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5-14 追い詰められたランベール
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「ご無事でしたか?!」
ランベールがアリアドネの手を離した途端、シュミットはアリアドネに駆け寄り抱きしめた。
「シュ、シュミット様…」
アリアドネの震えは恐怖でいまだに止まらない。一方、ランベールは剣を抜いたエルウィンとスティーブに壁際に追い詰められていた。
「叔父上…またしても3年前と同じ過ちを犯そうとしたな…?」
エルウィンはランベールの喉元に剣を突き付けた。すると彼の首筋から一滴の血が垂れていく。スティーブも剣を抜いてランベールを威嚇している。
「エ、エルウィン…き、貴様…仮にも叔父である私に…け、剣を向けるとは…!」
「黙れっ!俺の叔父でなければ…貴様など、とっくに切り捨てていたっ!!」
エルウィンは怒鳴りつけた。
「ああ、そうですぜ。ランベール様。大将と血縁関係だったことをありがたく思うんだな?」
スティーブも全身に殺気をみなぎらせている。
その様子をアリアドネはシュミットの腕の中で震えながら見守っていた。
(スティーブ様の…あんな姿…初めて見るわ…)
アリアドネの知るスティーブは快活に笑う明るい青年だった。なのでとてもではないが、彼が戦場で恐れられている騎士団長だとは信じられなかったのだが、怒りを露わにしたスティーブは、やはり迫力があった。
「大丈夫ですか?アリアドネ様」
いまだに震えが止まらないアリアドネを抱きしめながらシュミットは小声で尋ねた。
「は…は、はい…」
けれどもまだアリアドネの声は震えている。
エルウィンはランベールに言った。
「叔父上…貴方を今から危険人物扱いとする。これより越冬期間が終わるまで地下牢へ幽閉させてもらうっ!」
「な、何だとっ!エルウィンッ!貴様…本気で言っておるのかっ?!」
ランベールはあまりの発言に耳を疑った。
「黙れっ!この俺が…アイゼンシュタット城の城主だっ!例え叔父上であろうと、容赦しないっ!!お前はもはや罪人だっ!!」
そしてさらにランベールの喉元に剣を押し付ける。
プツ…
皮膚の切れる音が聞こえ、そこからさらに生暖かい血がランベールの首から流れ落ちてゆく。
「!」
その光景に恐怖を感じたアリアドネはシュミットの胸に顔をうずめた。
「エルウィン様…女性の前ですので…どうか怒りを鎮めて頂けますか?」
シュミットはエルウィンに声を掛けた。
「チッ!」
短く舌打ちするとエルウィンは剣を少しだけランベールから離し、怒気を含んだ声で命じた。
「今から地下牢へ連れていく。途中…少しでも抵抗する素振りを見せれば…その際は容赦なく切るっ!」
エルウィンのその言葉に再びアリアドネの肩がビクリと震える。
(アリアドネ様…まずいな…すっかりおびえてらっしゃる…)
「スティーブ」
エルウィンはランベールから片時も目を離さずに声を掛ける。
「はい、大将」
「ランベールを縛り上げろ」
「はっ!」
スティーブはクラバットを外すと素早くランベールの両手を後ろ手に縛り上げる。
「よ、よせっ!この無礼者っ!」
ランベールはエルウィンに威嚇されて身動きが取れないにも関わらず、スティーブに敵意を剝き出しにする。
「無礼なのは貴方ですぜ?ランベール様。この城の城主はエルウィン様だ」
「グッ…」
悔し気に下唇を噛むランベール。スティーブがランベールを縛り上げるのを確認するとエルウィンは言った。
「よし、スティーブ。罪人を地下牢へ連行するぞ」
「はい」
そしてエルウィンはランベールに剣を向けると言った。
「さぁ、叔父上。地下牢へ行きましょうか?」
そして不敵な笑みを浮かべた―。
ランベールがアリアドネの手を離した途端、シュミットはアリアドネに駆け寄り抱きしめた。
「シュ、シュミット様…」
アリアドネの震えは恐怖でいまだに止まらない。一方、ランベールは剣を抜いたエルウィンとスティーブに壁際に追い詰められていた。
「叔父上…またしても3年前と同じ過ちを犯そうとしたな…?」
エルウィンはランベールの喉元に剣を突き付けた。すると彼の首筋から一滴の血が垂れていく。スティーブも剣を抜いてランベールを威嚇している。
「エ、エルウィン…き、貴様…仮にも叔父である私に…け、剣を向けるとは…!」
「黙れっ!俺の叔父でなければ…貴様など、とっくに切り捨てていたっ!!」
エルウィンは怒鳴りつけた。
「ああ、そうですぜ。ランベール様。大将と血縁関係だったことをありがたく思うんだな?」
スティーブも全身に殺気をみなぎらせている。
その様子をアリアドネはシュミットの腕の中で震えながら見守っていた。
(スティーブ様の…あんな姿…初めて見るわ…)
アリアドネの知るスティーブは快活に笑う明るい青年だった。なのでとてもではないが、彼が戦場で恐れられている騎士団長だとは信じられなかったのだが、怒りを露わにしたスティーブは、やはり迫力があった。
「大丈夫ですか?アリアドネ様」
いまだに震えが止まらないアリアドネを抱きしめながらシュミットは小声で尋ねた。
「は…は、はい…」
けれどもまだアリアドネの声は震えている。
エルウィンはランベールに言った。
「叔父上…貴方を今から危険人物扱いとする。これより越冬期間が終わるまで地下牢へ幽閉させてもらうっ!」
「な、何だとっ!エルウィンッ!貴様…本気で言っておるのかっ?!」
ランベールはあまりの発言に耳を疑った。
「黙れっ!この俺が…アイゼンシュタット城の城主だっ!例え叔父上であろうと、容赦しないっ!!お前はもはや罪人だっ!!」
そしてさらにランベールの喉元に剣を押し付ける。
プツ…
皮膚の切れる音が聞こえ、そこからさらに生暖かい血がランベールの首から流れ落ちてゆく。
「!」
その光景に恐怖を感じたアリアドネはシュミットの胸に顔をうずめた。
「エルウィン様…女性の前ですので…どうか怒りを鎮めて頂けますか?」
シュミットはエルウィンに声を掛けた。
「チッ!」
短く舌打ちするとエルウィンは剣を少しだけランベールから離し、怒気を含んだ声で命じた。
「今から地下牢へ連れていく。途中…少しでも抵抗する素振りを見せれば…その際は容赦なく切るっ!」
エルウィンのその言葉に再びアリアドネの肩がビクリと震える。
(アリアドネ様…まずいな…すっかりおびえてらっしゃる…)
「スティーブ」
エルウィンはランベールから片時も目を離さずに声を掛ける。
「はい、大将」
「ランベールを縛り上げろ」
「はっ!」
スティーブはクラバットを外すと素早くランベールの両手を後ろ手に縛り上げる。
「よ、よせっ!この無礼者っ!」
ランベールはエルウィンに威嚇されて身動きが取れないにも関わらず、スティーブに敵意を剝き出しにする。
「無礼なのは貴方ですぜ?ランベール様。この城の城主はエルウィン様だ」
「グッ…」
悔し気に下唇を噛むランベール。スティーブがランベールを縛り上げるのを確認するとエルウィンは言った。
「よし、スティーブ。罪人を地下牢へ連行するぞ」
「はい」
そしてエルウィンはランベールに剣を向けると言った。
「さぁ、叔父上。地下牢へ行きましょうか?」
そして不敵な笑みを浮かべた―。
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