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第五章
閑話:夢の中で:中編 (エレナ視点)
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大変お待たせしました(-_-;)
更新が遅くなってしまい、申し訳ございません(´;ω;`)
1月に始めた連載がようやく完結しましたので、またこちらの更新を始めます!
牛歩ではありますが、どうぞこれからもよろしくお願いしますm(__)m
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甘く甘美なひと時。
私たちは空白の時間を埋めるように、何度も愛し合った。
唇を重ね、体を重ね、愛しい愛しい彼の胸の中に何度も沈む。
離れたくない、離したくない。
このまま永遠に……。
幸せに浸りながらそっと目を閉じると、瞼裏に浮かび上がった彼女の姿。
(私の体を使って)そう笑みを浮かべ笑ったその姿。
うちがこの世界へもう一度戻ってこられたのは、彼女のおかげ。
ずっとここにいるわけにはいかへん。
この体は彼女のもんや、うちはこの世界に存在できへんのや。
彼女が戻ってくるまでの間だけの仮の存在。
こうやって会えただけで十分なんや。
うちがやらなあかんことは……過去の過ちを正すことや……。
私はノエルの体をギュッと抱きしめると、おもむろに顔を上げた。
「ノエル、一緒に帰ろう」
彼の頬を両手で包み引き寄せると、額へキスを落とす。
悲し気に揺れる瞳を見つめると、慰めるように頭を撫でた。
「……嫌だ、もう嫌なんだ。君のいない世界へ戻るなんて考えられない。ここに居ればずっと一緒に居られるだろう?」
縋るようなその声に胸がギュッと締め付けられる。
「ここは現実やない、夢なんや」
「夢でも何でもいいんだ。傍に居られればそれでいい。もうどこにもいかないでくれ。いなくならないでくれ」
彼は悲痛な声で叫ぶと、強く強く私を抱きしめた。
私は彼の背に手を伸ばすと、震える体を落ち着かせるように撫でる。
「ずっとは無理や、たとえここが夢だったとしても……。うちの時間はもう流れてへん。だからノエルにはノエルの幸せを見つけてもらいたいんや。こんなん言える立場やないけど……うちはあんたの笑った顔が好きやで」
そっと彼の胸を押し返すと、彼の瞳を見つめながらアクアブルーの髪を優しく撫でた。
青い瞳からポロポロと零れ落ちる、透き通った涙を拭うと、ノエルは拒否するように首を何度も横に振る。
「ッッ、無理だ、エレナ……君は僕の全てなんだ……」
よしよしと頭を撫でながら私は首を横に振ると、涙に揺れる彼の瞳を覗き込んだ。
深く息を吸い込むと、
「ノエル、探してくれてありがとう。だけどうちはこの世界には居てへん。うちの時間は終わってもたんや。けどなこれは終わりやない、始まりなんや。うちはどんな時でも、ずっとあんたの傍におる。だからノエルが幸せになれば、うちも幸せなんや」
「……どんな時でも……?」
子供のように泣きじゃくる彼の姿に、私は大きく頷いた。
「ノエル、ずっと秘密にしてたんやけどな……実はノエルが魔法を使えるようになったんは、うちの魔力を渡したからや。魔法が使えて喜んでた姿を見てたら、言い出せんくてな……。だから魔力を感じれば、そこにうちが居てる。そう思ってくれたらいい」
ノエルは驚いた様子で目を見開くと、泣きながらに笑った。
「ははは……突然魔法が使えたからおかしいと思ってたよ。……ずっと僕の中に居たんだね」
「これからもずっとそばにいてる。約束や」
私は彼の手を持ち上げると、小指と小指を絡ませる。
これは彼女の世界にあった約束の証。
時空の狭間からずっと見守ってるからな。
私は溢れ出しそうになる涙を拭うと、ニッコリとほほ笑み返した。
