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14−1 王都『レビアス』
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午後1時――
ついにエルウィン達一行は王都『レビアス』に到着した。
王都は様々な店や屋台が立ち並び、往来を馬車や多くの人々が行き交っている。
「まぁ……なんて賑わいなのでしょう」
アリアドネは馬車の窓から見る光景に目を見開いていた。地方小都市『ヴァイス』に住んでいた頃はメイドの仕事ばかりさせられ、城の敷地から外に出たことは無かった。
そしてヨゼフと一緒に、ミレーユの身代わりの花嫁として出発した時は辺境の地である『アイデン』に向かったので、寂れた光景しか見て来なかったのだ。
「アリアドネ様、前方にお城が見えて来ましたよ」
御者のカインが声を掛けてきた。
「あれが…国王陛下が住まう城……なんて立派で美しい城なのかしら……。
アリアドネの目に高台に広大な城壁に囲まれた城が映った。
その城はアイゼンシュタット城とは比較にならないくらい巨大であり、まるで物語の世界に登場するような真っ白な城だった。
そして城を見ると同時に、アリアドネの身体に緊張が走る。
(どうしましょう……。私は一切の礼儀作法を身につけていないわ。それなのに国王陛下に謁見だなんて。陛下の前で、私はステニウス伯爵家の顔に泥を塗って仕舞うかも知れないわ)
アリアドネはまさか自分がミレーユでは無いという事実に国王が気付いているとは思いもしていなかったのだ。
アリアドネの不安な胸の内を知ること無く、エルウィン一行は賑やかな城下町を通り抜け、城へと続く道を進んだ――。
****
「ついに到着したな」
エルウィンは馬にまたがり、背後にいるマティアスに語りかけるように城壁を見上げた。
「はい、そうですね」
「では、城門へ回ろう。まずは門番達に開城してもらわなければならないからな
「はっ!」
エルウィンの言葉に周囲にいた兵士たちは敬礼するのだった。
**
エルウィン一行は巨大な城門へ回り込むと、槍を携えた騎士が門を挟むように左右に立ち、警備に当たっている姿がそこにあった。
そしてエルウィン達を目にすると互いに城門を槍で塞ぐと声を掛けた。
「そこの者達!止まれっ!」
「何者だっ?!」
そんな騎士たちを前にエルウィンは口角を上げた。
「お前たち、この俺が誰か分かっていなようだな?『アイゼンシュタット』と言えば分かるか?」
「え?!アイゼンシュタット…」
「も、もしや辺境伯様っ?!」
『レビアス王国』の騎士達にとって、エルウィンは恐れられる一方で尊敬もされていた。
『戦場の暴君』と呼ばれるエルウィンの剣技は国の内外で有名だったのだ。
「そうだ。この俺が辺境伯エルウィンだ」
エルウィンの言葉に、二人の騎士はたちまち頭を下げて謝罪の言葉を述べた。
「これは大変申し訳ございませんでした!」」
「我々、辺境伯様のお顔を存じ上げなかったものですから!開門せよっ!」
すると、巨大な門がゆっくり音を立てて開き始め……城へ続く門が開門された。
「どうぞお通り下さいっ!」
「国王陛下がお待ちです!」
門が完全に開くと、騎士達は道を開けた。
「行くぞ、皆」
『はいっ!』
エルウィンの言葉に、アイゼンシュタットの騎士達は一斉に返事をするとゆっくりと城門をくぐり抜けた。
そして、アリアドネを乗せた馬車も……。
****
「そうか。ついに辺境伯が城に到着したか」
執務室で報告を受けたレビアス13世が書類から顔を上げた。
「はい、陛下」
国王の忠実な家臣が頭を下げる。
「それでは辺境伯の顔を拝みに行くとするか」
「はい、すでに謁見の間にお通ししてあります」
「よし、では行くぞ」
「はい」
そして国王はエルウィンに会う為に、謁見の間へと向かった――。
ついにエルウィン達一行は王都『レビアス』に到着した。
