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10巻
10-2
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2 チェックイン
宿に入った二組は、この日のために頑張ってきた従業員達に迎えられた。
「「「「いらっしゃいませ」」」」
受付の前に並んだ従業員達が、一斉に声を出す。スミス一家の娘のアンリと妻のカナンも、その場に立っている。
「いらっしゃいませ! 今日は私達の宿にお出でいただきまして、ありがとうございます。案内をさせていただくカナンと、娘のアンリです。何かございましたら、どうぞなんなりと申し付けてください」
カナンはそう言って、アンリとともに深く頭を下げた。
カナンに続き、アンリが宿への入り方を説明する。
「この宿は、土足禁止となっております。ここで履物を脱いでいただき、壁に並んでいる靴入れに入れてください」
靴入れはロッカータイプで、靴を仕舞って扉を閉めるとその人間の魔力で施錠される仕組みになっていた。同じ人間でないと開けられないというわけである。
全員が靴を仕舞うと、アンリはスリッパに履き替えるように促す。
「それでは受付へどうぞ」
二人は八人を連れて受付へ移動を始める。二家族の荷物はタクマのアイテムボックスに入れてあったので、タクマはそれを従業員達に渡した。
受付のカウンターには、スミスとアンリの配偶者であるマークがいた。
スミスが声を掛ける。
「本日は、当宿をご利用いただきありがとうございます。責任者のスミスと申します。早速ですが、お泊まりになる方のお名前をこちらの紙にご記入ください」
スミスは一冊のノートをスージーとザインの前に出した。
「これに名前を書けばいいのですね」
「うむ。変わったシステムだ」
二人は、渡されたノートに自分の名前と一緒に泊まる家族の名前を記入していった。
するとノートは青く光り始める。書いていた二人はその光に驚いて、一歩後ろに下がった。慌ててスミスが告げる。
「申し訳ありません。説明が足りませんでした。このノートは魔道具で、名前を書くと青く光るのです。なお、偽名を書いた時は赤く光ります。当宿は、皆様のような高貴な方が泊まるように用意された施設なので、身分をしっかりと明かしてもらうのが決まりなのです」
スミスの説明を聞いて、納得したように頷くスージー。
ザインが質問する。
「なるほど。では、偽名を使った者は泊まれないという事だな? ちなみに、強引に君達を脅して泊まろうとした場合はどうなる?」
「敵意、殺意、悪意などを持った人はその場で無力化されます。なお武器をお持ちの方は、受付に武器を預けていただきます。この宿ではいっさいの暴力が認められておりません」
「ふむ。安全性に関しては最高レベルにあるわけか……」
ザインはスミスの説明を聞いて納得した。
一通り話が済んだところで、部屋に案内する事になった。
「では、受付手続きが終わりましたので、スージー様一家はカナン、ザイン様一家はアンリについて、お部屋に移動してください。今晩はごゆるりとお過ごしくださいませ」
スミスはそう言って、マークとともに頭を下げた。
「では、ご案内いたしますのでこちらへどうぞ」
カナンとアンリが二組を二階の客室へと連れていく。
スミスとマークはその背を見送ると、急に膝から崩れ落ちた。
「店長! 大丈夫ですか!?」
従業員に支えられて立ち上がったスミス。彼は放心状態となっていた。
「あ、あんな感じで大丈夫だっただろうか……手続きの説明をせずに、混乱させてしまったようだが……」
スミスは自分の失敗で王妃達が気分を悪くしたと思っていた。周りで見ていた従業員達は、大丈夫だと励ます。
「あれくらいなら問題ないかと思います。言い忘れた事もすぐにフォローできましたし、質問にもきちんと答えてましたから」
「そうか? だったら良いのだが……」
力が抜けて自分の力で立てなくなってしまったスミスとマークは、従業員達によってフロント裏の小部屋へ運ばれていった。
従業員の一人がスミスに声を掛ける。
「後は私達がやります。どうにか乗り越えていきましょう」
「ああ、そうだな。みんなで頑張ろう。それに、俺達よりもカナンとアンリの方が大変だろうしな……」
その言葉を聞いた従業員は、一つの質問を投げかけた。
カナンとアンリは、王族や貴族と接する事に慣れていない。元々、城で勤めていた自分達がやった方が良かったのではないかと思ったので、それについて聞いてみたのだ。
「確かに、みんなにやってもらった方が良いに決まってる。だけど、この試練は俺達一家のためというのが大きいんだ。みんなは、高貴な存在と日頃触れ合っていたから対応はできるだろう。だが、俺達にとっては初めて尽くめだ。だからこそ、タクマさんは俺に任せてくれたんだと思うんだ」