その刹那、バリンッとガラスが砕けたような音が響く。
目の前の景色にひびが入り、いくつもの破片が辺りに散らばると、繋いでいた小指が離れた。
そのまま破片と共に闇の中へ消えていくと、私は意識を手放したのだった。
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私たちは空白の時間を埋めるように、何度も愛し合った。
唇を重ね、体を重ね、愛しい愛しい彼の胸の中に何度も沈む。
離れたくない、離したくない。
このまま永遠に……。
幸せに浸りながらそっと目を閉じると、瞼裏に浮かび上がった彼女の姿。
(私の体を使って)そう笑みを浮かべ笑ったその姿。
うちがこの世界へもう一度戻ってこられたのは、彼女のおかげ。
ずっとここにいるわけにはいかへん。
この体は彼女のもんや、うちはこの世界に存在できへんのや。
彼女が戻ってくるまでの間だけの仮の存在。
こうやって会えただけで十分なんや。
うちがやらなあかんことは……過去の過ちを正すことや……。
私はノエルの体をギュッと抱きしめると、おもむろに顔を上げた。
「ノエル、一緒に帰ろう」
彼の頬を両手で包み引き寄せると、額へキスを落とす。
悲し気に揺れる瞳を見つめると、慰めるように頭を撫でた。
「……嫌だ、もう嫌なんだ。君のいない世界へ戻るなんて考えられない。ここに居ればずっと一緒に居られるだろう?」
縋るようなその声に胸がギュッと締め付けられる。
「ここは現実やない、夢なんや」
「夢でも何でもいいんだ。傍に居られればそれでいい。もうどこにもいかないでくれ。いなくならないでくれ」
彼は悲痛な声で叫ぶと、強く強く私を抱きしめた。
私は彼の背に手を伸ばすと、震える体を落ち着かせるように撫でる。
「ずっとは無理や、たとえここが夢だったとしても……。うちの時間はもう流れてへん。だからノエルにはノエルの幸せを見つけてもらいたいんや。こんなん言える立場やないけど……うちはあんたの笑った顔が好きやで」
そっと彼の胸を押し返すと、彼の瞳を見つめながらアクアブルーの髪を優しく撫でた。
青い瞳からポロポロと零れ落ちる、透き通った涙を拭うと、ノエルは拒否するように首を何度も横に振る。
「ッッ、無理だ、エレナ……君は僕の全てなんだ……」
よしよしと頭を撫でながら私は首を横に振ると、涙に揺れる彼の瞳を覗き込んだ。
深く息を吸い込むと、
「ノエル、探してくれてありがとう。だけどうちはこの世界には居てへん。うちの時間は終わってもたんや。けどなこれは終わりやない、始まりなんや。うちはどんな時でも、ずっとあんたの傍におる。だからノエルが幸せになれば、うちも幸せなんや」
「……どんな時でも……?」
子供のように泣きじゃくる彼の姿に、私は大きく頷いた。
「ノエル、ずっと秘密にしてたんやけどな……実はノエルが魔法を使えるようになったんは、うちの魔力を渡したからや。魔法が使えて喜んでた姿を見てたら、言い出せんくてな……。だから魔力を感じれば、そこにうちが居てる。そう思ってくれたらいい」
ノエルは驚いた様子で目を見開くと、泣きながらに笑った。
「ははは……突然魔法が使えたからおかしいと思ってたよ。……ずっと僕の中に居たんだね」
「これからもずっとそばにいてる。約束や」
私は彼の手を持ち上げると、小指と小指を絡ませる。
これは彼女の世界にあった約束の証。
時空の狭間からずっと見守ってるからな。
私は溢れ出しそうになる涙を拭うと、ニッコリとほほ笑み返した。
その刹那、バリンッとガラスが砕けたような音が響く。
目の前の景色にひびが入り、いくつもの破片が辺りに散らばると、繋いでいた小指が離れた。
そのまま破片と共に闇の中へ消えていくと、私は意識を手放したのだった。
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