王都は様々な店や屋台が立ち並び、往来を馬車や多くの人々が行き交っている。
「まぁ……なんて賑わいなのでしょう」
アリアドネは馬車の窓から見る光景に目を見開いていた。地方小都市『ヴァイス』に住んでいた頃はメイドの仕事ばかりさせられ、城の敷地から外に出たことは無かった。
そしてヨゼフと一緒に、ミレーユの身代わりの花嫁として出発した時は辺境の地である『アイデン』に向かったので、寂れた光景しか見て来なかったのだ。
「アリアドネ様、前方にお城が見えて来ましたよ」
御者のカインが声を掛けてきた。
「あれが…国王陛下が住まう城……なんて立派で美しい城なのかしら……。
アリアドネの目に高台に広大な城壁に囲まれた城が映った。
その城はアイゼンシュタット城とは比較にならないくらい巨大であり、まるで物語の世界に登場するような真っ白な城だった。
そして城を見ると同時に、アリアドネの身体に緊張が走る。
(どうしましょう……。私は一切の礼儀作法を身につけていないわ。それなのに国王陛下に謁見だなんて。陛下の前で、私はステニウス伯爵家の顔に泥を塗って仕舞うかも知れないわ)
アリアドネはまさか自分がミレーユでは無いという事実に国王が気付いているとは思いもしていなかったのだ。
アリアドネの不安な胸の内を知ること無く、エルウィン一行は賑やかな城下町を通り抜け、城へと続く道を進んだ――。
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「ついに到着したな」
エルウィンは馬にまたがり、背後にいるマティアスに語りかけるように城壁を見上げた。
「はい、そうですね」
「では、城門へ回ろう。まずは門番達に開城してもらわなければならないからな
「はっ!」
エルウィンの言葉に周囲にいた兵士たちは敬礼するのだった。
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エルウィン一行は巨大な城門へ回り込むと、槍を携えた騎士が門を挟むように左右に立ち、警備に当たっている姿がそこにあった。
そしてエルウィン達を目にすると互いに城門を槍で塞ぐと声を掛けた。
「そこの者達!止まれっ!」
「何者だっ?!」
そんな騎士たちを前にエルウィンは口角を上げた。
「お前たち、この俺が誰か分かっていなようだな?『アイゼンシュタット』と言えば分かるか?」
「え?!アイゼンシュタット…」
「も、もしや辺境伯様っ?!」
『レビアス王国』の騎士達にとって、エルウィンは恐れられる一方で尊敬もされていた。
『戦場の暴君』と呼ばれるエルウィンの剣技は国の内外で有名だったのだ。
「そうだ。この俺が辺境伯エルウィンだ」
エルウィンの言葉に、二人の騎士はたちまち頭を下げて謝罪の言葉を述べた。
「これは大変申し訳ございませんでした!」」
「我々、辺境伯様のお顔を存じ上げなかったものですから!開門せよっ!」
すると、巨大な門がゆっくり音を立てて開き始め……城へ続く門が開門された。
「どうぞお通り下さいっ!」
「国王陛下がお待ちです!」
門が完全に開くと、騎士達は道を開けた。
「行くぞ、皆」
『はいっ!』
エルウィンの言葉に、アイゼンシュタットの騎士達は一斉に返事をするとゆっくりと城門をくぐり抜けた。
そして、アリアドネを乗せた馬車も……。
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「そうか。ついに辺境伯が城に到着したか」
執務室で報告を受けたレビアス13世が書類から顔を上げた。
「はい、陛下」
国王の忠実な家臣が頭を下げる。
「それでは辺境伯の顔を拝みに行くとするか」
「はい、すでに謁見の間にお通ししてあります」
「よし、では行くぞ」
「はい」
そして国王はエルウィンに会う為に、謁見の間へと向かった――。
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