スミスはタクマの意図を的確に理解していた。
そもそも宿泊業務の流れを確認するだけなら、誰を泊めても良いはずだ。それをわざわざ王族を連れてきたというのは、それなりに意味がある。今回の演習を乗り越えられなくては、責任者として住み込んでいる意味がない。スミスはそのように従業員達に話した。
「確かにそうかもしれません。私達は商会長の考えを理解してなかったのですね」
従業員達はなお一層、この親子の手助けをしていこうと心に決めるのだった。
3 王妃達の衝撃
受付を終え、カナンに案内されている王妃一行。
彼女達は、改めて宿の大きさに驚いていた。外観を見ただけでもかなり大きいと感じていたが、中はさらに広かった。
カナンの案内で階段を上り、長い廊下を奥へ歩いていく。
突き当たりの部屋が、スージー達の宿泊する部屋だった。
「こちらがスージー様達のお部屋でございます。入り口でスリッパをお脱ぎになって、お入りくださいませ」
カナンは扉を開けて、スージー達を迎え入れる。
スージー達はスリッパを脱ぎ、中へ入った。
「これは……変わった部屋ね……」
部屋には畳が敷かれていた。畳を見た事がないスージー達は、その不思議な床の踏み心地に驚く。しっかりとした硬さはあるが、その感触は石の床と違って温かみがあった。
「おかあさま! 床がきもちいい!」
マギーは床の感触が楽しくて、ショーンとともに走り回った。スージーが、宿の迷惑になるからと止めようとすると、カナンが告げる。
「この宿の客室には、防音の魔法が掛かっています。なので、お子様が暴れたくらいでは音が漏れる事はありません」
「……そうなの。ただの宿ではないと感じてはいたけど、そこまで規格外なのね」
スージーはそう言い、トリスと一緒にソファーに座って、部屋の周囲を見回す。
木がふんだんに使われた部屋には温かみがあり、とても居心地がよい。普段生活している城とは違っていた。
マギー達はひとしきり走り回って満足したのか、しばらくしてソファーに腰を落ち着けた。
カナンがスージーに声を掛ける。
「それでは、室内をご案内させていただいてよろしいでしょうか?」
「ええ、お願いするわ」
それからカナンはスージー達を、寝室、トイレ、クローゼットと順に案内していった。スージーがクローゼットで何かに気付く。
「ねえ、さっきの服は何? 見た事もないデザインだったようだけど……」
女性なだけあって服には敏感なようだ。この世界では、宿が宿泊客の寝間着を用意するという風習はない。
カナンは笑みを浮かべて答える。
「これは宿が用意した部屋着兼寝間着です。これからご案内するお風呂に入った後で、着替えていただけたらと思います」
「そんな事までしてくれるのね。すごい心遣いだわ」
スージーが感心していると、カナンは笑顔のまま答える。
「この宿は、スージー様のような身分の高い方が使われますから、サービスは最高のものをと商会長が作り上げたのです」
「さすがね……」
続いて、スージー達は風呂へ移動する。
脱衣所に入ると、そこはさらに木材を贅沢に使っていた。
部屋は全て板で覆われ、壁には脱いだ服を置くための棚が設置されている。女性には嬉しい鏡付きのドレッサーまで完備されていた。
「こちらで服をお脱ぎなっていただき、奥の引き戸からお風呂へ移動していただきます。お風呂を確認するのは、入浴される時がよろしいかと思います」
カナンは風呂の説明をあえてしなかった。それが却って、スージー達の好奇心を刺激する。
「じゃあ、早速入ろうかしら。みんなはどう思う?」
スージーがみんなで入ろうと提案すると、ショーン以外は賛成だった。ショーンは男の子なので、一緒に入るとは言えないようだ。
「ショーンは一人で入れる?」
「大丈夫です。僕はお母様達の後で入ります」
ショーンは一人でリビングへと移動していった。
「では、皆様はお風呂の入り方などは分かりますか?」
「ええ。しっかりと身体の汚れを取った後で、湯船に浸かるんですよね。その辺は城でもやっていますので大丈夫ですよ」
「分かりました。お風呂を出る時にこの突起に触れてください。これはお風呂を上がったと、私に知らせるものですから」
壁のボタンを指し示しながら、カナンは説明を終えた。
カナンがその場を離れると、スージー達は服を脱ぎ始める。普段は使用人に服を脱ぐのを手伝ってもらっているが、王妃二人は元々商家の出である。自分の事は自分でできるので、まったく問題はない。もちろん、マギーも自分でできるようになっている。
服を脱いで籠に入れ、彼女達は大きなバスタオルを身体に巻きつけて風呂へと移動した。
引き戸を開けると、そこにはあり得ない光景があった。スージー達の目の前には、雪景色が広がっていたのだ。
