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11章

195 長芋

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カグリア 視点

「リリスどう?」

黄金芋を掘りに来た筈なのに長芋を掘っているリリスの場所まで行くと膝下まで掘りつ進めていた。

「リアお母さん!終わらないよー!」

「どれどれ?あーこれは時間かかるわね。」

あたしがリリスの成果を見ると掘り進めるごとに長芋が太くなっているのがわかった。
おそらくまだまだ先がある。

「リリス…もいいわ。流石に8歳には無理だったわ。クリスと芋掘り楽しんでなさい。」

「うん。そうする。」

リリスは素直にウーダと共に芋掘りをしているクリスのもとへ向かって行った。

さて、どうしたものか…

「まんま!!」

どうやらティーが来たようだ。
声の場所に行くとティーがちょこんと地面の上でアホ毛を振って芋の山の前で待っていた。

「ティーが来たということはそっちの準備は終わったんだね。」

「あい!」

「じゃあこの山を持って行ってね。」

「あい!」

ティーは芋の山によじ登ろうとしている。

そうだ!

「ティー!長芋掘り手伝ってくれない?ティーの転移ですぐ終わるからね?」

「?」

状況がわかっていないティーを持ち上げ長芋に触れされる。

「そのままココに転移して!」

「!?あい!」

ティーも理解したのか長芋と共にあたしの近くに転移した。

ドスン!!

あたしの目の前には森の大木くらいの長さの長芋が現れた。
これどうしよう…分割収納?それとも野菜コンテストにでも出す?

「あきゃきゃーきゃきゃー」

ん?倒れるって?

グラッ!

ティーがその警告が発せられると同時に長芋が倒れ始めた。
倒れる方向はあたし達とは反対の森の方向であった。
そこには何もないはずである。
ティーもその辺は考えているかもしれない。

「きゅぴ!?」

前言撤回!ウーダが何故か長芋が倒れる側にいた。
さっきまでクリスと芋掘りしてたのに…なんで?
と、考えている暇はないわ。

あたしはすぐに契約の代理権限を使用し、ウーダを近くに召喚した。

シュン!

「ピャー!!」ジャー!!

ふぅ~間に合った。

バキバキ!!ズドン!!

ウーダの召喚は間に合い潰されず済んだが恐怖の為かウーダの下には大きな水溜りが出来ていた。
まぁ、土の上だし大丈夫だろう。

一方、長芋に貼り付いているティーの方は…
魔物のクレーム処理をしていた。

どうやら長芋が倒れた衝撃で魔物を呼び寄せてしまったみたいだ。
だが、すぐに魔物達は森に帰って行く。
ティーはアホ毛で長芋を持ち、森を潰していた部分をずらした。

「まーま!」

「ティー?何かな?」

長芋の移動を終えたティーがあたしの所に来た。

どうやら魔物達は森の再生に邪魔な長芋を退かして欲しいというようだったらしい。

「ティー、ごめんね。あたしの配慮が足りなかったわ。」

「うきゅ!」(気にしないで!)

あたしが埋まっている長芋の全容を調べていれば森に被害が出なかったかもしれない。
そこは反省しないとね。

「さて、ティー?この芋の山をルナの所に持って行ってね。」

「あーい!」

あたしはティーを持ち上げ、一番近くの芋山にティーを貼り付けた。

「あきゃー!」

「うん、行ってらっしゃい。」

シュン!

ティーは芋の山を一つと共にルナのもとへ転移した。
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