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番外編・皇太子の憂鬱(レイヴァン視点)12

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「……えっ?」
 私はそう言うと、エルザの腕を掴みベッドに連れて行く。そして、彼女をそのままベッドの上に無理やり押し倒す。
 エルザは驚いて悲鳴を上げる。だが、私は構わずにその上に覆い被さった。
「れ、レイヴァン様?」
「言っておくが、これは好意でやっている訳じゃない。あくまでもおしおきだ。お前のような愚かで欲深い女を黙らせるために」
 あぁ……自分でも何を言っているのか分からなくなる。もう半分やけくそだ。
 私は強引に彼女の唇を塞いだ。最初は自分も慣れないため、息を止めるようなキスだったが、その柔らかい感触に実際に触れると堪らなく愛おしくなる。
 少し唇を離すとまた塞ぐ。今度は息継ぎと一緒に舌を絡ませると深いキスに。
「うっ……んんっ……」
 彼女は苦しいのか、またまた気持ちがいいのか甘い声が漏れてきた。
 頬を赤く染めた表情は、妖艶な美しさが漂っており、胸がギュッと締め付けられそうになる。思わす唾を呑み込んだ。
 私は首筋にキスを落としながら彼女の胸に静かに弄った。すると肩がビクッと震わせていた。
「あっ……んっ」
 ヤバい……反応している。声まで可愛い。
 普段令嬢らしくおしとやかなイメージと違い、なまめかしい。私は全身が熱くなるのを感じた。
「ダメ……です。私達は……まだそんなこと」
 恥じらいがあるのか、じわりと目尻に涙を浮かべていた。すると彼女の身体がキラキラと光り出す。瞳が虹色に変わり出した。すると壁や周りのモノが石に変わってしまった。これが……サファード一族の能力なのか⁉ 
 サファード一族だけが持つと言われている『時を止める』能力。初めて、その力を拝見した。凄い……だから皇族が手に入れたくなるのか。
 彼女の一族の力は皇族を含めて一部の者しか知らない。世界を手に入れられるため、他国や悪用に使われたらいけないと隠されてきた。でも裏では、その能力を独占したい皇族が隠したとも言われていた。でも、その気持ちも分からなくはない。
 あぁ……なんて美しいんだ。
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