「エーーー!? なんで?」
「なんで外に!?」
「わー、きれいだねー」
目の前の光景に、バスタオル一枚で固まる王妃二人。マギー一人呑気に喜んでいる。衝撃を受けたスージーは、思わずカナンを呼ぶ。
「カナンさん! ちょっと、カナンさん!?」
驚いたカナンは、リビングから慌てて戻ってきた。
「どうかしましたか? 何か不備でも……」
「な、な、な、なんで脱衣所の扉を開けたら雪国なの!? それに外でお風呂に入るなんて……誰かに見られたら……」
自分達の恰好を思い出したスージーは、身体を隠すように手を動かす。
「そうでした。説明不足すぎましたね。お風呂場には空間魔法が付与されていて、普通の空間ではありません。なので、人に見られる心配はありません。そして空間の景色ですが、商会長であるタクマさんの故郷を再現したものだそうです。事前に説明しておくべきでした。驚かせてしまい申し訳ありません」
カナンが頭を下げると、スージーは冷静になった。
「そ、そうだったの……驚かせたいという気持ちは分かったわ。これほどの光景ですもの、説明なしで見せたいわよね。でも、説明は欲しかったわ。そうすれば私も慌てずに済んだのに……」
「本当にすみません……」
自分のミスに顔を青くするカナン。
スージーは、カナンの肩を優しく叩いて続ける。
「良いのよ。そういう事に気付くための予行演習でしょ? 私達も怒る気はないの。ただ、ちょっとびっくりしただけ。私達も珍しい宿に泊まれる事に浮かれていたわ」
「申し訳ありませんでした。この経験をしっかりと心に刻んで、これからの接客に生かしてみせます」
「ええ、頑張ってね。じゃあ、私達はこの素晴らしいお風呂を堪能させてもらうわ」
スージーはそう言って、風呂の中へ消えていった。
誰もいなくなった脱衣所で、カナンはまっすぐ立っていられずに壁に手をつく。
「王妃様が優しい方で良かった。下手すると大変な事態になっていたわ……」
カナンはスージーに感謝しつつ、落ち着きを取り戻そうとする。そこへショーンがやって来て、カナンを気遣う。
「おばさん、大丈夫ですか」
カナンが振り向くと、ショーンは心配そうな顔をしていた。
「すみません。お恥ずかしいところをお見せして……すぐにそちらに戻ります」
慌てて動こうとすると、ショーンはカナンに手を差し出す。
「大丈夫。今は僕しかいないし、ゆっくり戻れば良いです」
ショーンはまだ少年だが、紳士の振る舞いができていた。
カナンはショーンの気遣いに感激し、すぐに立ち直る。子供の優しさというのは、嬉しいものなのだ。
「お気遣いありがとうございます。おかげで元気が出ました。一緒にリビングへ戻りましょう」
カナンはショーンの手を借りて客室へ戻るのだった。
◇ ◇ ◇
風呂場に入ったスージー達は、辺りを見回す。
そうしてこの空間の空調などが、しっかり管理されている事に気付いた。雪景色にもかかわらず、寒くないのだ。
「冷静になってみると、ここが外ではないという事が分かるわね。衝撃が大きすぎて、うろたえてしまったけど」
そう言って恥ずかしそうにするスージー。
それから三人は浴室に入り、まず洗い場で身体と頭を洗っていく。王族であってもこの広さには慣れないらしく、スージーとトリスは落ち着かなかった。
「城のお風呂も初めての時は驚いたものだけど、ここの衝撃には勝てないわね」
「ええ、最高の贅沢だと感じるわ」
二人が話しながら掛け湯をしていると、マギーは待ちきれずに急かす。
「おかあさま! はやく! おふろにはいろ!」
「ほら、はしたないわ。もう少しお淑やかにね」
スージーはマギーを宥め、掛け湯をしてやる。
身体を洗ったところで、いよいよ入浴となった。木で作られた浴槽からは、とてもいい香りが漂っている。
風呂に浸かった三人は、思わず息を吐き出した。
「「「ふわー……」」」
適温に保たれたお湯が、三人の身体を包み込む。
「これは、すごく気持ちがいいわ……」
「何か嫌な事があっても吹っ飛んでいく感じ……」
「なんかお湯がきもちいいのー。やわらかいー」
マギーの感想に二人の王妃はハッとする。手でお湯を掬うと、マギーの言ったように柔らかく感じた。
ただの水を温めたのではないらしく、彼女達の肌に変化があった。いつも乾燥してかさついていた肌が、潤っていくような感じがした。
「嘘……肌がつるつるに……」
「なんで? 肌が若返ってる感じがする……」
二人は自分の肌を触りながら、自分の身体に起こっている変化に驚いていた。
しばらく浸かっていると、マギーが熱いと言い出したので出る事にした。
風呂から上がったスージー達は、脱衣所にあるボタンを押す。すると、客室にいたカナンが寝間着を持って現れた。
