自宅の家に向かった。
そこには外観が変わらず家はあったが長蛇の列が家まで続いていた。

「…えっと、もう一つ玄関があった！そっちに行きましょう！」

列が出来ているのは工房の入り口、私達が向かったのは自宅入り口である。
こっちには人はいないようだ。

コンコン！

私ははやる気持ち抑えドアをノックした。

「はぁーい！」

ドアが開くとウサギの獣人が現れた。

「マリ！？やっと帰って来たんだ。」

この声とクルッと跳ねた頭の毛…サモエドさんだ。

「サモエドさん！」

カバッ！

私は気持ちが抑えられずサモエドさんに抱きついた。
サモエドさんはビックリしていたけど受け止めてくれた。

「お帰り、マリ…」

「ただいま…サモエドさん…」

私達は見つめ合った。

おー！！

少し離れた所から歓声が上がった。
でも、私達ではないようだ。

そして少し冷静になり羞恥心が込み上げて来て、サモエドさんから離れた。

「あらあら、早速お熱いわね。」

そうだ、ルナールさんがいることを忘れていた。
私は後ろを向くと笑顔のルナールさんが見ていた。

「み、見ないで！！」

私は手で顔をかくした。
それが私に出来る抵抗だった。