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第七章・魔女狩り。21

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「セイン様。頭を上げて下さい。もう過ぎた事ですので」
「いえ……それでは俺の気が済まない。まさか俺があんな魔女みたいな女の『魅了』にひっかかり我を忘れて、エルザ……君を傷つけるなんて。皇族としてだけではなく騎士団長として失格だ。どんな罰でも受けるつもりです」
「そんな……罰だなんて。私はセイン様を責めたいとは思っておりませんわ」
 実際にそう思ってはいない。これはレイナ様が聖皇庁の人達と手を組んで企てた計画に過ぎない。それの巻き添えを食らっただけ。被害者でもある。
 それに、きちんと反省を見せている彼だもの。責めるつもりはない。
「しかし……」
「でしたら、こうしましょう。セイン様にはクリスか、今後産まれてくるクリスティーナのどちらかの護衛騎士になって下さらないかしら?」
「クリス皇太子様か、皇女様の……?」
 私の言葉に驚いた表情をするセイン様。そうよ……それがいいわ。
 今ひらめいたのだが、なかなかいいアイデアだと思う。それならお互いのためになるわ。
「そう。子供達が大きくなると必要になってくるわ。彼らは特別の存在。だから、私達が守っていかないといけないわ。罰よりも重圧で気苦労も多いと思うけど……だからあなたの罰にはピッタリでしょう?」
 ねっ? とウインクをして見せる。するとセイン様は一瞬驚いていたが、すぐにクスクスと笑い出した。
「はい……偉大なる新たな皇妃のご慈悲に感謝致します。そして、この命を代えても皇太子と皇女様を守り忠誠する事を誓います」
 騎士らしく私の手の甲に口づけをして誓いを立ててくれた。私はクスッと笑う。
 するとレイヴァン様が私とセイン様の間に入り邪魔をしてきた。レイヴァン様は、私を引き寄せてくる。
「彼女は私の妻になるお方だぞ。無暗に手の甲に口づけするんじゃない」
 もしかしてヤキモチだろうか? ドキドキしながらレイヴァン様の顔を見ると不満そうな表情をしていた。
「これは、これは新たな皇帝陛下。偉大なる陛下にご挨拶を申し上げます」
「畏まった挨拶はいい。それよりも、もう一度言う。彼女は……私の」
「分かった、分かった。そんなに強く言わなくても分かっている。俺は彼女に謝りたかっただけだ。それに、もう君の子供達の護衛を任される事になった。
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