「お風呂はいかがでしたか?」
「すごく気持ち良かったわ。それに……ねぇ……」
「ええ、なんだかとても肌の様子が……」
王妃二人は自らの変化に戸惑いを感じているようだ。それを察したカナンは、二人が身体を拭いている間にタクマから聞いている範囲で説明を行う。
「宿のお風呂は温泉で、お湯には肌に潤いを与える効果があるそうです」
「ただの水を沸かしたのとは違うのね」
「ええ。タクマさんが言うには、ただの水を沸かしても効能はないのだそうです。地下深くで色々な成分が溶け出した温泉だからこその効果だそうです。普通のお風呂より、身体の芯から温まってないですか?」
カナンの言った事は正しく、風呂から出て身体を拭いた後でも、不思議とポカポカと暑いくらいだった。城のお風呂では、身体を拭き終わる頃には冷えてしまっているというのに。
カナンはさらに続ける。
「普通、お風呂を出た後は肌が乾燥してしまうものですが、温泉のお湯には保湿効果もあると聞きました」
「確かに入浴後は肌がカサカサしてしまうので、オイルを塗る時があるわ……でも、ここではいらないわね」
スージーがそう言うと、カナンは頷いて話す。
「私達家族はこの宿で生活を始めたばかりですが、お風呂に入るようになってからは肌の調子が良いんです」
「あのね。わたしの髪の毛がいつもと違うの!」
カナンに身体を拭かれながら、マギーは髪をアピールした。
マギーの話を聞いていた王妃二人が、「そういえば」と言って自分の髪を撫でる。カナンがその理由を説明する。
「髪の変化はシャンプーとトリートメントのおかげです。しっかりと説明を読んで使用してくれたのですね」
風呂には、この世界では珍しくシャンプーが置いてあった。またトリートメントもあり、洗髪後それを髪に付けしばらく置いてから流すように書かれていた。
「なんでわざわざそんな事をしなくてはいけないのかと思ったけど、これほど効果があるなんて……それにすごく良い香りがする……私達が使ってる石鹸も香りはあるけど、ここまで香らないわ。すごく良い匂い……」
自分の髪を鼻に近づけて、匂いを確かめる三人。髪は、バラの香りに包まれていた。
三人とも身体を拭き終わったので、湯冷めしないうちに着替える。
カナンは、魔石が嵌め込まれた小さな箱を取り出して触れた。
「今のは?」
「これは、お着替えを手伝う人を呼ぶための装置です。ちょっと着方が分かりづらいので」
カナンは三人に待っているように言って、一旦その場を去った。カナンが連れてきたのは、従業員の女性と夕夏だった。
「彼女達が着付けを担当します。私はショーン様がお待ちなので、戻らせていただきますね」
カナンは夕夏達と入れ替わりで客室へと戻っていく。
夕夏が説明を始める。
「それでは着替えを手伝わせていただきますね。まずはマギー様に着ていただきましょう」
夕夏がそう言うと、一緒に来ていた従業員がマギーの前に跪く。
まず七分丈のズボンを穿かせ、ズボンが落ちないように紐を結ぶ。そして上着を着せると、その様を見ていたスージーが声を掛ける。
「この服にはボタンがないけど、どうやって前を留めるのかしら?」
「これは甚平という服で、ボタンで留めるのではなくて紐で結ぶのです」
従業員は、夕夏とミカから習った通りに説明する。そして、スージー達にも分かるように、結び目を見せてあげた。
「なるほど。二カ所で留めれば着崩れしにくいのね。それにしても、動きやすそうな恰好ね」
スージーがそう言うと、従業員が応える。
「お子様はたくさん動かれるでしょうから、男女ともこの甚平に決められたのです」
「タクマさんらしい配慮ね。子供の事を考えての衣装のようね」
手早く着付けを終えると、マギーは真っ先にショーンに見せに行った。
続いて、王妃二人の番である。
着付けできる者が二人いるので、一度にまとめてやる事になった。夕夏がスージーを担当し、従業員がトリスを担当する。
夕夏と従業員が、スージーとトリスの後ろに立つ。
まず二人に浴衣の袖に腕を通してもらう。用意した浴衣は寝間着にも使うタイプなので、腰で織り込みをしなくても良いのだ。次いで、背中の縫い目が中心に来るようにする。そして襟先を揃え、裾をくるぶしの位置に合わせると、右側の襟を下にして前を重ねる。
最後に帯を締めれば完成だ。なお、用意していた帯は室内で過ごす事を想定しているので、5㎝幅の柔らかい物である。それを前から後ろに回し、後ろで交差させて前に出す。蝶結びで帯を固定すれば完成である。
浴衣姿を見て、スージーとトリスは思わず呟く。
「「これ……すごくかわいい……」」
二人の王妃は、まるで少女のようにその場で回ったりしてはしゃぐのだった。しばらくして、トリスは客室に向かって声を掛ける。
「ショーンもお風呂に入ってきなさい。きっと驚くわよ」
