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第二章・レイナ嬢の思惑。6

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 今は、私や周りに冷たい印象が強い方だけど。私に何かあると子供を産めなくなるからかもしれないが、それでも彼の手のぬくもりは、こんなにも優しい。
 すると手に触れたせいか、レイヴァン様は目を覚ました同時に、私の手を払いのけてきた。あっ……。
 払いのけられて悲しい気持ちになったが挨拶をする事にする。
「おはようございます」
「……あぁ。それよりもどうだ? 具合の方は」
「あ、はい。看病してもらったお陰で良くなりましたわ」
「……そうか」
 レイヴァン様はそう言うと席を立ち、背を向けてしまった。
 あっ……行ってしまう。
 すると、行きかけたがそのまま止まり、こちらをチラッと見る。
「しっかり良くなるまでアカデミーは休め。また悪くなっても迷惑だからな」
「で、でも……授業が遅れてしますわ」
「君の能力なら問題ないだろう。遅れるようなら家庭教師にでも教えてもらえ」
「……はい」
「治ったら芝居でも見に行こう」
「えっ?」
 聞き間違い? 慌ててレイヴァン様を見るが、そのまま行ってしまった。芝居って言いましたよね? 今……。
 治ったら芝居に連れて行ってくれるっていう事だろうか?
 聞き間違いじゃなく、それが事実なら嬉しい。私は、その言葉にドキドキと心臓が高鳴った。レイヴァン様とのお出かけなんて久しぶりだ。
 私は、手を胸に当てる。何だろう……この気持ち。レイヴァン様は冷たくて、何を考えているのか分からないのに。
 たまに見せる優しさに違和感があった。矛盾とも言うのだろうか。私に嫌がらせをしてくるのに。
 それが原因なのかも知れない。私がレイヴァン様と離れられない理由は……。

 その後。私は、言われた通りにアカデミーを休んだ。授業は確かに遅れる心配はあったが、レイヴァン様がノートを写してくれたので何とかなった。それに、少しホッとする自分もいた。それは、レイナ様に会わなくてもいいからだろう。
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