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第2章 118 通じない思い
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「そ、そんな……警察が来たってことは…まさか、彩花……!」
もうじっとしていられなかった。
今すぐ彩花の運命のルートを辿ってみなければ…!
俺は急いでマンションへ戻った――。
マンションに駆け込むと、靴を投げ捨てるように脱ぎ捨ててすぐに磁場発生装置をPCと接続して画面を表示させた。
「そ、そんな……!」
画面を見た俺は絶望した。
彩花の運命は6月9日に死を迎えてしまうルートに入っていたのだ。
「う、嘘だろう……?」
目に涙が浮かんでくる。
今度こそ…これが最後の挑戦だと思って、再び15年前の世界に戻ったというのに、俺はまたしても失敗してしまったのか?
これが…恐らく最後の挑戦になるかも知れないタイムトラベルだったのに……?
だけど…もう覚悟を決めていた。
この世界で彩花が『死のルート』に入ってしまった場合、自分の身を犠牲にしてでも必ず彩花を助けると。
「彩花……死なせない。もう二度とお前を失うわけにはいかないんだ……」
スマホを握りしめると、彩花の電話番号をタップした。
トゥルルルルル……
トゥルルルルル……
「おかしい……彩花、何故電話に出ないんだ?」
ひょっとすると……彩花の身に何かあったのだろうか?
「彩花っ!」
立ち上がると、彩花のアパートへ向かった――。
****
ピンポーン
何度インターホンを押しても彩花は出てこない。
「彩花っ!」
たまらず、アパートの扉を叩いた。
ドン!
ドン!
すると……扉が開かれ、驚きで目を見開く彩花が現れた。
「あ…彩花…」
息を切らせながら彩花の名を呼ぶ。すると……。
「た…拓也さん…」
「彩花…卓也は…?」
親父が連行される姿は見たけれど、卓也の姿は見ていない。
すると……。
「…遅いよっ!!」
突然彩花が胸の中に飛び込み、激しく泣きじゃくった。
それだけで、何があったのか大体の想像はついた。
彩花……。
俺は愛しい彩花を抱きしめ、いつまでもその髪をそっと撫で続けた――。
****
ひとしきり泣いた彩花はようやく落ち着いたのか、部屋に招き入れてくれた。
「どうだ?少し…落ち着いたか?」
「う、うん…」
小さく頷く彩花。
「彩花…ひょっとして、警察に…通報したのか…?」
彩花が警察に通報したかどうか、確かめたかった。
「うん。通報したけど…?」
やはり通報したのは彩花だった。
そんな彩花に気付けば俺は詰っていた。
「な、何でだよ…何で、通報なんかしてしまったんだ…?これじゃ…前と同じだ…。何も…何も変わっていない…!」
彩花…、お前このままじゃまた……また親父に殺されてしまうっ!
思わず顔を抑えてしまった。
すると……
「どうしてよっ!小さな子供が父親から激しい暴力を受けているんだよ?!誰が助けてくれるのよっ!近所の人達は皆知っているのに見て見ぬふりをしている。あの子は…たっくんはまだ大人の保護が必要な子供なんだよ?!」
何も知らない彩花は反論してきた。
「…そんな事して…逆恨みされたらどうするんだよ…?もし、彩花が通報したことを卓也の父親に知られたら…ただでは済まないかもしれないだろう…?くそっ…!こんな事なら…もっとあいつを痛めつけておけばよかった…」
中途半端に痛めつけてしまったことが悔やんでならない。
「別に構わないよっ!逆恨みされたって…たっくんを救えるなら!」
「彩花っ!俺の話を聞いてくれ!いいか…?あの男は普通じゃない。相手が例え子供であろうと、女性であろうと、あいつにとっては関係ないんだよ。気に入らなければどんな手段を使ってでも仕返しをしてくる…そんな危険な人物なんだ!」
「だからと言って、たっくんを見捨てる事なんて…私には出来ないよっ!」
「彩花っ!」
駄目だ……いくら訴えても俺の気持ちは彩花に通じない……。
そう思った瞬間、無意識に身体が動き……俺は彩花を強く抱きしめていた――。
もうじっとしていられなかった。
今すぐ彩花の運命のルートを辿ってみなければ…!