宿に入った二組は、この日のために頑張ってきた従業員達に迎えられた。
「「「「いらっしゃいませ」」」」
受付の前に並んだ従業員達が、一斉に声を出す。スミス一家の娘のアンリと妻のカナンも、その場に立っている。
「いらっしゃいませ! 今日は私達の宿にお出でいただきまして、ありがとうございます。案内をさせていただくカナンと、娘のアンリです。何かございましたら、どうぞなんなりと申し付けてください」
カナンはそう言って、アンリとともに深く頭を下げた。
カナンに続き、アンリが宿への入り方を説明する。
「この宿は、土足禁止となっております。ここで履物を脱いでいただき、壁に並んでいる靴入れに入れてください」
靴入れはロッカータイプで、靴を仕舞って扉を閉めるとその人間の魔力で施錠される仕組みになっていた。同じ人間でないと開けられないというわけである。
全員が靴を仕舞うと、アンリはスリッパに履き替えるように促す。
「それでは受付へどうぞ」
二人は八人を連れて受付へ移動を始める。二家族の荷物はタクマのアイテムボックスに入れてあったので、タクマはそれを従業員達に渡した。
受付のカウンターには、スミスとアンリの配偶者であるマークがいた。
スミスが声を掛ける。
「本日は、当宿をご利用いただきありがとうございます。責任者のスミスと申します。早速ですが、お泊まりになる方のお名前をこちらの紙にご記入ください」
スミスは一冊のノートをスージーとザインの前に出した。
「これに名前を書けばいいのですね」
「うむ。変わったシステムだ」
二人は、渡されたノートに自分の名前と一緒に泊まる家族の名前を記入していった。
するとノートは青く光り始める。書いていた二人はその光に驚いて、一歩後ろに下がった。慌ててスミスが告げる。
「申し訳ありません。説明が足りませんでした。このノートは魔道具で、名前を書くと青く光るのです。なお、偽名を書いた時は赤く光ります。当宿は、皆様のような高貴な方が泊まるように用意された施設なので、身分をしっかりと明かしてもらうのが決まりなのです」
スミスの説明を聞いて、納得したように頷くスージー。
ザインが質問する。
「なるほど。では、偽名を使った者は泊まれないという事だな? ちなみに、強引に君達を脅して泊まろうとした場合はどうなる?」
「敵意、殺意、悪意などを持った人はその場で無力化されます。なお武器をお持ちの方は、受付に武器を預けていただきます。この宿ではいっさいの暴力が認められておりません」
「ふむ。安全性に関しては最高レベルにあるわけか……」
ザインはスミスの説明を聞いて納得した。
一通り話が済んだところで、部屋に案内する事になった。
「では、受付手続きが終わりましたので、スージー様一家はカナン、ザイン様一家はアンリについて、お部屋に移動してください。今晩はごゆるりとお過ごしくださいませ」
スミスはそう言って、マークとともに頭を下げた。
「では、ご案内いたしますのでこちらへどうぞ」
カナンとアンリが二組を二階の客室へと連れていく。
スミスとマークはその背を見送ると、急に膝から崩れ落ちた。
「店長! 大丈夫ですか!?」
従業員に支えられて立ち上がったスミス。彼は放心状態となっていた。
「あ、あんな感じで大丈夫だっただろうか……手続きの説明をせずに、混乱させてしまったようだが……」
スミスは自分の失敗で王妃達が気分を悪くしたと思っていた。周りで見ていた従業員達は、大丈夫だと励ます。
「あれくらいなら問題ないかと思います。言い忘れた事もすぐにフォローできましたし、質問にもきちんと答えてましたから」
「そうか? だったら良いのだが……」
力が抜けて自分の力で立てなくなってしまったスミスとマークは、従業員達によってフロント裏の小部屋へ運ばれていった。
従業員の一人がスミスに声を掛ける。
「後は私達がやります。どうにか乗り越えていきましょう」
「ああ、そうだな。みんなで頑張ろう。それに、俺達よりもカナンとアンリの方が大変だろうしな……」
その言葉を聞いた従業員は、一つの質問を投げかけた。
カナンとアンリは、王族や貴族と接する事に慣れていない。元々、城で勤めていた自分達がやった方が良かったのではないかと思ったので、それについて聞いてみたのだ。
「確かに、みんなにやってもらった方が良いに決まってる。だけど、この試練は俺達一家のためというのが大きいんだ。みんなは、高貴な存在と日頃触れ合っていたから対応はできるだろう。だが、俺達にとっては初めて尽くめだ。だからこそ、タクマさんは俺に任せてくれたんだと思うんだ」
スミスはタクマの意図を的確に理解していた。
