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8章

135 習性

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マリ 視点

わー!!パチパチ!

店の方から歓声が上がった。
さっきから奥が騒がしい。

ありがたやーありがたやー!

何事?

「マリ、すまないがまた餅をついてくれ!そちらの人もどうぞ来て下さい。」

「ええ!?」

混乱する私をサモエドさんに腕を引っ張られ工房に連れていかれた。
ルナールさんも何も言わずに私の後について来た。

工房の中には近所の獣人さんたちがせかせかと動いて、工房の仕切り挟んで人がたくさん立っていた。
しかし、人々が見ているのは私達ではなく、侵入禁止にされているテーブルの上だった。

テーブルの上には茶色の見たことあるウサギが口から白い粉を出していた。
そして、その砂糖をせっせと袋に入れるオオカミの毛皮服の子…

「あら?あれってププちゃんよね…!?ティーちゃんとクリスちゃん…なぜママが…」

ルナールさんが驚いている?
私は身体をずらしてテーブルの奥に目をやるとルナールさんによく似た女性が赤ん坊を抱いていた。
今日朝見たクリスちゃんだ。

状況がわからない私はサモエドさんから何故か渡された杵を持ち上げ目の前の温かいもち米に杵を突き続けた。
何故か身体が勝手に動いていた。
別に魔法ではなく毎日餅を突いていたので身体が動いてしまうのだ。

「もう!なんなのよ!」

ペタン!ペタン!ペタン!ペタン!

私は心のままに杵を振り続けた。
餅が出来ては次のもち米が投入され、また出来てはもち米が投入される繰り返しが続いた。

「もち米無くなりました!今ある餅で終わりです。」

売り子のご近所さんがそう言ったあと、餅が売り切れると客は帰って行った。

「騒がしてごめんなさいね。」

ルナールさんによく似た女性が2人と1匹を抱いてやってきた。

「いえ、商品も完売して砂糖まで貰えこちらが感謝しております。」

サモエドさんが対応している。
あーあの粉は砂糖なんだ。
ププちゃんが吐いてるけど大丈夫なのかな?

「お母様!なんでティーちゃん達がいるの?」

あれ?さっきママって言ってなかった?
まぁ、いいか。
わたしも母親からの事はママと呼んでるし…

「ここのお祭りにゲストとして呼ばれてね。この村に来る途中にティーちゃん達を見かけたから連れてきちゃた!」てへ!

「勝手に拉致らないでよ。まったく…」

「ごめんなさい。あまりにも可愛かったからつい…
持ってたかんころ餅をあげたら気に入っちゃたからここに買いに来たの~。」

あれか、飴ちゃんあげるから付いて来てみたいな誘拐みたいなやり方か!

「マリさん!母と話があるので失礼するわ。ドタバタしてごめんさいね。今度様子見に来るわね!」

「はい!ありがとうございました。」

「また来るわね。」

そう言ってルナールさん達は出て行った。
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