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第二章・レイナ嬢の思惑。10

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 振り向くとやはり、レイナ様だった。どうして彼女がここに?
「レイナ。どうしてここに?」
「さっきまで、邪気が酷い洞窟にお祈りに行っておりましたの。あ、もちろん無事に浄化してきました。その帰りにレイヴァン様をお見掛けして、居ても立っても居られないくて。もしかしてお芝居を見に?」
 はしゃぎながらも、私をチラッと見てくるレイナ様。
「そうだ」とレイヴァン様が言うと、何を思ったのか彼の腕に手を回してきた。
「なら、次は私の番ですね。レイヴァン様~今から私と一緒に夕食を食べに行きませんか?」
 えっ……? 私は、その言葉に驚いた。
 何故、次は自分の番だと思ったのだろうか? 婚約者の自分を差し置いて。戸惑う私にレイナ様は、こちらを見てニコッと笑いかけてくる。
「少しぐらいいいですよね? エルザ様」
「えっ……でも」
 これは、どういう意味だろうか? 何故私に聞くの?
「皇妃になるエルザ様なら理解してくれると思います。だって、私さっきまで国のために祈って参りましたの。もうマナの使い過ぎでお腹ペコペコ。レイヴァン様と一緒に食べるぐらい許して下さるでしょう?」
 その言葉に啞然とする。それだとまるで、国に対して働いてきた聖女様として敬えと言っているようなものだ。
 もし嫌だと言うものなら、聖女様に対する敬意が足りないと周りから揶揄される。
 皇妃になりたいのなら、これぐらい我慢しないと……。
 ドレスの裾を握り締める。すると、レイヴァン様はレイナ様の肩を抱いて引き寄せてきた。
「いちいちエルザに許可を取る必要はない。決めるのは皇太子の私だ。エルザ、今から彼女と食事をしてくる。君は先に戻っていろ」
「は、はい。分かりました」
 レイヴァン様は、そう言うとレイナ様を抱き寄せたまま行ってしまった。私一人だけだけ取り残される事に……。
 レイナ様は、少し振り向くと不敵な表情でクスッと笑っていた。その表情を見た時、ゾクッと寒気がした。今のは気のせい……?
 しかし何故、こんな事に? 私は婚約者なのに……。
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