そもそも宿泊業務の流れを確認するだけなら、誰を泊めても良いはずだ。それをわざわざ王族を連れてきたというのは、それなりに意味がある。今回の演習を乗り越えられなくては、責任者として住み込んでいる意味がない。スミスはそのように従業員達に話した。
「確かにそうかもしれません。私達は商会長の考えを理解してなかったのですね」
従業員達はなお一層、この親子の手助けをしていこうと心に決めるのだった。
3 王妃達の衝撃
受付を終え、カナンに案内されている王妃一行。
彼女達は、改めて宿の大きさに驚いていた。外観を見ただけでもかなり大きいと感じていたが、中はさらに広かった。
カナンの案内で階段を上り、長い廊下を奥へ歩いていく。
突き当たりの部屋が、スージー達の宿泊する部屋だった。
「こちらがスージー様達のお部屋でございます。入り口でスリッパをお脱ぎになって、お入りくださいませ」
カナンは扉を開けて、スージー達を迎え入れる。
スージー達はスリッパを脱ぎ、中へ入った。
「これは……変わった部屋ね……」
部屋には畳が敷かれていた。畳を見た事がないスージー達は、その不思議な床の踏み心地に驚く。しっかりとした硬さはあるが、その感触は石の床と違って温かみがあった。
「おかあさま! 床がきもちいい!」
マギーは床の感触が楽しくて、ショーンとともに走り回った。スージーが、宿の迷惑になるからと止めようとすると、カナンが告げる。
「この宿の客室には、防音の魔法が掛かっています。なので、お子様が暴れたくらいでは音が漏れる事はありません」
「……そうなの。ただの宿ではないと感じてはいたけど、そこまで規格外なのね」
スージーはそう言い、トリスと一緒にソファーに座って、部屋の周囲を見回す。
木がふんだんに使われた部屋には温かみがあり、とても居心地がよい。普段生活している城とは違っていた。
マギー達はひとしきり走り回って満足したのか、しばらくしてソファーに腰を落ち着けた。
カナンがスージーに声を掛ける。
「それでは、室内をご案内させていただいてよろしいでしょうか?」
「ええ、お願いするわ」
それからカナンはスージー達を、寝室、トイレ、クローゼットと順に案内していった。スージーがクローゼットで何かに気付く。
「ねえ、さっきの服は何? 見た事もないデザインだったようだけど……」
女性なだけあって服には敏感なようだ。この世界では、宿が宿泊客の寝間着を用意するという風習はない。
カナンは笑みを浮かべて答える。
「これは宿が用意した部屋着兼寝間着です。これからご案内するお風呂に入った後で、着替えていただけたらと思います」
「そんな事までしてくれるのね。すごい心遣いだわ」
スージーが感心していると、カナンは笑顔のまま答える。
「この宿は、スージー様のような身分の高い方が使われますから、サービスは最高のものをと商会長が作り上げたのです」
「さすがね……」
続いて、スージー達は風呂へ移動する。
脱衣所に入ると、そこはさらに木材を贅沢に使っていた。
部屋は全て板で覆われ、壁には脱いだ服を置くための棚が設置されている。女性には嬉しい鏡付きのドレッサーまで完備されていた。
「こちらで服をお脱ぎなっていただき、奥の引き戸からお風呂へ移動していただきます。お風呂を確認するのは、入浴される時がよろしいかと思います」
カナンは風呂の説明をあえてしなかった。それが却って、スージー達の好奇心を刺激する。
「じゃあ、早速入ろうかしら。みんなはどう思う?」
スージーがみんなで入ろうと提案すると、ショーン以外は賛成だった。ショーンは男の子なので、一緒に入るとは言えないようだ。
「ショーンは一人で入れる?」
「大丈夫です。僕はお母様達の後で入ります」
ショーンは一人でリビングへと移動していった。
「では、皆様はお風呂の入り方などは分かりますか?」
「ええ。しっかりと身体の汚れを取った後で、湯船に浸かるんですよね。その辺は城でもやっていますので大丈夫ですよ」
「分かりました。お風呂を出る時にこの突起に触れてください。これはお風呂を上がったと、私に知らせるものですから」
壁のボタンを指し示しながら、カナンは説明を終えた。
カナンがその場を離れると、スージー達は服を脱ぎ始める。普段は使用人に服を脱ぐのを手伝ってもらっているが、王妃二人は元々商家の出である。自分の事は自分でできるので、まったく問題はない。もちろん、マギーも自分でできるようになっている。
服を脱いで籠に入れ、彼女達は大きなバスタオルを身体に巻きつけて風呂へと移動した。
引き戸を開けると、そこにはあり得ない光景があった。スージー達の目の前には、雪景色が広がっていたのだ。
「エーーー!? なんで?」
「なんで外に!?」
「わー、きれいだねー」
目の前の光景に、バスタオル一枚で固まる王妃二人。マギー一人呑気に喜んでいる。衝撃を受けたスージーは、思わずカナンを呼ぶ。