俺は急いでマンションへ戻った――。
マンションに駆け込むと、靴を投げ捨てるように脱ぎ捨ててすぐに磁場発生装置をPCと接続して画面を表示させた。
「そ、そんな……!」
画面を見た俺は絶望した。
彩花の運命は6月9日に死を迎えてしまうルートに入っていたのだ。
「う、嘘だろう……?」
目に涙が浮かんでくる。
今度こそ…これが最後の挑戦だと思って、再び15年前の世界に戻ったというのに、俺はまたしても失敗してしまったのか?
これが…恐らく最後の挑戦になるかも知れないタイムトラベルだったのに……?
だけど…もう覚悟を決めていた。
この世界で彩花が『死のルート』に入ってしまった場合、自分の身を犠牲にしてでも必ず彩花を助けると。
「彩花……死なせない。もう二度とお前を失うわけにはいかないんだ……」
スマホを握りしめると、彩花の電話番号をタップした。
トゥルルルルル……
トゥルルルルル……
「おかしい……彩花、何故電話に出ないんだ?」
ひょっとすると……彩花の身に何かあったのだろうか?
「彩花っ!」
立ち上がると、彩花のアパートへ向かった――。
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ピンポーン
何度インターホンを押しても彩花は出てこない。
「彩花っ!」
たまらず、アパートの扉を叩いた。
ドン!
ドン!
すると……扉が開かれ、驚きで目を見開く彩花が現れた。
「あ…彩花…」
息を切らせながら彩花の名を呼ぶ。すると……。
「た…拓也さん…」
「彩花…卓也は…?」
親父が連行される姿は見たけれど、卓也の姿は見ていない。
すると……。
「…遅いよっ!!」
突然彩花が胸の中に飛び込み、激しく泣きじゃくった。
それだけで、何があったのか大体の想像はついた。
彩花……。
俺は愛しい彩花を抱きしめ、いつまでもその髪をそっと撫で続けた――。
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ひとしきり泣いた彩花はようやく落ち着いたのか、部屋に招き入れてくれた。
「どうだ?少し…落ち着いたか?」
「う、うん…」
小さく頷く彩花。
「彩花…ひょっとして、警察に…通報したのか…?」
彩花が警察に通報したかどうか、確かめたかった。
「うん。通報したけど…?」
やはり通報したのは彩花だった。
そんな彩花に気付けば俺は詰っていた。
「な、何でだよ…何で、通報なんかしてしまったんだ…?これじゃ…前と同じだ…。何も…何も変わっていない…!」
彩花…、お前このままじゃまた……また親父に殺されてしまうっ!
思わず顔を抑えてしまった。
すると……
「どうしてよっ!小さな子供が父親から激しい暴力を受けているんだよ?!誰が助けてくれるのよっ!近所の人達は皆知っているのに見て見ぬふりをしている。あの子は…たっくんはまだ大人の保護が必要な子供なんだよ?!」
何も知らない彩花は反論してきた。
「…そんな事して…逆恨みされたらどうするんだよ…?もし、彩花が通報したことを卓也の父親に知られたら…ただでは済まないかもしれないだろう…?くそっ…!こんな事なら…もっとあいつを痛めつけておけばよかった…」
中途半端に痛めつけてしまったことが悔やんでならない。
「別に構わないよっ!逆恨みされたって…たっくんを救えるなら!」
「彩花っ!俺の話を聞いてくれ!いいか…?あの男は普通じゃない。相手が例え子供であろうと、女性であろうと、あいつにとっては関係ないんだよ。気に入らなければどんな手段を使ってでも仕返しをしてくる…そんな危険な人物なんだ!」
「だからと言って、たっくんを見捨てる事なんて…私には出来ないよっ!」
「彩花っ!」
駄目だ……いくら訴えても俺の気持ちは彩花に通じない……。
そう思った瞬間、無意識に身体が動き……俺は彩花を強く抱きしめていた――。
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