「カナンさん! ちょっと、カナンさん!?」
驚いたカナンは、リビングから慌てて戻ってきた。
「どうかしましたか? 何か不備でも……」
「な、な、な、なんで脱衣所の扉を開けたら雪国なの!? それに外でお風呂に入るなんて……誰かに見られたら……」
自分達の恰好を思い出したスージーは、身体を隠すように手を動かす。
「そうでした。説明不足すぎましたね。お風呂場には空間魔法が付与されていて、普通の空間ではありません。なので、人に見られる心配はありません。そして空間の景色ですが、商会長であるタクマさんの故郷を再現したものだそうです。事前に説明しておくべきでした。驚かせてしまい申し訳ありません」
カナンが頭を下げると、スージーは冷静になった。
「そ、そうだったの……驚かせたいという気持ちは分かったわ。これほどの光景ですもの、説明なしで見せたいわよね。でも、説明は欲しかったわ。そうすれば私も慌てずに済んだのに……」
「本当にすみません……」
自分のミスに顔を青くするカナン。
スージーは、カナンの肩を優しく叩いて続ける。
「良いのよ。そういう事に気付くための予行演習でしょ? 私達も怒る気はないの。ただ、ちょっとびっくりしただけ。私達も珍しい宿に泊まれる事に浮かれていたわ」
「申し訳ありませんでした。この経験をしっかりと心に刻んで、これからの接客に生かしてみせます」
「ええ、頑張ってね。じゃあ、私達はこの素晴らしいお風呂を堪能させてもらうわ」
スージーはそう言って、風呂の中へ消えていった。
誰もいなくなった脱衣所で、カナンはまっすぐ立っていられずに壁に手をつく。
「王妃様が優しい方で良かった。下手すると大変な事態になっていたわ……」
カナンはスージーに感謝しつつ、落ち着きを取り戻そうとする。そこへショーンがやって来て、カナンを気遣う。
「おばさん、大丈夫ですか」
カナンが振り向くと、ショーンは心配そうな顔をしていた。
「すみません。お恥ずかしいところをお見せして……すぐにそちらに戻ります」
慌てて動こうとすると、ショーンはカナンに手を差し出す。
「大丈夫。今は僕しかいないし、ゆっくり戻れば良いです」
ショーンはまだ少年だが、紳士の振る舞いができていた。
カナンはショーンの気遣いに感激し、すぐに立ち直る。子供の優しさというのは、嬉しいものなのだ。
「お気遣いありがとうございます。おかげで元気が出ました。一緒にリビングへ戻りましょう」
カナンはショーンの手を借りて客室へ戻るのだった。
◇ ◇ ◇
風呂場に入ったスージー達は、辺りを見回す。
そうしてこの空間の空調などが、しっかり管理されている事に気付いた。雪景色にもかかわらず、寒くないのだ。
「冷静になってみると、ここが外ではないという事が分かるわね。衝撃が大きすぎて、うろたえてしまったけど」
そう言って恥ずかしそうにするスージー。
それから三人は浴室に入り、まず洗い場で身体と頭を洗っていく。王族であってもこの広さには慣れないらしく、スージーとトリスは落ち着かなかった。
「城のお風呂も初めての時は驚いたものだけど、ここの衝撃には勝てないわね」
「ええ、最高の贅沢だと感じるわ」
二人が話しながら掛け湯をしていると、マギーは待ちきれずに急かす。
「おかあさま! はやく! おふろにはいろ!」
「ほら、はしたないわ。もう少しお淑やかにね」
スージーはマギーを宥め、掛け湯をしてやる。
身体を洗ったところで、いよいよ入浴となった。木で作られた浴槽からは、とてもいい香りが漂っている。
風呂に浸かった三人は、思わず息を吐き出した。
「「「ふわー……」」」
適温に保たれたお湯が、三人の身体を包み込む。
「これは、すごく気持ちがいいわ……」
「何か嫌な事があっても吹っ飛んでいく感じ……」
「なんかお湯がきもちいいのー。やわらかいー」
マギーの感想に二人の王妃はハッとする。手でお湯を掬うと、マギーの言ったように柔らかく感じた。
ただの水を温めたのではないらしく、彼女達の肌に変化があった。いつも乾燥してかさついていた肌が、潤っていくような感じがした。
「嘘……肌がつるつるに……」
「なんで? 肌が若返ってる感じがする……」
二人は自分の肌を触りながら、自分の身体に起こっている変化に驚いていた。
しばらく浸かっていると、マギーが熱いと言い出したので出る事にした。
風呂から上がったスージー達は、脱衣所にあるボタンを押す。すると、客室にいたカナンが寝間着を持って現れた。
「お風呂はいかがでしたか?」
「すごく気持ち良かったわ。それに……ねぇ……」
「ええ、なんだかとても肌の様子が……」
王妃二人は自らの変化に戸惑いを感じているようだ。それを察したカナンは、二人が身体を拭いている間にタクマから聞いている範囲で説明を行う。
「宿のお風呂は温泉で、お湯には肌に潤いを与える効果があるそうです」
「ただの水を沸かしたのとは違うのね」
「ええ。タクマさんが言うには、ただの水を沸かしても効能はないのだそうです。地下深くで色々な成分が溶け出した温泉だからこその効果だそうです。普通のお風呂より、身体の芯から温まってないですか?」
カナンの言った事は正しく、風呂から出て身体を拭いた後でも、不思議とポカポカと暑いくらいだった。城のお風呂では、身体を拭き終わる頃には冷えてしまっているというのに。
カナンはさらに続ける。
「普通、お風呂を出た後は肌が乾燥してしまうものですが、温泉のお湯には保湿効果もあると聞きました」
「確かに入浴後は肌がカサカサしてしまうので、オイルを塗る時があるわ……でも、ここではいらないわね」
スージーがそう言うと、カナンは頷いて話す。
「私達家族はこの宿で生活を始めたばかりですが、お風呂に入るようになってからは肌の調子が良いんです」
「あのね。わたしの髪の毛がいつもと違うの!」
カナンに身体を拭かれながら、マギーは髪をアピールした。
マギーの話を聞いていた王妃二人が、「そういえば」と言って自分の髪を撫でる。カナンがその理由を説明する。
「髪の変化はシャンプーとトリートメントのおかげです。しっかりと説明を読んで使用してくれたのですね」
風呂には、この世界では珍しくシャンプーが置いてあった。またトリートメントもあり、洗髪後それを髪に付けしばらく置いてから流すように書かれていた。
「なんでわざわざそんな事をしなくてはいけないのかと思ったけど、これほど効果があるなんて……それにすごく良い香りがする……私達が使ってる石鹸も香りはあるけど、ここまで香らないわ。すごく良い匂い……」
自分の髪を鼻に近づけて、匂いを確かめる三人。髪は、バラの香りに包まれていた。
三人とも身体を拭き終わったので、湯冷めしないうちに着替える。
カナンは、魔石が嵌め込まれた小さな箱を取り出して触れた。
「今のは?」
「これは、お着替えを手伝う人を呼ぶための装置です。ちょっと着方が分かりづらいので」
カナンは三人に待っているように言って、一旦その場を去った。カナンが連れてきたのは、従業員の女性と夕夏だった。
「彼女達が着付けを担当します。私はショーン様がお待ちなので、戻らせていただきますね」
カナンは夕夏達と入れ替わりで客室へと戻っていく。
夕夏が説明を始める。
「それでは着替えを手伝わせていただきますね。まずはマギー様に着ていただきましょう」
夕夏がそう言うと、一緒に来ていた従業員がマギーの前に跪く。
まず七分丈のズボンを穿かせ、ズボンが落ちないように紐を結ぶ。そして上着を着せると、その様を見ていたスージーが声を掛ける。
「この服にはボタンがないけど、どうやって前を留めるのかしら?」
「これは甚平という服で、ボタンで留めるのではなくて紐で結ぶのです」
従業員は、夕夏とミカから習った通りに説明する。そして、スージー達にも分かるように、結び目を見せてあげた。
「なるほど。二カ所で留めれば着崩れしにくいのね。それにしても、動きやすそうな恰好ね」
スージーがそう言うと、従業員が応える。
「お子様はたくさん動かれるでしょうから、男女ともこの甚平に決められたのです」
「タクマさんらしい配慮ね。子供の事を考えての衣装のようね」
手早く着付けを終えると、マギーは真っ先にショーンに見せに行った。
続いて、王妃二人の番である。
着付けできる者が二人いるので、一度にまとめてやる事になった。夕夏がスージーを担当し、従業員がトリスを担当する。
夕夏と従業員が、スージーとトリスの後ろに立つ。
まず二人に浴衣の袖に腕を通してもらう。用意した浴衣は寝間着にも使うタイプなので、腰で織り込みをしなくても良いのだ。次いで、背中の縫い目が中心に来るようにする。そして襟先を揃え、裾をくるぶしの位置に合わせると、右側の襟を下にして前を重ねる。
最後に帯を締めれば完成だ。なお、用意していた帯は室内で過ごす事を想定しているので、5㎝幅の柔らかい物である。それを前から後ろに回し、後ろで交差させて前に出す。蝶結びで帯を固定すれば完成である。
浴衣姿を見て、スージーとトリスは思わず呟く。
「「これ……すごくかわいい……」」
二人の王妃は、まるで少女のようにその場で回ったりしてはしゃぐのだった。しばらくして、トリスは客室に向かって声を掛ける。
「ショーンもお風呂に入ってきなさい。きっと驚くわよ」
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その他、多数投稿しています。
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